ときめき♥沼落ち確定★婚約破棄!

待鳥園子

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16 王子様の事情②

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「ああ。驚いた。だが……やはり、君に記憶がなかったんだな。そうだと思っていたし、レティシアを信じていたが、すぐにそのままデストレにまで連れ去られてしまったことには驚いた」

「リアム殿下。ごめんなさい……」

 これは、私が申し訳なく、謝るしかない。記憶を失っていると言えど、全部、私の勘違いから起こったことだもの。

「レティシアが謝ることはない。良かった……ずっと、心配だった。君に会えなくて」

 リアム殿下は私の身体をぎゅうっと抱きしめて、彼の切ない気持ちが伝わってくるような声音に、私は不覚にもきゅんとした。

 一緒に演技していたはずの婚約者は、いきなり辺境伯に攫われてしまって会えなくなったんだから、それはすっごく心配だと思う。

「私……すごく、失礼なことをして……その」

「もし……あの夜から、これまで俺がどんな気持ちを味わったかを試したら、辛くて死にたくなることは間違いないよ。俺は結婚するのなら、レティシア以外は考えられないから」

 ひーっ……嘘でしょう。リアム殿下の顔が良過ぎて話が入って来ないのかと思ったら、甘い言葉の相乗効果で致死量のときめきが体内に注入されて、美形な王子様に殺される。

「ごっ……ごめんなさい」

 安易に謝れば良いってものでもないけど、混乱した思考回路は、謝罪とときめきを行ったり来たりする進路を固定されてしまっていて、私はここでは謝るしか出来ない。

「いや……俺が祖母の要求を跳ね除けられなかったのが、すべて悪いんだ。悪かった。年齢を重ねたせいで、こうしろと言い出せば誰の意見も聞かないんだ。どちらにせよ、もう命は長くないと思われるし、俺は……」

「リアム殿下。驚きましたよ。王太子があの高い壁を単身登られたんですか。盗賊にでも職を変えた方が良くないですか。その身体能力があれば、どんな邸にでも侵入出来ますよ」

 いきなり低い声が聞こえて振り向くと、なんと……そこに立っていたのは、迫り来る魔物の対応に追われて多忙のはずのヴィクトルだった。
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