女嫌いな騎士団長が味わう、苦くて甘い恋の上書き

待鳥園子

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03 いけない

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 いけない……私の日々生きていくための潤いの元、イケおじになりかけの団長が死んじゃうなんて、しかもこんな良くわからない惚れ薬飲まされたから自決とかいう理由だなんて。

 その後の人生後悔ばかりになること考えると、絶対にこのままに出来ない!

 死んじゃうんだとしたら、せめて、ベッドの上の老衰か名誉の戦死にしてくださいぃぃぃぃいい!

 あ。死なない方が、もちろん良いけど!! どうしてもって場合はこちらの二択の選択肢からってことで!

「ままま、待ってください! そんな理由で、団長が死ぬなんて絶対ダメです! 団長!! 大丈夫です。私にとても良い考えがありますから!」

 はいはいっ! とばかりに私が右手を高く掲げれば、団長は眉の間に皺を寄せてこちらを見た。

 ああ……そんな苦悩に満ち苦み走った表情も渋くて、とても良い。

 騎士団長の奇跡の瞬間を目撃した私が、責任を持って今から絵を猛練習して画家になって、絵姿を後世に残すしかない。

「……君は事務のローラか。良い考え? しかし、どうすれば良いんだ。あの毒婦に会う度に、俺はあいつのことを好きだと思うのだろう?」

 悲愴でイケてる団長に間近で見詰められ、危うく思考回路が明後日の方向へと行きそうだった私は、どうにかして思考をまともに立て直した。

「はい。それでは、団長が飲まされた惚れ薬の効果を、上書きすれば良いと思います!」

「惚れ薬の効果を、上書きだと……?」

 私が思いついた解決法を聞いて、団長やここに集まっている五人ほどがポカンとしていた。

 そして、私は自信に満ちたしたり顔で大きく頷いた。

 性差があるのでわかりにくいかもしれないけど、終わった恋愛をどうするかというと、上書き保存と別名で保存が存在する。

 男性諸君。貴方たちは別名で保存かもしれないけど、私たち女性側の恋は、常に上書きだ。

 浮気したりと向こうが原因の喧嘩して別れた元彼とか、三ヶ月経ったら連絡が来てもなんとも思わない存在へと成り果てる。

 下手したら元カレの名前も「え。待って。てか、この人、なんて名前だっけ? 思い出せない」となるものである。これは、極端なケースを言いすぎたかもしれない。

 なんで私、あんなクズ好きだったんだろう? と女の子が思う恋愛は、次の良い恋愛への通過儀礼にも似ている。

 しかし、ずっと付き合っていた当初の温度を保ったままずっと元彼を好きで居るとか、絶対にない。

 誰かを好きになれば、誰かを忘れる。これこそが、世の摂理である。

 ちなみに私は元彼は記憶の中で、全員事故で死んだことにするタイプです。もう二度と会わないので、未練など全く残りません。現在彼氏募集中です。
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