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イーサンはそれ以来、お茶会や夜会で隙をついては参加者の一人として私に話しかけてくるようになった。
まだ彼はただの商人であるはずなのに、何故貴族の夜会に参加出来るかというと、きっとやんごとなき高貴な誰かの紹介を受けて潜り込んでいるのだろう。
今夜、城の大広間で開かれた夜会でも、イーサンはそれとなく挨拶をし五分ほど世間話をしてから颯爽と去って行った。
話術が優れた彼らしく、今も何人かの紳士と話して盛り上がっているようだ。きっと、自分の商売のチャンスを探しているのよね。何回か生まれ変わっても使い切れないくらいお金を持っているだろうに、その手に触れるものなんでもお金に変えてしまいそうな彼らしい。
「あれは……ベッドフォードか。先ほどローレンも、彼と話していたようだが」
王族としての彼の立場上、国外からの賓客と踊らざるを得ないギャレット様は私の元にまで戻って来た。そして、面白くなさそうな顔をして隣に居る私の顔を見つめた。
私は曖昧に笑い、自然に見えるように一歩後ろに下がった。ギャレット様は最近イーサンと話す私を見ては、苛立っているようだ。
やたらと傍に居たがるし、今まで素通りしていた何の罪もない挨拶に来ただけの紳士たちにも、やたらと威嚇しているような気がする。
そう。現在のギャレット様は、私への執着心をとても感じるのだ。
なんだか、この前までちょっとしたことでも恥ずかしそうにして照れていたのに、嫉妬を感じているようなギャレット様には私への好意を隠す気が全く見えない。
え。これって、もしかして……大きな勘違いでなければ、ギャレット様に対する私の態度、すべてがまるで裏目に出ているような気もするけど……私は依頼主の王妃様からの指示通りにしていて、このまま突き進むしかない。
「ええ……ほんの世間話程度ですが。偶然、名前を知ることになりましたが、彼ももう少しで王太子妃になる私の顔を、覚えて貰いたいのかもしれません」
ギャレット様のお顔はとても整っている代わりに、真顔になると少々怖い。
それも、戦う剣士でもあるせいか目力が異常に強いので、間近で彼の視線を受け止める私は体力を削られていくしかない。
この状況で、私が逃げてしまうのもおかしい。だって、私は彼のことを好きだから婚約者に選ばれているのだから。
ギャレット様、お願いだから……もう少し、離れてえ……。
「ローレンには、少し隙があるようだな」
「隙ですか? いいえ。私はそのような……」
珍しく相当苛立っている様子のギャレット様は、眉を寄せて顔を近づけた。
「随分とあいつと親しげに話しているように、俺には見えた……何か個人的な話でもしていたのか?」
「何を……いいえ。それは気のせいですよ。彼と私は、名前を知っている程度の仲ですもの」
王妃様はきっと、恋愛に全く興味なさそうだったギャレット様が、こんなにも私の行動を気にしていることを知らないのだ。
以前、ギャレット様に好意を持たれているようだと報告した時も、あの子は美人を見慣れているのだから、各国の美姫にも眉ひとつ動かさなかったお前程度で何を勘違いしているのだと一蹴されたし、ペルセフォネ様の指示だって、なんだか逆効果になってるみたいだし……彼の好意が高まったところで、イーサンという恋敵が現れれば、もっと私への執着が深まるかもしれない。
「そうか。だが、ローレン。君は俺の婚約者なんだ。誤解を受けるような行動は慎んでくれ」
まだ彼はただの商人であるはずなのに、何故貴族の夜会に参加出来るかというと、きっとやんごとなき高貴な誰かの紹介を受けて潜り込んでいるのだろう。
今夜、城の大広間で開かれた夜会でも、イーサンはそれとなく挨拶をし五分ほど世間話をしてから颯爽と去って行った。
話術が優れた彼らしく、今も何人かの紳士と話して盛り上がっているようだ。きっと、自分の商売のチャンスを探しているのよね。何回か生まれ変わっても使い切れないくらいお金を持っているだろうに、その手に触れるものなんでもお金に変えてしまいそうな彼らしい。
「あれは……ベッドフォードか。先ほどローレンも、彼と話していたようだが」
王族としての彼の立場上、国外からの賓客と踊らざるを得ないギャレット様は私の元にまで戻って来た。そして、面白くなさそうな顔をして隣に居る私の顔を見つめた。
私は曖昧に笑い、自然に見えるように一歩後ろに下がった。ギャレット様は最近イーサンと話す私を見ては、苛立っているようだ。
やたらと傍に居たがるし、今まで素通りしていた何の罪もない挨拶に来ただけの紳士たちにも、やたらと威嚇しているような気がする。
そう。現在のギャレット様は、私への執着心をとても感じるのだ。
なんだか、この前までちょっとしたことでも恥ずかしそうにして照れていたのに、嫉妬を感じているようなギャレット様には私への好意を隠す気が全く見えない。
え。これって、もしかして……大きな勘違いでなければ、ギャレット様に対する私の態度、すべてがまるで裏目に出ているような気もするけど……私は依頼主の王妃様からの指示通りにしていて、このまま突き進むしかない。
「ええ……ほんの世間話程度ですが。偶然、名前を知ることになりましたが、彼ももう少しで王太子妃になる私の顔を、覚えて貰いたいのかもしれません」
ギャレット様のお顔はとても整っている代わりに、真顔になると少々怖い。
それも、戦う剣士でもあるせいか目力が異常に強いので、間近で彼の視線を受け止める私は体力を削られていくしかない。
この状況で、私が逃げてしまうのもおかしい。だって、私は彼のことを好きだから婚約者に選ばれているのだから。
ギャレット様、お願いだから……もう少し、離れてえ……。
「ローレンには、少し隙があるようだな」
「隙ですか? いいえ。私はそのような……」
珍しく相当苛立っている様子のギャレット様は、眉を寄せて顔を近づけた。
「随分とあいつと親しげに話しているように、俺には見えた……何か個人的な話でもしていたのか?」
「何を……いいえ。それは気のせいですよ。彼と私は、名前を知っている程度の仲ですもの」
王妃様はきっと、恋愛に全く興味なさそうだったギャレット様が、こんなにも私の行動を気にしていることを知らないのだ。
以前、ギャレット様に好意を持たれているようだと報告した時も、あの子は美人を見慣れているのだから、各国の美姫にも眉ひとつ動かさなかったお前程度で何を勘違いしているのだと一蹴されたし、ペルセフォネ様の指示だって、なんだか逆効果になってるみたいだし……彼の好意が高まったところで、イーサンという恋敵が現れれば、もっと私への執着が深まるかもしれない。
「そうか。だが、ローレン。君は俺の婚約者なんだ。誤解を受けるような行動は慎んでくれ」
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