花は風と共に散る【美醜逆転】

本編

直接対決

「私は恋人以外にどうこうした覚えはないんですけど、パメラさんは不特定多数の男性に言い寄っているみたいですね」
「…付き合う前のことはどうだって良いでしょう？誰かに貞節を誓っている訳でもないのに」
「そうですね。なら私が5人の恋人が居るのも全員同意の上でのことです。以前侮辱したことを謝っていただけませんか」
「…何の話かしら」
「忘れても構いませんけど、私の恋人を侮辱するのは今後一切辞めてください。それに…私の恋人にももう二度と近づかないで」
ぐっと怯むようにパメラさんは一歩後ずさると、私を睨んだ。ほんわか可愛い顔が台無しだ。

「何よ、どうせあなただってお金を貢がせたり、何か目的があるんでしょう？でないとなんで…あんな…」
「あなたに関係あります？それに…なにかパメラさんには目的があるように取れますけど、何か企んでいるんですか？」
私は薄く笑った。もちろん企んでいるよね？知っているんだ。私。
「…バカなこと言わないで。何もないわよ」
足音も荒く去っていった。

ヒューと口笛が聞こえた。
振り向いたら、フィースとイアンだ。爽やか美形な双子。ささくれ立った心が洗われる。
「やるじゃん、ガードルート。格好良かったよ」
「からかわないでよ」
むくれてフィースを見るとにやりといつもの笑顔で笑う。薄い青い目が楽しそうだ。
「ガードルート、あまり挑発するのは良くないよ」
無表情の深い青い目のイアンが言った。
「やられっぱなしだとストレス溜まるの」
私の頭を代わる代わる撫でる。すごく優しい手つきだ。

「私の恋人に二度と近づかないで、だっけ？痺れた。これ言ったらノアさんとミッキーさん感動して泣き出すんじゃない？」
「フィース、言ったら怒るよ」
背伸びしてほっぺたをつねる。いっつも皮肉屋フィースなんだから。
「いやー、もし僕だったら朝まで離さないな。絶対感動するって、だから言って良い？」
にやにや顔のフィースが憎い。私はちょっと顔を赤くした。
「ダメ」
「うわ、ますますすっげえ言いたい。言いたいっ。良いや、言っちゃえ」
というと、駆け出した。その背に声をかける。
「もうっ、言ったら絶対許さないからねっ」

イアンは相変わらず無表情で去っていくフィースを見てる。
「イアン？」
「ん、僕も言って欲しかったなと思ってただけ。頑張って出世するよ。ガードルート」
すこし口が綻ぶ。
「もうっ、二人ともからかって。そんなんじゃないってば」
私は赤くなった頬を押さえた。