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02 政略結婚
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貴族の結婚は、政略結婚が主流だ。お互い求め合う恋愛結婚もあるにはあるけれど、この国の狭い社交界で適齢期の異性と求められて求めるという高いハードルを越えなければならない。
私のルーシャン公爵家では、兄ロバートが跡継ぎ。貴族は長子相続が原則だ。相続権を持たない私は、いつか親が認める誰かと結婚して家を出ることになる。
もしくは、夜会などの出会いの場に出掛けても求婚者が一人も現れなければ、家庭教師や修道院の道もあることもあるだろう……けれど、私のような貴族令嬢たちが一番に恐れる未来が『誰も結婚したがらないような男性』へとまるで売られるように嫁がされることだ。
暴力的な男性だったり権威的な男性であったり、何十も歳の離れた老齢の男性の後妻だったり、好んでそんな身分になりたい女性は少ないはずだ。
そういったことを考えれば、多少の条件の悪さを目を瞑ってでも『是非、僕と結婚してください』と声を掛けてくれる男性と結ばれた方が未来は明るい。
貴族の礼儀作法でいくと女性側から『是非、私と結婚してください』と言うことは、はしたないこととされる。男性側から希望してくれなければ、声を掛けてくれることを壁際でじっと待つしかないのだ。
私があのノア・ウェインと結婚したいと望むのであれば、お茶会晩餐会あるいは舞踏会のような社交場で、親交のある兄から紹介してもらい徐々に関係性を深めていくのが定石だろう。
これがもっとも良さそうな道であるし、貴族の作法では正しいやり方だった。
けれど、兄が言うにはノアは評判の美青年なのだと言う。学業も優秀で周囲からの信頼も厚いとなれば、私以外にも彼と結婚したい女の子が、周囲にたくさん居てもおかしくない。
……いいえ。もう既に彼と結婚すると狙いを定めている人も居るかもしれない……けれど、私はルーシャン公爵令嬢だ。家柄だけならば王族以外では、一番に身分が高いとされている。
貴族はわかりやすく、縦に並べられた三角形の階級社会だ。頂点に立つ公爵家に逆らう下位の貴族は居ない。
ノアはきっと、私のことが好みでなくても……私と結婚したいと思うだろう。もし、将来的に出世を狙うような打算的な男性であれば、よりそう思うことだろう。
宰相を務める祖父も父もアスニャン王国では大きな権力を持ち、ノアと兄が貴族学校で同室なのであれば、彼ら二人は気心も知れている。兄が言う通りに私の結婚相手として、彼は申し分ないのではないかと思う。
私の心の中には、強い衝動が湧き上がっていた……これをして、後先考えていないと、誰かに笑われても良い。
心の中でそれはいけないことだと嗜める自分は眉を顰める。向かい側でだからどうしたと余裕の笑顔で微笑む私も、そこには存在する。
だって、私はノア・ウェインを『政略結婚』する相手にすることが可能なのだ。
本来、貴族令嬢の結婚相手は親が選ぶ。けれど、私には幼い頃からの婚約相手が居ない。
それは、政略結婚をしたけれど今では家族として愛し合う両親が、結婚相手を自由に選ぶことが出来なかったことに起因していた。
後継ぎの兄は、政略結婚は避けられない。現に伯爵令嬢の婚約者がいる。彼女は美しくて聡明な女性だ。家柄もちょうど良く、父も母も彼女ならばと望んだ縁談相手。
けれど、家族から可愛がられている自覚のある妹の私は、社交界デビューした後に求婚者の中から好きな男性に嫁げば良いと幼い頃から言われていた。
貴族だと言うのに政略結婚をしなくても許されている。だと言うのに、これから私は、それを望もうとしていた。
それも、ルーシャン公爵家当主である祖父が、私に大層甘いことも理解しているからこそ……本当に姑息な孫娘だった。
私のルーシャン公爵家では、兄ロバートが跡継ぎ。貴族は長子相続が原則だ。相続権を持たない私は、いつか親が認める誰かと結婚して家を出ることになる。
もしくは、夜会などの出会いの場に出掛けても求婚者が一人も現れなければ、家庭教師や修道院の道もあることもあるだろう……けれど、私のような貴族令嬢たちが一番に恐れる未来が『誰も結婚したがらないような男性』へとまるで売られるように嫁がされることだ。
暴力的な男性だったり権威的な男性であったり、何十も歳の離れた老齢の男性の後妻だったり、好んでそんな身分になりたい女性は少ないはずだ。
そういったことを考えれば、多少の条件の悪さを目を瞑ってでも『是非、僕と結婚してください』と声を掛けてくれる男性と結ばれた方が未来は明るい。
貴族の礼儀作法でいくと女性側から『是非、私と結婚してください』と言うことは、はしたないこととされる。男性側から希望してくれなければ、声を掛けてくれることを壁際でじっと待つしかないのだ。
私があのノア・ウェインと結婚したいと望むのであれば、お茶会晩餐会あるいは舞踏会のような社交場で、親交のある兄から紹介してもらい徐々に関係性を深めていくのが定石だろう。
これがもっとも良さそうな道であるし、貴族の作法では正しいやり方だった。
けれど、兄が言うにはノアは評判の美青年なのだと言う。学業も優秀で周囲からの信頼も厚いとなれば、私以外にも彼と結婚したい女の子が、周囲にたくさん居てもおかしくない。
……いいえ。もう既に彼と結婚すると狙いを定めている人も居るかもしれない……けれど、私はルーシャン公爵令嬢だ。家柄だけならば王族以外では、一番に身分が高いとされている。
貴族はわかりやすく、縦に並べられた三角形の階級社会だ。頂点に立つ公爵家に逆らう下位の貴族は居ない。
ノアはきっと、私のことが好みでなくても……私と結婚したいと思うだろう。もし、将来的に出世を狙うような打算的な男性であれば、よりそう思うことだろう。
宰相を務める祖父も父もアスニャン王国では大きな権力を持ち、ノアと兄が貴族学校で同室なのであれば、彼ら二人は気心も知れている。兄が言う通りに私の結婚相手として、彼は申し分ないのではないかと思う。
私の心の中には、強い衝動が湧き上がっていた……これをして、後先考えていないと、誰かに笑われても良い。
心の中でそれはいけないことだと嗜める自分は眉を顰める。向かい側でだからどうしたと余裕の笑顔で微笑む私も、そこには存在する。
だって、私はノア・ウェインを『政略結婚』する相手にすることが可能なのだ。
本来、貴族令嬢の結婚相手は親が選ぶ。けれど、私には幼い頃からの婚約相手が居ない。
それは、政略結婚をしたけれど今では家族として愛し合う両親が、結婚相手を自由に選ぶことが出来なかったことに起因していた。
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けれど、家族から可愛がられている自覚のある妹の私は、社交界デビューした後に求婚者の中から好きな男性に嫁げば良いと幼い頃から言われていた。
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