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069 満月②
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「……ジェイドさんは自分のことが、わかってなさすぎだと思います」
「どういう意味なんだ。それは」
「ジェイドさんは良い男なので、私と同じことを考える聖女も居たと思います」
「いや……ラヴィ二アしか、あれはやらないだろう」
そういう……謙虚な姿勢も好き!
私はヨシュアさんのような、自信たっぷりな態度の悪い男よりも、こういう人が好きなの!
「あ。そういえば、ヨシュアさんって、どうなったんですかね?」
そういえばと思い出して、ジェイドさんに聞いた。
どうやら、ヨシュアさんは未だ生死不明で、見つかっていないらしい。けれど、私は全く心配してなくて、あの人はピンピンしてどこかで生きて居ると思う。
私たち二人が正直にことの次第を話したところ、ユンカナン王国では割と有名な賞金稼ぎだったヨシュアさん、ノルドリア王国では誘拐監禁と城への不法侵入で犯罪者となり、立派な国際的なお尋ね者となった。
何故かというと、誘拐した私が教会所属の聖女で公爵令嬢であること、それに、ミレハント竜騎士団の竜を誘拐したことは許し難いと、各方面がカンカンになって怒っているらしい。
……もちろん、私のお父様も激怒している。
ああ……ここで思い出してしまったけれど、言いにくいことだってジェイドさんには伝えないと、深い関係にはなれない。
どうしても、これは避けては通れないことだし。
「あの……ジェイドさん。私の父へ挨拶に行く話なんですけど……」
「何かあったのか?」
私がおそるおそる切り出した話に、隣を歩くジェイドさんは不思議そうな表情になった。
「実はですね。この前に会った父に結婚したい相手が居ると言ったら、聞いていないと怒ってしまいまして……」
そうなのだ。自分の知らないところで、そんなことになっているなんてと、びっくりするくらい動揺していた。
「……どうしてだ?」
「その、いきなり過ぎたのかもしれません……父があんな激しい反応をすると思わなくて、私も驚きました」
「……一人娘がいきなり結婚すると言えば、父親はそうなってしまうものなのかもしれないな」
それも、母を早くに亡くし父には、家族と言えるのは娘私一人。ああいう過剰反応は、仕方のないことなのかもしれない。
そういう話を聞いてもジェイドさんは、特に気にしない様子だった。良かった。そういう人だとわかっていても、実際の反応を見るまでは不安もあった。
どうしてかと言うと、私は今もうジェイドさんと一生添い遂げたいと思って居るからだ。
「ジェイドさん」
「どうした?」
「これから、色々とあると思うんですけど、私のこと……諦めないでくださいね」
うちのお父様は娘の私も認める、気難しい性格を持っている。説得するために、色々と苦労するかもしれない。
私が背の高い彼を見上げてそう言うと、ジェイドさんは優しく微笑んで立ち止まった。
「……俺は諦めが悪い方だ。それは君が、一番に良く知っていると思うが?」
「ふふふ。確かにそれは、そうでした」
彼は喚んでも喚んでも来ない竜を、一年間も待ち続けていた。もう来てくれないかもしれないのに、それでもずっと来てくれると信じていた。
ジェイドさんは自分で決めた事をやり抜く、どこからどう見てもとても良い男で、私は是非そんな人と将来的に結ばれたい。
彼がそうするとここで言ってくれるのなら、きっとそうしてくれるだろう……だから、私もこれから何があってもジェイドさんを信じていよう。
黙って近付いた私がキスをねだるように彼の首元を持って目を閉じれば、唇に柔らかなものが触れた。
Fin
「どういう意味なんだ。それは」
「ジェイドさんは良い男なので、私と同じことを考える聖女も居たと思います」
「いや……ラヴィ二アしか、あれはやらないだろう」
そういう……謙虚な姿勢も好き!
私はヨシュアさんのような、自信たっぷりな態度の悪い男よりも、こういう人が好きなの!
「あ。そういえば、ヨシュアさんって、どうなったんですかね?」
そういえばと思い出して、ジェイドさんに聞いた。
どうやら、ヨシュアさんは未だ生死不明で、見つかっていないらしい。けれど、私は全く心配してなくて、あの人はピンピンしてどこかで生きて居ると思う。
私たち二人が正直にことの次第を話したところ、ユンカナン王国では割と有名な賞金稼ぎだったヨシュアさん、ノルドリア王国では誘拐監禁と城への不法侵入で犯罪者となり、立派な国際的なお尋ね者となった。
何故かというと、誘拐した私が教会所属の聖女で公爵令嬢であること、それに、ミレハント竜騎士団の竜を誘拐したことは許し難いと、各方面がカンカンになって怒っているらしい。
……もちろん、私のお父様も激怒している。
ああ……ここで思い出してしまったけれど、言いにくいことだってジェイドさんには伝えないと、深い関係にはなれない。
どうしても、これは避けては通れないことだし。
「あの……ジェイドさん。私の父へ挨拶に行く話なんですけど……」
「何かあったのか?」
私がおそるおそる切り出した話に、隣を歩くジェイドさんは不思議そうな表情になった。
「実はですね。この前に会った父に結婚したい相手が居ると言ったら、聞いていないと怒ってしまいまして……」
そうなのだ。自分の知らないところで、そんなことになっているなんてと、びっくりするくらい動揺していた。
「……どうしてだ?」
「その、いきなり過ぎたのかもしれません……父があんな激しい反応をすると思わなくて、私も驚きました」
「……一人娘がいきなり結婚すると言えば、父親はそうなってしまうものなのかもしれないな」
それも、母を早くに亡くし父には、家族と言えるのは娘私一人。ああいう過剰反応は、仕方のないことなのかもしれない。
そういう話を聞いてもジェイドさんは、特に気にしない様子だった。良かった。そういう人だとわかっていても、実際の反応を見るまでは不安もあった。
どうしてかと言うと、私は今もうジェイドさんと一生添い遂げたいと思って居るからだ。
「ジェイドさん」
「どうした?」
「これから、色々とあると思うんですけど、私のこと……諦めないでくださいね」
うちのお父様は娘の私も認める、気難しい性格を持っている。説得するために、色々と苦労するかもしれない。
私が背の高い彼を見上げてそう言うと、ジェイドさんは優しく微笑んで立ち止まった。
「……俺は諦めが悪い方だ。それは君が、一番に良く知っていると思うが?」
「ふふふ。確かにそれは、そうでした」
彼は喚んでも喚んでも来ない竜を、一年間も待ち続けていた。もう来てくれないかもしれないのに、それでもずっと来てくれると信じていた。
ジェイドさんは自分で決めた事をやり抜く、どこからどう見てもとても良い男で、私は是非そんな人と将来的に結ばれたい。
彼がそうするとここで言ってくれるのなら、きっとそうしてくれるだろう……だから、私もこれから何があってもジェイドさんを信じていよう。
黙って近付いた私がキスをねだるように彼の首元を持って目を閉じれば、唇に柔らかなものが触れた。
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