竜喚び聖女は捨てられた竜騎士を救いたい!

待鳥園子

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035 天啓①

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 あああ……これはもう、無理でしょう……ここまで来て、私はこの人と無関係ないだとは、もう言えない。

 何を犠牲にしても、自分の竜を助けたいと我慢出来ずに泣いてしまう、ジェイドさんを救ってあげたい。

 そうなの。

 ……私には、そうすることが出来るから。

 もし、ここで彼を見捨てて動かなければ、それはきっと私ではなくなる。

 妙な打算で動いたなら、腑に落ちぬ何かを心に抱き続けて、後悔し続ける人生を送ることになる。

 そうなるのは絶対に嫌だし、乗りかかった船だし、ジェイドさんは見た目も中身も驚くくらい良い男だし。

 ……ええ。まあ、そうですね。参りました。ジェイドさんの魅力とか、人間性に負けました。

 だって、私にはこの人を、助けたい理由しかないよ!

「……あーあ。もうこれで、聖女辞められなくなりました。私を好きにならせた責任は、ちゃんと取ってくださいね?」

「……え?」

 興奮していたジェイドさんは私がここでそんな言葉を言うなんて、思って居なかったに違いない。ポカンとした呆けた表情を浮かべ、動きが完全に固まってしまっていた。

「これって、特別サービスですよ。私。いつもはこんなこと、絶対にやりませんからね。ジェイドさんだけですよ! なので今後の人生、責任取ってください!」

 ああ……お父様。恋に生きることにした、親不孝な娘をお許しください!

「何を……?」

 私は戸惑ったまま動かないジェイドさんの元へとつかつかと近づき、彼の首元を掴むと背伸びをして、口にキスをした……だけではなく、彼の唇を割って舌を入れた。

 粘膜が触れ合う感覚、肌が触れるよりも、より一層深い接触。

 ……うーん。これは、好きな人でないと無理かも。だから、私は……この人のことが好きなのだわ。

 そして、心の中で願う。

 ジェイドさんに、相応しい竜よ。一番に強き竜よ。ここに来て、この人を助けて。

 私の天啓『竜喚び』が、もしかしたら、他の子と違うのかもしれないと思ったのは、竜騎士団に配属された直後だった。

 本来ならば、竜騎士の中にある契約以外の竜は、喚び出せない。けれど、私にはその竜騎士に『相応しい竜』へと、喚びかけが出来ることに気が付いた。

 一度遊び心を出して手を合わせた竜騎士で試してみれば、喚び出した竜と違う竜が来てしまって、僻地にあった竜騎士団は大パニックになったことがあった。

 新人のやらかしとして処理されたけれど、本来ならばあり得ないことなのだ。

 あれが王都での出来事であれば詳細に調べられていたはずだけど、初めての竜喚び聖女としての任地が、ド田舎の辺境の僻地で助かった。

 ……そして、この特殊な天啓を持っていることを誰かに知られれば、私は『竜喚び聖女』を絶対に辞められなくなると思って居た。

 だから、ずっとひた隠しにしていた。

 この秘密を明かしてでも助けたい救いたいと思った竜騎士ジェイドさんが居なければ、私はこのことを墓にまで持って行っていたはずだ。

 ジェイドさんの中に揺蕩う力、そして性質、彼に合う竜……来て。ジェイドさんの元へ。そして、どうか、どうか、救ってあげて。
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