選ばれた天職は✳︎✳︎✳︎です!! 〜剣と魔術の世界で生き残れ!〜

Nishy

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第1章 存在の意義

44話 ユラ

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 白くなっていた視界が次第に戻っていく。黒炎は消え、少女ユラの体が地面に横たわっている。気づけばペンネが僕の体を支えている。


『「お疲れ様です、儀式は終わりましたよ」』


 優しく労わる声が心地よい。


『「ありがとう、それよりも彼女は?」』


『「さぁ、まだ起きていませんけど・・・」』


『何、お主が声を掛ければ目を覚ますであろう。それよりも、アイル・・・


 よくぞ耐え切った。褒めてやろう』


 サタンの嬉しそうな声を聞きながら満足げな表情で僕は話した。


『今回も、ありがとう。それより・・・』


『「ユラさん、起きて下さい。戻ってきましたよ」』


 優しく彼女の肩に手を当てながら声を掛ける。すると、ゆっくりと彼女の瞳が開いていく。土気色の肌に鮮やかな茶色の目が映える。肌色からは考えられないようなほど生気のこもった目が此方を見る。


「ひぃっ!!」


 彼女は僕ら身を見るや否や悲鳴をあげ、怯えた目で此方を見る。


『「あっ」』


 同調を切ることをすっかり忘れていた。










「では、貴方があのアイルさんですか?」


『「ええ、嘘ではありません」』


 じとーっとした視線が此方に刺さる。下手をしたら魔族の人に見られるかもしれない。迂闊だった。


「まぁ、信じてあげます。助けて頂いた身で言うのもあれなんですれど・・・」


『「どうしました?なんでも言って下さい」』


「何か食べ物はありませんか?力が入らなくて・・」


 そう言えば僕もお腹が・・・。3人分のお腹の虫が鳴った。







「では此処から更に南に行った集落からの出身何ですか?」


「はい、人数も規模も小さいですが草花がとても綺麗な里でした。まさか魔物の大群に襲われるとは思いませんでしたが」


 あれから、持ってきた水分と食料で休憩をしつつ、ユラとペンネとの会話に花が咲く。蘇生者とはいえ、南方の出身者だ。貴重な情報である。


「どのくらい前に襲われたのですか?」


「今日が満月だから・・・。大体10日程前の晩ですかね。其処の骨の大群に里が襲われました」


「集落の防衛はどうなっていたの?」


「それはもう、力を入れていましたよ。私の村はその昔、東の国から逃げてきたみたいで、その時も魔物の大群に襲われたみたいです。

 柵も二重に設置、見張り用の櫓では視力の良い見張り番が360度警戒をする厳重っぷり。避難用の経路も小さいながらありました。


 それでも毎晩の様に襲撃に晒され、一人、また一人と命を落としていきました。

 奴はに此方の武器は通じませぬ。疲労の蓄積が続き、とうとう突破されて里は壊滅しました。」


「魔術師はいなかったのですか?」


「魔術師?それは何ですか?」


「「えっ?」」


 思わず固まる。もしかして・・・


「魔術を使える人を見たことがない?周辺の村とも交易があれば見たことあると思うんだけど」


「我が里は逃げ延びた者達によって形成されてきました。周辺の村や里は存在も知らないと思います」

「じゃ、貿易もしていない?」


「はい、必要なものは里でも生産できますから。とくにふじゆうはなかったですね」


「そっかぁ。・・・あれ、でもお守り様は?あの方の出す糸は魔力だと思ったんだけどな」


「お守り様?お守り様の姿を見たのですか!?」


「うぉ、どうしたの?」


「お守り様の姿が見えたのは私以外初めてです。貴方は一体・・・?」


「お守り様と言えば、ユラさんはお守り様と同調できるの?」


「はい?同調?なんですかそれは?」


 僕は首を傾げる。


『サタン、何とかできる?』


『お主が直接其奴に話せば良かろう?小娘の身体に触らなければならぬがな』


 ユラさんの目を見て言う。


「お守り様と話したいから少し触るよ?」


「えっ?きゃっっ!?」


 肩に手を当てて念話を送る。


『お守り様、聴こえていますか?』


『貴様、何ユラに触れておる。八つ裂きにされたいか!』


 頭の中に少女の怒声が響く。


『お守り様、ユラさんと同調して下されば話が早いのですが、よろしいでしょうか?』


『やり方を教えろ』


 ぶすっとした口調で話が進み、ユラさんから手を離す。


「さあ、ユラさん。お守り様の存在を強く感じて下さい。きっと答えて下さいます」


「はい・・・。きゃっっ」


 目を瞑ったかと思えば光状の魔力が大地から渦を巻き、ユラの体に集まる。弾けたかと思えば其処には・・・


『「な、何これ~~!!」』


 ユラさんはその手に小さな黒髪人形を抱いていた。しかも喋る。


 僕とペンネは驚きで顔を見合わせるしかできなかった。
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