花は風と共に散る【美醜逆転】

男性視点（本編読了後推奨）

1000人記念⭐︎ノア視点（楓さまリクエスト品）

その子はいきなりそこに居た。

遠征から帰ってみると、騎士団全体がざわついていた。なんでも寮のお世話係として雇った女の子がめちゃくちゃ可愛いらしい。
そんな可愛い子が何故ここに？という疑問はお金に困っていて高給なこの仕事にいやいや就いているんじゃないか、という予想に落ち着いた。

可愛いし、唯一仕事で関わっている新人の双子によると気立ても良くて働き者らしい。
そんな健気な可愛い子と身近に居られる気もしない俺達はせめて怖がらせたくなくて居るだろう場所や時間帯を避けることにした。

一度偶然、すれ違うこともあった。

向こうは急いでいたようで気がついていなかったかもしれないが、とにかく皆が言っていたように奇跡のように可愛くて、俺は見るだけで胸が詰まるようだった。

その瞬間が忘れられず馴染みの娼館に行っても彼女の妄想しか出来なくて、気もそぞろになっていつもの姐さんには怒られたりもした。

ああ、でももし神様がいるなら願うのに。
あんな子が恋人なら。
そんな風に思うことすら罪深く、とても切なかった。


そしたら、ノックがしてドアが開いたんだ。
「えっとノアさんにお願いがあって」
その時からずっと、君に囚われている。