冷酷夫からの離婚宣告を受けたので、次は愛してくれる夫を探そうと思います。

待鳥園子

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06 別荘

「今夜は、別荘へと泊まろうかと……ええ。離婚の時にいただけなかったあの別荘ですわ。私が、あの別荘を気に入っていることは、ジャレッド様もご存じなのでは?」

 開き直って私がそう言うと、ジャレッド様は気に入らない顔をして黙り込んだ。

 ええ。貴方が手切れ金代わりにもくれなかった、あの別荘ですよ! 私はとても気に入っているんです!

「……では、僕も共に泊まろう。それで良いだろう? 主催者に挨拶は済ませたのか?」

「え? ええ。それは構いませんわ。挨拶は早々に済ませました」

「……そうか、僕はまだだから、少しここで待って居てくれ」

 爵位は上とは言え、夜会の主催者へ挨拶をしない訳にはいかない。ジャレッド様はいそいそと進み、私は手持ち無沙汰になりその場に留まった。

 ……しかし、離婚間近とは言え、現夫の前で再婚相手を吟味するわけにもいかない。それが出来る人も居るかもしれないけれど、私には無理なだけだわ。

 ……一体、何なの? 三ヶ月後に、別れると言ったくせに。それも一年間もほったらかしだった癖に。

 夫の考えが読めず私はイライラとしながら何杯かワインを呷り、そこを止めるような手が現れた。

 ジャレッド様だ。こうして見ると、私の夫は本当に姿が良い。素敵な男性だ。完璧と言って良い。

 ……妻の私に冷たいことを除いては。

「……クラウディア。君は酒にあまり強くないのでは?」

 私はそこで、どうしても抑えきれずにイラッとしてしまった。

 ジャレッド様は私との夫婦関係をもうすぐ終わらせようとしている。だというのに、私の行動について何かを言う権利などないのに。

「一体、何なのです。私はもう……貴方にとって、何の価値もない存在なのでは?」

 そうでなければ、離婚宣告などしたりしないはずだ。私は覚悟を持って彼を睨めば、不意に視線を逸らした。

「クラウディア……君のお気に入りの護衛騎士は、そこでお楽しみのようだが」

 ジャレッド様の視線の向ける方向を見れば、確かに胸元をだらしなく開いたダニエルが色っぽい未亡人らしき女性へ気障っぽく言い寄っていた。

 頬にキスをされて、それを仕返して……こんな所で、みっともないわね。

 わ……もう、本当に気持ち悪い。ダニエルは幼い頃から女性にだらしない兄だとわかりつつも、肉親のこういう姿を直視するには、キツいものがあるわね。

「……ああ。別に勤務時間外は、知りませんわ。彼にだって、楽しむ時間は必要でしょう」

 私は素っ気なく目を背けながら、そう言った。だいだい、妹は兄の女遊びなんて見たくないものだ。

「クラウディア……気にならないのか」

 ジャレッド様はなおもしつこく聞いたので、私はムッとして答えた。

「しつこいですわね! ……なるわけないですわ。兄の恋愛事情など! 出来れば知りたくもないし、まったく見たくもないですわ!」

「そ……それもそうか……兄?! 兄だと!」

 私の言葉を聞いて一時納得して頷いたジャレッド様は、目を見開き驚いて顔を上げていた。

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