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07 ひみつ
何を驚いているのかしら。
護衛騎士ダニエルは、私と半分血が繋がっていて……それで、正体は明かせないけれど護衛騎士をしていることは……。
あら……言ってはいないかもしれないわね。だって、ジャレッド様は結婚する前は仕事が忙しく、ほとんど会えなかったし、結婚後はとてもとても冷たい対応が続いた。
そんな人に、兄ダニエルの素性を明かす必要などはなかったのよ。
「はい。あれは、私の父違いの兄なのですわ……知っているでしょう。私の父は未亡人の踊り子を後妻に迎えたと……ダニエルは母の連れ子で、半分血が繋がった兄なのですわ。なので、今夜どこの未亡人と火遊びを楽しもうが、私の知ったところではないですわね」
吐き捨てるように言い、もう一度チラッと不肖の兄を見れば、ダニエルは女性の肩を抱いてどこかに消えていこうとしていた。
……私と同じ馬車で来たくせに、どうやって帰るつもりかしらね。ダニエル待ちなんて、絶対にしないわよ。
「クラウディア……君と話したいことがある」
なんとも言えない気持ちでダニエルの背中を見ていたら、肩を叩いたジャレッド様は真剣な眼差しで私にそう言った。
「はい? ……あの、何でしょう?」
……一体、何の話なのかしら。
三ヶ月後には離婚する予定の妻になど、特に話すこともないでしょうに。
「いや、そうだな。場所を移しても? 今夜は別荘に行くつもりだったのだろう?」
「え? ……もちろん、構いませんが、今日は旦那様が宿泊されると聞いていないので、お迎えの準備に手間取るかもそれませんよ」
いくら多くの財産を持つマクティア侯爵家と言えども、常には使用しない別荘へ割く使用人はそう多くはない。
それは管理もする現当主であるジャレッド様ご本人が、一番に理解していることだろう。私は先んじて宿泊することを伝えているけれど、ジャレッド様の使用する寝室など十分な出迎え準備は整っていないはずだ。
「ああ。それは僕も理解している……とにかく、ここから帰ろう」
来たばかりだと言うのに、どうしたのかしら。私は不可解な思いを抱きながらも背中を押した彼に従い、会場を後にすることにした。
火遊び中の不肖の兄ダニエルは、徒歩ででもなんとかして帰って来るはずだわ……多分。
護衛騎士ダニエルは、私と半分血が繋がっていて……それで、正体は明かせないけれど護衛騎士をしていることは……。
あら……言ってはいないかもしれないわね。だって、ジャレッド様は結婚する前は仕事が忙しく、ほとんど会えなかったし、結婚後はとてもとても冷たい対応が続いた。
そんな人に、兄ダニエルの素性を明かす必要などはなかったのよ。
「はい。あれは、私の父違いの兄なのですわ……知っているでしょう。私の父は未亡人の踊り子を後妻に迎えたと……ダニエルは母の連れ子で、半分血が繋がった兄なのですわ。なので、今夜どこの未亡人と火遊びを楽しもうが、私の知ったところではないですわね」
吐き捨てるように言い、もう一度チラッと不肖の兄を見れば、ダニエルは女性の肩を抱いてどこかに消えていこうとしていた。
……私と同じ馬車で来たくせに、どうやって帰るつもりかしらね。ダニエル待ちなんて、絶対にしないわよ。
「クラウディア……君と話したいことがある」
なんとも言えない気持ちでダニエルの背中を見ていたら、肩を叩いたジャレッド様は真剣な眼差しで私にそう言った。
「はい? ……あの、何でしょう?」
……一体、何の話なのかしら。
三ヶ月後には離婚する予定の妻になど、特に話すこともないでしょうに。
「いや、そうだな。場所を移しても? 今夜は別荘に行くつもりだったのだろう?」
「え? ……もちろん、構いませんが、今日は旦那様が宿泊されると聞いていないので、お迎えの準備に手間取るかもそれませんよ」
いくら多くの財産を持つマクティア侯爵家と言えども、常には使用しない別荘へ割く使用人はそう多くはない。
それは管理もする現当主であるジャレッド様ご本人が、一番に理解していることだろう。私は先んじて宿泊することを伝えているけれど、ジャレッド様の使用する寝室など十分な出迎え準備は整っていないはずだ。
「ああ。それは僕も理解している……とにかく、ここから帰ろう」
来たばかりだと言うのに、どうしたのかしら。私は不可解な思いを抱きながらも背中を押した彼に従い、会場を後にすることにした。
火遊び中の不肖の兄ダニエルは、徒歩ででもなんとかして帰って来るはずだわ……多分。
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