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第1章 存在の意義
19話 力と代償
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☆
魔石を指揮棒に呑ませた時、頭に呪文が浮かんできた。浮かんだ呪文はしばらく揺らいだ後、消えたがまるで馴染みの言葉の様に頭に焼きついた。
「えっ、これだけで魔術が使える様に?」
『うむ、これがタクトが持つ特性の1つ、大喰らいじゃ。まだまだあるがな』
「何々、鋭爪撃・・」
『あっ、バカモノ!』
次の瞬間タクトの先が向いていた床に大きく5本の斬撃が刻まれた。音はそれほどしなかったが衝撃がすごく、木材の破片が部屋に飛び散った。
『バカモノ、いきなり詠唱するものがあるか!魔術の練習の基本は安全第一じゃろう』
サタンの呆れた様な声が聞こえる。まさかこれ程手軽に魔術が発動するとは。ペンネが聞いたら質問攻めされそうだ。
『タクトのことは他言無用じゃぞ。我が居なければ発動しないしそれを知らずにお主を襲う輩が出てくるかも知れん。
タクトは手軽に魔術を習得することができる一方、大喰らいと言うこともあり、一定期間のうちに魔石を呑ませなければならぬ。そこがちと辛いかもしれぬの』
魔石はキロスカ村では貴重な資源だ。魔物や魔獣から獲られるのだが、生成が上手くいっていない魔石を体内から取り出すとすぐに風化し石屑となってしまう。
僕も先程の魔石ほど綺麗なものは見たこともなく、部屋に飾ろうと取っておいたものなのだ。
「ちょっとアイル、今の振動なに?入るわよ」
『「あっ」』
この後、床の跡を見つけた母さんに叱られたのは言うまでもない。
・
・
・
☆
「アイル、修練場に行きましょう」
「えっ」
翌朝、まだ朝早い時間からペンネが我が家に来て開口一番提案した。昨日と違いまた無表情に戻った彼女の提案を僕は思わず聞き直してしまった。
「ごめんなさい、嫌だったかしら・・・」
「いやいや、少しびっくりしただけだから気にしないで」
形のいい眉毛を少しハの字にした彼女は悲しそうな表情をとる。
慌てて謝罪し、すぐに行くことを伝える。
「分かった。外で待ってる」
心なしか明るい声音で返事をした彼女は、家の庭に設置されているベンチに座り、手持ちの鞄から紙の束を取り出し読み出した。
手早く朝食を取り、両親に出掛けることを告げるタクトを片手に家を飛び出した。
・
・
・
修練場に着くや否やペンネは僕の中にいるサタンに尋ねた。
「サタンさん、私の魂の欠片、なんとかならない?」
『ならぬ』
ペンネの質問に対して、サタンは即答した。それでも彼女は食い下がる。
「お願い、私も彼の力になりたいの。どんな時だろうと、どんな事だろうと、決して裏切ったりしない。お願いします」
そう言うと、ペンネは蒼髪の頭を下げる。最敬礼のお辞儀で1番格式の高いお辞儀だ。そんな彼女の姿を見てサタンに尋ねた。
『昨日から急に態度が変化しているけどなんで?』
『お主、操魂士の説明は覚えておるか?対象の魂へ干渉するということは向こうも干渉することが出来るということじゃ。
お主の魂は実に清廉潔白、我が褒めるくらいの高貴な魂の持ち主じゃ。昨日のやり取りでお主に対して魂の次元で求めてしまっているのじゃろう。
感情だけであれだけ雑味がなかったのじゃ、魂など依存症になってもおかしくないぞ』
サタンが恐ろしいことを言う。操魂士、麻薬の様で実に危険な天職である。
『で、どうするのじゃ?』
『僕に振るの?』
『我はお主の感情を吸わせてもらうだけだしの、困るのはそこの娘とその後のお主じゃ』
『う~ん』
悩むのも仕方ないことだろう。下手をしたら一生僕と関わりを持たなければならないのだから。そのことも含めて彼女に聞いた。
「下手をしたら僕と死ぬまで関わりを持たないといけないけど本当にいいの?」
「覚悟の上です」
即答である。いつも冷静な彼女にしては本当に珍しい。知的好奇心の賜物かと勝手に納得し再度サタンに呼びかける。
『彼女のためにもやってあげない?』
『そうか・・・』
借りるぞと一声かけたサタンは僕から意識を借りてペンネに問う。
「アイルがいいと言ったからやってやろう。だが、まだ完全に解放するのは無理じゃ。今は一部的にしか解放できぬぞ」
「それでもいいです。よろしくお願いします」
杖をギュッと握り此方を蒼い目で見つめる。
『やるぞ、アイル』
サタンが低く呟いた。
魔石を指揮棒に呑ませた時、頭に呪文が浮かんできた。浮かんだ呪文はしばらく揺らいだ後、消えたがまるで馴染みの言葉の様に頭に焼きついた。
「えっ、これだけで魔術が使える様に?」
『うむ、これがタクトが持つ特性の1つ、大喰らいじゃ。まだまだあるがな』
「何々、鋭爪撃・・」
『あっ、バカモノ!』
次の瞬間タクトの先が向いていた床に大きく5本の斬撃が刻まれた。音はそれほどしなかったが衝撃がすごく、木材の破片が部屋に飛び散った。
『バカモノ、いきなり詠唱するものがあるか!魔術の練習の基本は安全第一じゃろう』
サタンの呆れた様な声が聞こえる。まさかこれ程手軽に魔術が発動するとは。ペンネが聞いたら質問攻めされそうだ。
『タクトのことは他言無用じゃぞ。我が居なければ発動しないしそれを知らずにお主を襲う輩が出てくるかも知れん。
タクトは手軽に魔術を習得することができる一方、大喰らいと言うこともあり、一定期間のうちに魔石を呑ませなければならぬ。そこがちと辛いかもしれぬの』
魔石はキロスカ村では貴重な資源だ。魔物や魔獣から獲られるのだが、生成が上手くいっていない魔石を体内から取り出すとすぐに風化し石屑となってしまう。
僕も先程の魔石ほど綺麗なものは見たこともなく、部屋に飾ろうと取っておいたものなのだ。
「ちょっとアイル、今の振動なに?入るわよ」
『「あっ」』
この後、床の跡を見つけた母さんに叱られたのは言うまでもない。
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「アイル、修練場に行きましょう」
「えっ」
翌朝、まだ朝早い時間からペンネが我が家に来て開口一番提案した。昨日と違いまた無表情に戻った彼女の提案を僕は思わず聞き直してしまった。
「ごめんなさい、嫌だったかしら・・・」
「いやいや、少しびっくりしただけだから気にしないで」
形のいい眉毛を少しハの字にした彼女は悲しそうな表情をとる。
慌てて謝罪し、すぐに行くことを伝える。
「分かった。外で待ってる」
心なしか明るい声音で返事をした彼女は、家の庭に設置されているベンチに座り、手持ちの鞄から紙の束を取り出し読み出した。
手早く朝食を取り、両親に出掛けることを告げるタクトを片手に家を飛び出した。
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修練場に着くや否やペンネは僕の中にいるサタンに尋ねた。
「サタンさん、私の魂の欠片、なんとかならない?」
『ならぬ』
ペンネの質問に対して、サタンは即答した。それでも彼女は食い下がる。
「お願い、私も彼の力になりたいの。どんな時だろうと、どんな事だろうと、決して裏切ったりしない。お願いします」
そう言うと、ペンネは蒼髪の頭を下げる。最敬礼のお辞儀で1番格式の高いお辞儀だ。そんな彼女の姿を見てサタンに尋ねた。
『昨日から急に態度が変化しているけどなんで?』
『お主、操魂士の説明は覚えておるか?対象の魂へ干渉するということは向こうも干渉することが出来るということじゃ。
お主の魂は実に清廉潔白、我が褒めるくらいの高貴な魂の持ち主じゃ。昨日のやり取りでお主に対して魂の次元で求めてしまっているのじゃろう。
感情だけであれだけ雑味がなかったのじゃ、魂など依存症になってもおかしくないぞ』
サタンが恐ろしいことを言う。操魂士、麻薬の様で実に危険な天職である。
『で、どうするのじゃ?』
『僕に振るの?』
『我はお主の感情を吸わせてもらうだけだしの、困るのはそこの娘とその後のお主じゃ』
『う~ん』
悩むのも仕方ないことだろう。下手をしたら一生僕と関わりを持たなければならないのだから。そのことも含めて彼女に聞いた。
「下手をしたら僕と死ぬまで関わりを持たないといけないけど本当にいいの?」
「覚悟の上です」
即答である。いつも冷静な彼女にしては本当に珍しい。知的好奇心の賜物かと勝手に納得し再度サタンに呼びかける。
『彼女のためにもやってあげない?』
『そうか・・・』
借りるぞと一声かけたサタンは僕から意識を借りてペンネに問う。
「アイルがいいと言ったからやってやろう。だが、まだ完全に解放するのは無理じゃ。今は一部的にしか解放できぬぞ」
「それでもいいです。よろしくお願いします」
杖をギュッと握り此方を蒼い目で見つめる。
『やるぞ、アイル』
サタンが低く呟いた。
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