お前なんかに喰われてたまるかコノヤロー!

只野ぱんだ

文字の大きさ
19 / 44
囲い込み

母親味方につけるとかやるじゃねぇか

しおりを挟む
どうやらアパートまで近衛はバスと歩きで帰る予定だと言うので、母が気を使って車に乗っていきなさいと言い、近衛と3人で帰る事になってしまった。

軽自動車の後部座席に近衛を乗せて、荷物も近衛の近くへ置いて私は助手席へ...と思った瞬間手を掴まれ引かれ、そのまま近衛の隣に座ってしまう。

「え!」

「隣車が入って来たから危ないって思って」

確かに大型の黒い車が勢い良く隣に入ってきたぞ、危ないなぁ...そのまま出てたらぶつかってたかも...

「もう!しえちゃんぼんやりとしてるから...近衛君ありがとうね」

「いいえ、当然のことをしたまでなので」

と笑顔で近衛は母に答える。

「あ...ありがとう...」

「市橋さんが怪我しなくて良かった」

とこちらにも笑顔を向けるがやはりその目の奥にある『何か』にざわりとする。

隣の車が止まったのを確認し、助手席へ戻るつもりでドアに手をかけようとすると

「しえちゃん、もうこのまま後ろの席にいなさい、いいわよね近衛君」

「はい、市橋さんと話もしたかったので」

って、母よ...えええ...

結局そのまま後ろの席で近衛慶秋と並んだまま帰る結果に...近衛はいろいろ話しかけては来るが、なんだかうんうんと頷くしか出来なかった...

──

「市橋さんのお母さん、ありがとうございます」

近衛慶秋のアパート...いやマンションに着いた訳だがなんだ...ここオートロックタイプの高級そうな新築マンションじゃないか!

亡くなったお爺ちゃんから継いだ、築50年のややボロ屋の我が家とはえらい違う...

「じゃあ市橋さん、また明日」

近衛は笑顔で挨拶しマンションへ入って行く...ガチモンのブルジョワめ...

「それにしても礼儀正しいし優しいしイケメンだしお金持ちだし...すごい子と付き合ってるのね、しえちゃん」

「付き合ってなぞないぞ!母よ!」

「まぁまぁ照れちゃって!」

だから娘に彼氏出来た風の目ヤメレ!!!!

──

近衛が自分に部屋に入るとそこには春信が待っていた。

「はは、お前母親を味方につけるとかやるじゃねぇか」

春信は笑いながらペットボトルのミネラルウォーターを呷る。

「...そんなつもりじゃないが、史絵の母親に良いイメージを持って貰った方がやりやすいかと思ったんだ」

「はは、それで良い...ただ等の本人がお前の事をまだ怖がってるからな、何とかしねぇと他の『奴等』に取られちまうかもだがな」

ミネラルウォーターを片手に近衛に指差す。

「!」

「...俺らにとって極上なのはな、他の連中にとっても同じ事だからなぁ」

「早くしなきゃ...」

今にも外に出て行こうとするが、春信は近衛を止める。

「焦るな慶秋...気になる動きは俺が見る...お前はお前の分に専念しろ」

近衛に近づきポン、と肩を叩く。

「...わかった...」

近衛はコクリ...と頷いた。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

幼馴染の許嫁

山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

処理中です...