花は風と共に散る【美醜逆転】

本編

あなたの側に

「それで僕にも？」
うん、と私はミッキー君に頷いた。2人で部屋に入り、ミッキー君は剣帯を外しながら私に振り向く。
「また仲間外れって言われちゃったら悲しいもの」
大きな茶色い目を細めてにこっと笑ってくれる。
「ありがとうございます。…でも、心配ですね。その手紙に何が書かれていたのか、も気になりますけど」
「うーん…ミッキー君なら、こういう状況ならどうやって調べる？」
ミッキー君はなんでもないことのように言った。
「本人に直接聞きます」
私は真っすぐな目にすこし息が詰まった。

「えっと…教えてもらえないかもしれないし…」
「それは聞いてからわかることですよね？ああだこうだ考えるよりは僕は行動してみたいです…もちろん最善のタイミングで、ですけど」
「流石ミッキー君だなあ」
ふふっと私は笑うとミッキー君は慌てて側に来た。他の人より背丈が近いからお互い屈まずに立ったままでも顔を近づけることが出来る。
「どういうことですか？」
「ミッキー君が最初に…えっと私にお願いしてきたことがあったでしょう？なんだか思い出しちゃって」
笑っている私の顔を見ながら顔を赤らめるとミッキー君は目を逸らした。
「…もう忘れてください。僕はすごくあの時必死だったんですよ。ガードルートさん」
「それはすごく伝わってきた。だからかな、叶えてあげたくなったの」
「…それは僕以外でも、ということですか？」
「ううん」
首を振るとミッキー君は不思議そうに尋ねる。

「どうしてですか？」
「ミッキー君が可愛くて顔がすごく私好みだったから、良いなあって思ったの。だからお願い聞いても良いかなって」
一拍置いてミッキー君が動いた。そっと私を抱きしめて、ちゅっと頬にキスをする。

「…ガードルートさんから見て、僕ってどういう風に見えているんですか？」
「すっごく可愛くて格好良くて、いつも真剣に向き合ってくれて最高の恋人だよ」
「ガードルートさん…嬉しいです。あなたにとってそう見えるなら、こんな顔に生まれてきて本当に良かったって思います」
「ミッキー君」
「今まで辛かったことが、すべてが帳消しになるくらいそれくらい嬉しいです。…あなたにとっても僕の存在がそうなれば良いと思います」