選ばれた天職は✳︎✳︎✳︎です!! 〜剣と魔術の世界で生き残れ!〜

Nishy

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第1章 存在の意義

17話 異変

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 見張り番とのやり取りの後、僕らは冒険者ギルドへ向かった。もう夜に差し掛かる時間だけあり人通りは少ない。空いた道を2人並んで歩いていく。いつもはグループの後ろをついて歩いていたが、今はペンネを助けれるくらい、強い力をつけた。そう思うと誇らしかった。


 冒険者ギルドはその名の通り冒険者達の職場かつ情報共有の場所だ。瘴気が強い土地に隣接した都市などのギルドは、実力も高く人数も100ではきかないだろう。
 

 ここキロスカ村は西を海、北は森、南と東は草原が広がる土地で瘴気が発生するような土地柄でなく、ギルドメンバーもそれ程多くない。初心者ビギナーには割と人気の村で近隣の村からも仕事をしにくる人もいる。
 

 ギルドの扉を開け中に入る。眩しい光に目が慣れると、カウンターに座る受付兼情報収集官のルカさんがお茶を飲んで寛いでいた。
 彼女は10年近く此処で仕事をしているベテランだ。160ほどの身長、人懐っこい笑顔、金髪のサイドテールがトレードマークだ。いつもは僕を見たら笑顔を送ってくれるのだが今日は怪訝な表情だ。


「こんばんは、何が御用でしょうか?」


「こんばんは、ルカさん。アイルです」


「はぁ、アイルさん・・・、えぇ!アイルさんですか!?」


 やはり初見で見破れる人はいないようだ。僕は森で起きたことを一部隠しながら話す。流石に地獄の王サタンのことを言うわけにはいかない。
 森で襲撃されたこと、その後魔獣化した獣人に遭遇したところでルカさんは少し険しい顔をした。


「以前までは魔獣化の話なんて瘴気の強い土地のギルドからしか報告されていないのに、変ですねぇ・・」


「もしかして、他にも報告が?」


「はい、此処より東の村からの報告なのですがここ数年増えているらしいのです。まさか北の森でも出現するなんて・・・」


「今日は一体ひとりだったので良かったですけど、もし多数で襲撃されたら」


「この件はマスターと村長まで上げさせて頂きますね、。貴重な報告と対象の無力化、本当にありがとうございました」


 ルカさんは此方を真剣な眼差しで見た後軽く頭を下げた。それくらい魔獣化は重要な話のようだ。
 その後魔獣化した狼獣人ワーウルフの素材を彼女に渡して、換金して貰った。お金はペンネと半分こにした。


「ねぇ、アイル」


「ん?」


「本当に半分もくれるの?初めての換金報酬だし、貴方1人で倒したじゃない。こんなに貰えないわ」


 冒険者ギルドを出てそれぞれの家に帰る途中、ペンネは申し訳なさそうな表情で此方を見る。そんな彼女に僕は微笑みながら


「ペンネが居なければ僕はあの森で死んでいた。僕を助けてくれたんだよ?お金じゃまだ足りないくらいだよ」


「でも・・・」


 そう言いかけた彼女の頭を撫でる。身長が僕より低い彼女は上目遣いに此方を見上げる。


「本当に、あの時追いかけてきてくれてありがとう」


 今日何度目かは分からないが、感謝の言葉を送る。彼女も不承不承、言葉を飲んだ。








ー冒険者ギルド 受付ー ルカ視点


「やはり、妙ですね」


 そう呟いた彼女は手元の資料に再度目を通す。資料には此処数年分の魔物、魔獣の発見報告が綴られグラフまで出してある。
 さらにもう片手の資料は1000年前に存在したとある国で起きたとされる出来事の伝記。カピカピに乾燥した分厚い羊皮の表紙を撫でる。
 

 かつて、黄金の国といわれ繁栄していたヒガシノ国に魔獣・魔物の群れが突如大挙して押し寄せた。まだ魔術や剣術が発達していなかった人間はなす術もなく多くの屍を重ねた。
 その時の魔獣・魔物の進軍の光景は“百鬼夜行ひゃっきやこう“と呼ばれ、大陸中を震撼させた。
 結局、ヒガシノ国は壊滅し、各国は急速に対策を練ることとなる。その結果魔術と剣術が編み出されたのだ。

 ルカは一度資料をカウンターに置き、窓の外を見た。静かな海の上に上弦の月が出ている。
 

 月が此方を嘲笑っているかのように見えた。
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