選ばれた天職は✳︎✳︎✳︎です!! 〜剣と魔術の世界で生き残れ!〜

Nishy

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第1章 存在の意義

8話 暗転

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 太陽の光が眩しくて僕は目を覚ました。地面からゆっくり起きあがろうとする。


「ッッ!!」 

 側頭部に鈍い痛みが走る。あれ、なんで森にいるんだ・・。何しに森へ・・。辺りをゆっくりと見渡すと少し離れたところに見慣れた蒼髪の少女が倒れていた。お気に入りと言っていた杖と帽子が離れたところに転がっている。
 
 
 そうか、僕は彼女と森へ来たんだ。ボーッとする頭で思い出していると最後の光景を思い出した。そうだ彼女の様子は・・!
 慌てて彼女の近くへ向かう。仰向けに崩れ落ちたので顔や目立ったところに怪我はないが後頭部にたん瘤ができていた。気を失っているようだが呼吸は安定していた。


 彼女の安全を確かめると人影がいたであろう方向を見た。誰だかわからないが僕とペンネのことをよく思っていない者の犯行だろう。

 
 冬ということもあり太陽の傾きが早い。早めに森から出ないと帰れなくなるかもしれない。冷静にそう判断したその時、地面から小さな振動が響いてきた。
 慌てて辺りを見渡す。木に降り積もった雪が振動で降り落ちてくる。ズシッ、ズシッと何かが雪を踏みしめて近づいてくる。冷や汗が頬を伝う。


 森の奥からがくる。


 近くに落ちていた木の棒を取った。剣術の覚えはないがないよりはマシだろう。振り返ってペンネを見る。僕なんかよりもよっぽど頼れる彼女はまだ起きそうにない。
 見切りや魔力鑑定のスキルも持たない僕だがやってくるナニカがやばい奴というのは僕の本能が知らせていた。近づいてくるたびに悪寒が強くなる。
 

 しかし、ここで逃げても逃げ切れるかもわからないし、最悪僕が囮となって彼女から遠い場所まで誘導できるかもしれない。
 覚悟を決めて奴が来るであろう方向を見据えた。

 

 此方から30m程離れた開けた場所にソイツはいた。





 
 はじめは人間だと思った。二足歩行に冬らしく毛皮を装備しており此方を見ていた。しかしよく見てみると明らかに人間より2回りは大きい。頭からは耳が出ている。此方をぎらついた紅目で凝視していた。


 狼獣人ワーウルフだと父から聞いた特徴を照らし合わせて判断した。


 狼獣人なら昼間は活動時間ではないはずだがその理由もなんとなく理解できた。奴は魔獣化してしまっている。
 体からは黒い瘴気が立ち上り、通常の狼獣人の金目から魔獣の象徴である紅目に変色している。視認できるようになり更に悪寒が強くなる。
 魔獣化した動物、生物は魔獣として認識・周知され討伐対象となる。獣人などはまだコミュニケーションが取れるからまだしも魔獣化してしまえばもう正気には戻れない。


 奴は此方を見たまま動かない。いや、動かないのではなく観察しているのだろう。ジリジリと時間が過ぎていく。

 
「うぅん・・・。」


 後ろからペンネが気がついたのであろう呻き声が聞こえた。僕は頭で理解していても思わず其方を見てしまった。


「ペンネ、逃げろ!!」


 次の瞬間、僕は宙に浮かびながら何が起きたかわからないでいた。5m程飛ばされすぐに起きようとする。しかし今度は、左肩に奴の爪が突き刺さりながら掬い上げるようにして投げられた。


「ぐあぁ~~~~!!!!」


 僕の絶叫が辺りに響き渡る。抉られた左肩は裂傷こそひどくないが刺された深さは重症に部類されるほどひどいものだった。


 熱い痛い痛い痛いアツイイタイ熱いイタイ・・・・!!!!
修練も積んでない僕に受け身など取れるはずもなく無様に地面に転がる。あまりの痛さに視界が滲み、ペンネを気遣う余裕もなかった。

 
 奴は2撃で僕を無力化できて満足なのか今度は気づいて間もないペンネの方へ向かった。
 ペンネは僕の声と叫びを聞いて意識を覚醒させたのか既に杖を両手に持って白魔術の詠唱を始めていた。


「・・・打ち払え、聖白光球ホーリーボール


白魔術の基本である聖白光球で狼獣人を牽制する。しかし奴は素早さと攻撃力が高い種族だ。簡単に避けられてしまう。


狼獣人がペンネに向かって鋭い爪を振り下ろす!!


「万象を防ぎ給え、神霊操壁アイギス!!」


バコォォンッッッ!!!


 凄まじい音と同時に狼獣人の爪撃がペンネの前で止まる。ペンネの前に陽炎のように揺らぎながら分厚い膜が展開されていた。奴が爪を動かそうにも動かせないようだ。ペンネも額に汗を浮かべて詠唱の持続を図っている。

 
 チャンスは今しかない

 
 痛む体に鞭を打って僕は近くにあった大きめの石を両手に持って駆け出した。
 みっともなくていい、彼女ペンネが助かるのならこんな左腕の一本くらい・・・!!!


「くれてやるよぉ!!!!」


ボコォッ!!
鈍い音が狼獣人の右太腿から鳴り響く。続いて


「ギャァァァァァァァァァァ!!!」


 奴の悶絶する声が鳴り響いた。


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