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幸せと不幸せの形
狂い出した歯車
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観察を始めて一週間が経った。
どの部屋の住人にも大きな変化はない。
そして俺も四六時中この最上階の住人全員を見張る事は不可能だ。
住人はほぼ毎日それぞれ外に出掛けていくが、流石に学校や職場、外出先まで付いていって見張る程興味も湧かなかったからだ。
ただ些細な変化は見られた。
まず、801号室に住んでいる家族。
相変わらず毎日幸せそうに食卓を囲んで話しているが、娘の一人が少し元気が無さそうに見えた。
ただたまたまその日何か嫌な事でもあったのだろうと俺は大して気に留めなかった。
802号室の住人は未だに帰ってきていない様子だ。
803号室の男女は数日観察して、婚約している事が分かった。
ただ相変わらずあまり会話も交わさず、お互い帰ってくる時間もバラバラだ。
あまり上手くいっていないのか…よく分からないが特に変化はない。
805号室の一人暮らしの男も毎日部屋に篭ってパソコンでぶつぶつ小声で話しながら長時間何やら作業をして、一定時間経つと少し眠る。
何やら書き物をして生計を立てている様だ。
たまに電話が掛かってきて仕事の話もしているようだ。
詳しくは分からないが、ただ単に引きこもっている訳でもないし、たまに出かけてスーパーの袋に食糧を抱えて帰ってくる。
部屋もたまにだが、掃除もしている。
部屋が殺風景なのは物がないからなのもあるが、それなりに片付いているからだ。
思っていたよりまともな生活をしている様だった。
角部屋の806号室の親子だが、父子家庭のようで学生の娘が主に家事をしている。
娘が毎日制服で学校から帰り、夕食も作っているが、父親の仕事が忙しい様で娘が父親の食事を用意して先に寝ている様だ。
父親は毎晩日付が変わる頃に帰宅して娘が作った食事を食べ、眠る。
父親は憔悴している様だった。
大きな変化は無かったのだ、ただ確実に何かが崩れていくような予感がした。
俺はただの暇つぶしで見ているだけだった。
幽霊だから、生きている人間に干渉する気もさらさらない。
俺はこの住人には見えない。
触れる事も出来ない。
声も届かない。
俺は傍観者になるしかない。
例え何が起きようとも。
どの部屋の住人にも大きな変化はない。
そして俺も四六時中この最上階の住人全員を見張る事は不可能だ。
住人はほぼ毎日それぞれ外に出掛けていくが、流石に学校や職場、外出先まで付いていって見張る程興味も湧かなかったからだ。
ただ些細な変化は見られた。
まず、801号室に住んでいる家族。
相変わらず毎日幸せそうに食卓を囲んで話しているが、娘の一人が少し元気が無さそうに見えた。
ただたまたまその日何か嫌な事でもあったのだろうと俺は大して気に留めなかった。
802号室の住人は未だに帰ってきていない様子だ。
803号室の男女は数日観察して、婚約している事が分かった。
ただ相変わらずあまり会話も交わさず、お互い帰ってくる時間もバラバラだ。
あまり上手くいっていないのか…よく分からないが特に変化はない。
805号室の一人暮らしの男も毎日部屋に篭ってパソコンでぶつぶつ小声で話しながら長時間何やら作業をして、一定時間経つと少し眠る。
何やら書き物をして生計を立てている様だ。
たまに電話が掛かってきて仕事の話もしているようだ。
詳しくは分からないが、ただ単に引きこもっている訳でもないし、たまに出かけてスーパーの袋に食糧を抱えて帰ってくる。
部屋もたまにだが、掃除もしている。
部屋が殺風景なのは物がないからなのもあるが、それなりに片付いているからだ。
思っていたよりまともな生活をしている様だった。
角部屋の806号室の親子だが、父子家庭のようで学生の娘が主に家事をしている。
娘が毎日制服で学校から帰り、夕食も作っているが、父親の仕事が忙しい様で娘が父親の食事を用意して先に寝ている様だ。
父親は毎晩日付が変わる頃に帰宅して娘が作った食事を食べ、眠る。
父親は憔悴している様だった。
大きな変化は無かったのだ、ただ確実に何かが崩れていくような予感がした。
俺はただの暇つぶしで見ているだけだった。
幽霊だから、生きている人間に干渉する気もさらさらない。
俺はこの住人には見えない。
触れる事も出来ない。
声も届かない。
俺は傍観者になるしかない。
例え何が起きようとも。
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