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43 証拠
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結局のところ、急ぎお会いした父王イエルク様は、王妃アニータ様のあれこれを事前にご承知なようだった。
どうしようもない弱みを持つ私を使って自分の姪が成人するまでの時間を延ばし、義理の息子が思い通りに動かないなら消してしまおうと思ったことも、既に知っているようだ。
けれど、彼女がやったという決定的な証拠が揃うまでは、泳がせているらしい。私のことも「ギャレットの婚約者として戻りたいのなら許すが、二度目は絶対に許さない」と笑って言っただけで、特にお咎めなしだった。
イエルク様は王座にある為政者として厳格で有名な方だけど、ギャレット様のお父様だと言われれば確かによく似ていた。
お茶目な一面も可愛らしく「別に何もかも、すべて真実を明かす必要ない」として、私はイーサンと共にとある人物に脅されていたから一芝居打ったことになった。
王妃様は、これをどう思うだろうか。
とにかく、イエルク様とギャレット様は彼女のことを警戒しているというし、何かをする権力を持たない私は二人にお任せするしかないのだけど。
私は王太子の婚約者として、また住んでいた宮へと逆戻り。私は実は被害者で脅されていただけなんだと公表し、お世話になっていた侍女たちも同情してくれた。
今の私はぽかぽかと日差しの当たる庭園のベンチへ腰掛けて、手習程度の腕前だけど、幼い頃から趣味だった絵を描いていた。
お母様が亡くなりお父様が酒浸りになってしまってから、既に成人していた私はそれどころではなくなってしまった。
借金をどうするべきかと頭を悩ませ、楽しむこと何もかも手放してしまっていた。
けれど、こうして趣味に没頭するとすべて忘れられる。
美談を上から被せたからと、一度王太子を裏切った私を国民から良く思われないのは当然だ。誰かから嫌われていると思うと、切ない。
けれど、これはもう仕方ないことだ。
再び信用を得るまでに、長い時間が掛かることだろう。
状況の何もかもがすぐに良くなることはないのだから、今は不要なことは忘れて生きていくしかない。
「ああ……上手いな。ローレンは器用だと聞いていたが、絵の才能もあったのか」
いきなり声が聞こえて私はビクッとしたけど、低い声の主が誰かを悟り微笑んだ。
「ええ……素人で下手ですけど、良かったら何かお描きしますわ」
夢中になってきたらギャレット様がいつの間にか隣に座り、私の描いている絵を見て楽しげに笑っていた。
「いいや。趣味でこれはすごい。俺はローレンに前々から聞いてみたいと思っていたことがあるんだが……聞いてみても良いか?」
「……はい?」
ギャレット様は急に真面目な顔つきになり、彼の方へ向いた私と向かい合った。
「前にローレンが池の辺りで泣いていた時に、俺は偶然出くわしたことがあった。その時、まだ俺たちは婚約者になったばかりで、詳しい事情を聞くのも躊躇われた。あの時、何を理由で泣いていたんだ?」
「あ……ごめんなさい。ギャレット様。きっと、それは父の借金の工面だと思います。上手くいかないことが多くて……」
どうしようもない弱みを持つ私を使って自分の姪が成人するまでの時間を延ばし、義理の息子が思い通りに動かないなら消してしまおうと思ったことも、既に知っているようだ。
けれど、彼女がやったという決定的な証拠が揃うまでは、泳がせているらしい。私のことも「ギャレットの婚約者として戻りたいのなら許すが、二度目は絶対に許さない」と笑って言っただけで、特にお咎めなしだった。
イエルク様は王座にある為政者として厳格で有名な方だけど、ギャレット様のお父様だと言われれば確かによく似ていた。
お茶目な一面も可愛らしく「別に何もかも、すべて真実を明かす必要ない」として、私はイーサンと共にとある人物に脅されていたから一芝居打ったことになった。
王妃様は、これをどう思うだろうか。
とにかく、イエルク様とギャレット様は彼女のことを警戒しているというし、何かをする権力を持たない私は二人にお任せするしかないのだけど。
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けれど、こうして趣味に没頭するとすべて忘れられる。
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けれど、これはもう仕方ないことだ。
再び信用を得るまでに、長い時間が掛かることだろう。
状況の何もかもがすぐに良くなることはないのだから、今は不要なことは忘れて生きていくしかない。
「ああ……上手いな。ローレンは器用だと聞いていたが、絵の才能もあったのか」
いきなり声が聞こえて私はビクッとしたけど、低い声の主が誰かを悟り微笑んだ。
「ええ……素人で下手ですけど、良かったら何かお描きしますわ」
夢中になってきたらギャレット様がいつの間にか隣に座り、私の描いている絵を見て楽しげに笑っていた。
「いいや。趣味でこれはすごい。俺はローレンに前々から聞いてみたいと思っていたことがあるんだが……聞いてみても良いか?」
「……はい?」
ギャレット様は急に真面目な顔つきになり、彼の方へ向いた私と向かい合った。
「前にローレンが池の辺りで泣いていた時に、俺は偶然出くわしたことがあった。その時、まだ俺たちは婚約者になったばかりで、詳しい事情を聞くのも躊躇われた。あの時、何を理由で泣いていたんだ?」
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