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第1章 存在の意義
9話 光
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☆
出血で朦朧とし始めた意識の中、狼獣人の右太腿をなんとか殴りつけた。今の一撃で自身の左腕も力が入らない。出血のせいだろう。
奴を見ると右太腿は大きく膨れ上がり大声で泣き喚いていた。恐らく骨にヒビ以上のダメージは入れれたようだ。
「ザマァみろ」と心の中で呟くと奴は紅目で此方をギョロリと睨んだ。想定通りだ。今のうちにペンネだけでもと彼女に声をかける。
「ペンネ、今すぐ村へ帰るんだ。」
「はぁっ!?」
驚きと抗議の声が彼女から上る。
「あなた自分が何言ってるか分かってんの!?そんなマネ出来ないわ!」
「このままじゃジリ貧だ。君だけでも無事に村へ帰るんだ。じゃないと共倒れだぞ!」
実際ペンネの白属性魔術は防御、バフ向きの魔術だ。攻撃にしても決定打に欠ける。2人のうち何方かが犠牲にならないと一方は帰れない。
「天職も顕現しないような奴は早いところ見捨てろ。君は天職も級もまだ伸ばせる。ここで死んだらダメだ。頼む、行ってくれ!!」
「で、でも・・・。」
そうこうしている内に狼獣人は片足でバランスを取りながら立ち上がった。もう迷っている時間はない。僕は握っていた石を狼獣人に投げつけながらわざと足を引きずるフリをしながら半面で逃げ出す。
狼獣人は僕とペンネを見比べダメージを負っている僕の方へ四足歩行で着いてきた。
「待って、アイル!!」
彼女の声を無視して僕は奴を挑発しながら駆け出した。
・
・
・
☆
着いてくる狼獣人を横目で確認しながらひたすら南東に向かって走る。奴は慣れない四足歩行で付かず離れず着いてくる。村の方は走ってきたこともあり見慣れた景色が増えてきた。そろそろ目的地だな。
「っと」
目の前と左右は急な崖、後ろは狼獣人と絶体絶命の布陣だ。だが、これしかない。走りながらの観察で分かったことは奴のスタミナはまだまだ余裕があるということだ。
こうなったら僕にできることは奴の生贄になるしかない。再度覚悟を決めた。11年しか生きてないけど精一杯生きてこれたと胸は張れるだろう。
奴が此方を向きつつ様子を見ている。もう何も出来ないよ・・。
「父さん、母さん、ミヤ・・・。」
両親と妹の顔が思い浮かぶ。負傷しながら走ったことが祟ったらしい。もう視界も狭くなってきた。
奴が此方に向かって爪を振りかぶって襲いかかる。背中を切り裂いたのだろう。一瞬遅れてカッと背中が熱を帯びる。
「ウグゥゥ~・・・!!」
もう呻くことも満足に出来ない。奴が再度爪を振り下ろす。僕は衝撃に備えて目を瞑った。
あれ?なんで痛くないんだ?目を薄く開けると見の前に陽炎のような膜が狼獣人の爪撃を食い止めていた。
これって・・・。たまらず彼女の名前を呼んだ。
「ペンネッ!なんで来たんだ!」
「あなたを死なせたくないからに決まってるでしょ!」
彼女は肩で息をしながら神霊操壁を展開していた。
あぁ、なんて暖かい人だ。僕はそう思うと同時に自らの無力を呪った。僕に天職が顕現さえすれば、この状況を打破できるのに・・!!
出血により視界が暗くなる。ペンネが何か叫んでいたがよく聞き取れなかった。消えゆく意識の中で僕が最後に強く思ったことは自らに対する憎しみだった。
・
・
・
視界の一点が突如光り出した。それは段々と視界全体に広がり僕は・・・
どこかはわからないが黒い大地に立っていた。周りを見渡しても木々や建物、動物などは見受けない。思わず呼びかける。
「父さん!母さん!ペンネ!」
この空間には誰もいないようだ。思わずしゃがみ込んでしまった。生前あれだけ一生懸命生きても死後はこんな場所に来るのか。アイルは絶望してしまった。
同時に最後の光景を思い出す。彼女は無事だろうか?なぜ僕は無力なのか?誰が僕らを気絶させたのか?なぜ天職がわからないだけで不当な扱いを受けなければならないのか?なぜ神は僕の天職だけわからないようにしたのか?
思い浮かべるだけでも辛酸で顔が歪んでいく。
そして最後に出てきたのは・・・
“まだ生きたかった“
生前への強烈な未練であった。
出血で朦朧とし始めた意識の中、狼獣人の右太腿をなんとか殴りつけた。今の一撃で自身の左腕も力が入らない。出血のせいだろう。
奴を見ると右太腿は大きく膨れ上がり大声で泣き喚いていた。恐らく骨にヒビ以上のダメージは入れれたようだ。
「ザマァみろ」と心の中で呟くと奴は紅目で此方をギョロリと睨んだ。想定通りだ。今のうちにペンネだけでもと彼女に声をかける。
「ペンネ、今すぐ村へ帰るんだ。」
「はぁっ!?」
驚きと抗議の声が彼女から上る。
「あなた自分が何言ってるか分かってんの!?そんなマネ出来ないわ!」
「このままじゃジリ貧だ。君だけでも無事に村へ帰るんだ。じゃないと共倒れだぞ!」
実際ペンネの白属性魔術は防御、バフ向きの魔術だ。攻撃にしても決定打に欠ける。2人のうち何方かが犠牲にならないと一方は帰れない。
「天職も顕現しないような奴は早いところ見捨てろ。君は天職も級もまだ伸ばせる。ここで死んだらダメだ。頼む、行ってくれ!!」
「で、でも・・・。」
そうこうしている内に狼獣人は片足でバランスを取りながら立ち上がった。もう迷っている時間はない。僕は握っていた石を狼獣人に投げつけながらわざと足を引きずるフリをしながら半面で逃げ出す。
狼獣人は僕とペンネを見比べダメージを負っている僕の方へ四足歩行で着いてきた。
「待って、アイル!!」
彼女の声を無視して僕は奴を挑発しながら駆け出した。
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着いてくる狼獣人を横目で確認しながらひたすら南東に向かって走る。奴は慣れない四足歩行で付かず離れず着いてくる。村の方は走ってきたこともあり見慣れた景色が増えてきた。そろそろ目的地だな。
「っと」
目の前と左右は急な崖、後ろは狼獣人と絶体絶命の布陣だ。だが、これしかない。走りながらの観察で分かったことは奴のスタミナはまだまだ余裕があるということだ。
こうなったら僕にできることは奴の生贄になるしかない。再度覚悟を決めた。11年しか生きてないけど精一杯生きてこれたと胸は張れるだろう。
奴が此方を向きつつ様子を見ている。もう何も出来ないよ・・。
「父さん、母さん、ミヤ・・・。」
両親と妹の顔が思い浮かぶ。負傷しながら走ったことが祟ったらしい。もう視界も狭くなってきた。
奴が此方に向かって爪を振りかぶって襲いかかる。背中を切り裂いたのだろう。一瞬遅れてカッと背中が熱を帯びる。
「ウグゥゥ~・・・!!」
もう呻くことも満足に出来ない。奴が再度爪を振り下ろす。僕は衝撃に備えて目を瞑った。
あれ?なんで痛くないんだ?目を薄く開けると見の前に陽炎のような膜が狼獣人の爪撃を食い止めていた。
これって・・・。たまらず彼女の名前を呼んだ。
「ペンネッ!なんで来たんだ!」
「あなたを死なせたくないからに決まってるでしょ!」
彼女は肩で息をしながら神霊操壁を展開していた。
あぁ、なんて暖かい人だ。僕はそう思うと同時に自らの無力を呪った。僕に天職が顕現さえすれば、この状況を打破できるのに・・!!
出血により視界が暗くなる。ペンネが何か叫んでいたがよく聞き取れなかった。消えゆく意識の中で僕が最後に強く思ったことは自らに対する憎しみだった。
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視界の一点が突如光り出した。それは段々と視界全体に広がり僕は・・・
どこかはわからないが黒い大地に立っていた。周りを見渡しても木々や建物、動物などは見受けない。思わず呼びかける。
「父さん!母さん!ペンネ!」
この空間には誰もいないようだ。思わずしゃがみ込んでしまった。生前あれだけ一生懸命生きても死後はこんな場所に来るのか。アイルは絶望してしまった。
同時に最後の光景を思い出す。彼女は無事だろうか?なぜ僕は無力なのか?誰が僕らを気絶させたのか?なぜ天職がわからないだけで不当な扱いを受けなければならないのか?なぜ神は僕の天職だけわからないようにしたのか?
思い浮かべるだけでも辛酸で顔が歪んでいく。
そして最後に出てきたのは・・・
“まだ生きたかった“
生前への強烈な未練であった。
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