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02 開幕②
私にとっての都合の良い妄想なども、そこには若干入っていることは認める……けど、デュークはただ座っているというだけなのに、おかしいくらいに格好良いの。
「デューク……好き」
いつものように胸の前で両手を組み、ついつい心の叫びが唇からこぼれ落ち、毎日毎日こういった私の告白を聞かされて続けているデュークは、大きくため息をついて言った。
「姫。もう、ここではっきり言いますけど。こうやって、朝に日参されると……迷惑なんすけど」
「そうやってつれないところも、素敵ぃ」
「……」
やだ。眉を寄せて若干迷惑そうな表情も、本当に例えようのないくらいに素敵。デュークにこれは何を言っても無駄だって、そう思って貰っても私は全然いいの。
……だって、本当にそうだもの。
私はユンカナンの末の王女で、亡くなった正妃である母と同じくして生まれた兄は、現在王位継承権第一位の王太子。
つまり、直近の未来の最高権力者が背後に居る私に対して、この国に対し忠誠を誓い王に仕えている騎士である彼は、どうしても逆らえないの。
何も言わずに黙り動きを止めてしまったデュークの隣に立っていた彼の補佐をする役目の副団長マティアスが、私がこうして部屋に入って来てからも冷静に書類を捲っていた手を止めて、思い出したかのように言った。
「アリエル様。そして、美しい侍女お二人も。おはようございます。毎朝のこととはいえ、今日もこうしてお会いできて実に光栄です」
「マティアス。いつも忙しそうね」
「いえ。仕事などどうでも良くなってしまうほどに美しい女性が揃うと、朝もより清々しく感じますね……団長。もしかしてお忘れかもしれませんが、アリエル様はユンカナン王家の姫君ですよ。そうやって、何もせずに座っていないで! 立って相応しい礼をしてください」
副団長マティアスに態度を叱られたデュークは、もう一度先程と同じようにして大きなため息をつくと椅子から立ち上がり、姿勢を正すと胸に手を当て王族への忠誠を意味する礼をした。
そして、忠誠を捧げる相手でのはずの私から着席の許可を求めるでもなく、どかっと椅子に腰掛けた。
そして、デュークはいつものように、再度無駄な抗議をすることにしたようだった。
「姫。あの、俺……見ての通り、仕事中なんすけど。俺でないと解決出来ないような急務がないようでしたら、ここからそろそろ出て行って貰っても良いすか? 邪魔なんです」
机に肘を付き真剣な眼差しで私を見つめるデュークは、本当に素敵。そんな訳で私は当然のように、彼に結婚を申し込んだ。
「デューク。お願いだから、私と結婚して!」
「いや、俺の話聞いてないでしょ。それに、何回も言いますけど。それは、無理っすよ。俺は身分も何もない、庶民出身なんで。姫のような王族は同じ王族とか貴族とか、その辺りの男性と結ばれるのが一番良いんじゃないでしょうか。そういう……面倒も苦労もない、周囲から祝福されるような幸せな結婚を、選んでくださいよ」
デュークは面倒くさそうでありつつも、いつも通りに自分のことを好きな女性が傷つかないように配慮してか、私の持つ身分ゆえに仕方ないのだという丁寧な断り文句を使った。
「素敵……そんな風に、つれないところも……本当に、好き!」
「……」
「団長。可愛いお姫様とそうやって遊んでないで、この書類に判子を押して下さい。これは、本当に急ぎなんです」
「……」
数え切れないほど繰り返されたやりとりに、うんざりした表情を隠そうともしないデュークは、きらきらした目で彼を見る私に視線を向けたまま、無言でマティアスが差し出した書類を乱暴に掴んだ。
「デューク……好き」
いつものように胸の前で両手を組み、ついつい心の叫びが唇からこぼれ落ち、毎日毎日こういった私の告白を聞かされて続けているデュークは、大きくため息をついて言った。
「姫。もう、ここではっきり言いますけど。こうやって、朝に日参されると……迷惑なんすけど」
「そうやってつれないところも、素敵ぃ」
「……」
やだ。眉を寄せて若干迷惑そうな表情も、本当に例えようのないくらいに素敵。デュークにこれは何を言っても無駄だって、そう思って貰っても私は全然いいの。
……だって、本当にそうだもの。
私はユンカナンの末の王女で、亡くなった正妃である母と同じくして生まれた兄は、現在王位継承権第一位の王太子。
つまり、直近の未来の最高権力者が背後に居る私に対して、この国に対し忠誠を誓い王に仕えている騎士である彼は、どうしても逆らえないの。
何も言わずに黙り動きを止めてしまったデュークの隣に立っていた彼の補佐をする役目の副団長マティアスが、私がこうして部屋に入って来てからも冷静に書類を捲っていた手を止めて、思い出したかのように言った。
「アリエル様。そして、美しい侍女お二人も。おはようございます。毎朝のこととはいえ、今日もこうしてお会いできて実に光栄です」
「マティアス。いつも忙しそうね」
「いえ。仕事などどうでも良くなってしまうほどに美しい女性が揃うと、朝もより清々しく感じますね……団長。もしかしてお忘れかもしれませんが、アリエル様はユンカナン王家の姫君ですよ。そうやって、何もせずに座っていないで! 立って相応しい礼をしてください」
副団長マティアスに態度を叱られたデュークは、もう一度先程と同じようにして大きなため息をつくと椅子から立ち上がり、姿勢を正すと胸に手を当て王族への忠誠を意味する礼をした。
そして、忠誠を捧げる相手でのはずの私から着席の許可を求めるでもなく、どかっと椅子に腰掛けた。
そして、デュークはいつものように、再度無駄な抗議をすることにしたようだった。
「姫。あの、俺……見ての通り、仕事中なんすけど。俺でないと解決出来ないような急務がないようでしたら、ここからそろそろ出て行って貰っても良いすか? 邪魔なんです」
机に肘を付き真剣な眼差しで私を見つめるデュークは、本当に素敵。そんな訳で私は当然のように、彼に結婚を申し込んだ。
「デューク。お願いだから、私と結婚して!」
「いや、俺の話聞いてないでしょ。それに、何回も言いますけど。それは、無理っすよ。俺は身分も何もない、庶民出身なんで。姫のような王族は同じ王族とか貴族とか、その辺りの男性と結ばれるのが一番良いんじゃないでしょうか。そういう……面倒も苦労もない、周囲から祝福されるような幸せな結婚を、選んでくださいよ」
デュークは面倒くさそうでありつつも、いつも通りに自分のことを好きな女性が傷つかないように配慮してか、私の持つ身分ゆえに仕方ないのだという丁寧な断り文句を使った。
「素敵……そんな風に、つれないところも……本当に、好き!」
「……」
「団長。可愛いお姫様とそうやって遊んでないで、この書類に判子を押して下さい。これは、本当に急ぎなんです」
「……」
数え切れないほど繰り返されたやりとりに、うんざりした表情を隠そうともしないデュークは、きらきらした目で彼を見る私に視線を向けたまま、無言でマティアスが差し出した書類を乱暴に掴んだ。
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