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第1章 存在の意義
47話 計画始動
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☆
ー キロスカ村 柵外 同時刻 ー
「さて、始めようか」
ルカさん経由で村長にはこの村の住人を集会所に集めてもらった。これから行う作業を見られたく無いからだ。
早速取り掛かる。腰のポーチから紅狼から貰った笛を取り出す。材質は不明だがとても軽いこの笛。今回の作業の要である。
一息深呼吸を挟んだ後、鋭く長く響く様にイメージをしつつ吹く。音は相変わらず出ない。しかし、能力を信じて暫し待つ。
辺りを見渡すと、村の防柵の柱の影から地の妖精が一人、此方を見ている。
前回見たノームよりもやや大柄で手にしているのも鎚ではなく、ラッパだ。
「やぁ、こんにちは」
アイルは屈むと同時に挨拶をする。失礼がない事。これは彼等妖精に対する礼儀であると紅狼に言われた通りにする。
とんがり帽子を被った頭が同じ様に会釈を返す。
「いきなり呼び出して悪いんだけど、僕らに協力してくれないかな?人手が欲しいんだ」
「~~~~!!」
ノームはその場でぴょんぴょん跳ねた後、此方に小走りで駆け寄る。くりくりとした瞳がキラキラと輝いている。まるで早く教えろと言わんばかりだ。
「今夜辺り、魔物の群体がこの村を襲うかもしれないんだ。僕はこの村が好きだ。僕らのために手を貸してくれないかな?」
「!、!」
屈んだ僕の身体をよじ登り、肩の位置にくると目が合った。肩によじ登るやつ此方に対し、ズビシッと敬礼を返す。
協力してもらえる様だ。
「ありがとう。見た感じ君がノーム達のリーダーの様だけど、早速集めてもらってもいいかな?」
了解と言わんばかりに再度敬礼をすると、手に持ったラッパを辺りに吹き回す様な動作をする。僕の笛の様に、音は鳴らなかった。
ざわざわ、ざわざわ。
気が付けば先ほどの様に柵の影から何十人ものノームが此方を見ている。昨夜の3倍ほどはいるだろう。
「~!~~!」
ノームのリーダーは僕の肩から飛び降りると、再度ラッパを吹く。
其れを聞くと、影から見ていたノーム達は此方に駆け寄り、綺麗な6列ほどの横隊を作り、此方を伺う。
ノームのリーダーは其れを頷きながら見ると、此方を振り返り敬礼をした。準備が整った様だ。
「ありがとう!」
「!」
短いやり取りを終えた後、彼等に正対する。普段は活気のある彼等が今は指示を待つかの様に此方を見る。
「集まってくれてありがとう。今日来てもらったのは他でもない、この村の防柵をより強化するために手伝って欲しい。早速、作業に入ろうと思う」
「1列目と2列目、3列目はこの村の防柵から更に5メートル間隔で深い堀を作ってほしい。勿論、街道のある所は無視して構わない。先ずは負荷の高い作業をやって貰う。終わったらここら辺で休憩をしててもらって構わないからね」
先頭の列のノームが敬礼をすると、一気に駆け出した。音もなく走り去る彼等を見届けた後、残りの列にも指示を出した。
「後の3列は僕と一緒に北の森へ行って少しだけ木を伐採しようと思う。僕らも運搬は手伝うからよろしくね」
リーダー格のノームがぴょんぴょん跳ねた。
「それでは、作業開始!」
僕らの計画が始まった。
・
・
・
☆
「いや~、早かったねぇ」
「はい、これ程の力があるとは。やはり妖精は凄いですね」
「・・・・♪」
僕等はあの後森へ入った後、紅狼を呼んで訳を話し、木を少し伐採させてもらった。紅狼は快く承諾してくれ、10分もしない内に結構な木が運び出された。
僕とペンネは同調した姿で何本かを一気に運ぶ。凄いのはユラさんだ。
糸の魔術を駆使して、何本もの木を一気にくくりつけた後、軽々と引きずって運び出した。
僕とペンネでは出来ない魔術の使い方だ。
今は運び終えたので小休止を挟んでいる所だ。街道脇の木陰でそれぞれがのんびりと休憩をしている。ユラさんは近くにいたノームのほっぺをツンツンと突いている。ノームも満更ではない様で、ぴょんぴょんしていた。
「さて、あとはこれを柵にして囲うんだけど・・・」
「もう、これ要塞ですよね・・・」
「う~ん、壮観だなあ」
村の外で作業をしてもらったリーダーの指示の様で村の周りには堀が掘られている。此処までは指示した通りである。
しかし、堀の中には周囲の海と川から入れたであろう水が通っており、幅も小川に近いほど広く掘られている。覗いてみると、小魚が泳いでいた。
また、複雑に蛇行しており、これなら知能が低い魔物くらい村に入ることすら困難であろう。
確かにただ囲うよりも防御力が上がる。ノーム達に感謝である。
「ありがとう。まさか此処までやってもらえるとは思ってなかったよ」
リーダー格のノームにお礼を言うと、嬉しそうにぴょんぴょん跳ねた。褒められると嬉しいのは人間だけではない様でなんだが嬉しかった。
「さて、もう一踏ん張りしますか!」
僕等は再度気合を入れ、村の要塞化を始めた。直上では、太陽が其れを見ていた。
・
・
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ー キロスカ村 柵外 同時刻 ー
「さて、始めようか」
ルカさん経由で村長にはこの村の住人を集会所に集めてもらった。これから行う作業を見られたく無いからだ。
早速取り掛かる。腰のポーチから紅狼から貰った笛を取り出す。材質は不明だがとても軽いこの笛。今回の作業の要である。
一息深呼吸を挟んだ後、鋭く長く響く様にイメージをしつつ吹く。音は相変わらず出ない。しかし、能力を信じて暫し待つ。
辺りを見渡すと、村の防柵の柱の影から地の妖精が一人、此方を見ている。
前回見たノームよりもやや大柄で手にしているのも鎚ではなく、ラッパだ。
「やぁ、こんにちは」
アイルは屈むと同時に挨拶をする。失礼がない事。これは彼等妖精に対する礼儀であると紅狼に言われた通りにする。
とんがり帽子を被った頭が同じ様に会釈を返す。
「いきなり呼び出して悪いんだけど、僕らに協力してくれないかな?人手が欲しいんだ」
「~~~~!!」
ノームはその場でぴょんぴょん跳ねた後、此方に小走りで駆け寄る。くりくりとした瞳がキラキラと輝いている。まるで早く教えろと言わんばかりだ。
「今夜辺り、魔物の群体がこの村を襲うかもしれないんだ。僕はこの村が好きだ。僕らのために手を貸してくれないかな?」
「!、!」
屈んだ僕の身体をよじ登り、肩の位置にくると目が合った。肩によじ登るやつ此方に対し、ズビシッと敬礼を返す。
協力してもらえる様だ。
「ありがとう。見た感じ君がノーム達のリーダーの様だけど、早速集めてもらってもいいかな?」
了解と言わんばかりに再度敬礼をすると、手に持ったラッパを辺りに吹き回す様な動作をする。僕の笛の様に、音は鳴らなかった。
ざわざわ、ざわざわ。
気が付けば先ほどの様に柵の影から何十人ものノームが此方を見ている。昨夜の3倍ほどはいるだろう。
「~!~~!」
ノームのリーダーは僕の肩から飛び降りると、再度ラッパを吹く。
其れを聞くと、影から見ていたノーム達は此方に駆け寄り、綺麗な6列ほどの横隊を作り、此方を伺う。
ノームのリーダーは其れを頷きながら見ると、此方を振り返り敬礼をした。準備が整った様だ。
「ありがとう!」
「!」
短いやり取りを終えた後、彼等に正対する。普段は活気のある彼等が今は指示を待つかの様に此方を見る。
「集まってくれてありがとう。今日来てもらったのは他でもない、この村の防柵をより強化するために手伝って欲しい。早速、作業に入ろうと思う」
「1列目と2列目、3列目はこの村の防柵から更に5メートル間隔で深い堀を作ってほしい。勿論、街道のある所は無視して構わない。先ずは負荷の高い作業をやって貰う。終わったらここら辺で休憩をしててもらって構わないからね」
先頭の列のノームが敬礼をすると、一気に駆け出した。音もなく走り去る彼等を見届けた後、残りの列にも指示を出した。
「後の3列は僕と一緒に北の森へ行って少しだけ木を伐採しようと思う。僕らも運搬は手伝うからよろしくね」
リーダー格のノームがぴょんぴょん跳ねた。
「それでは、作業開始!」
僕らの計画が始まった。
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「いや~、早かったねぇ」
「はい、これ程の力があるとは。やはり妖精は凄いですね」
「・・・・♪」
僕等はあの後森へ入った後、紅狼を呼んで訳を話し、木を少し伐採させてもらった。紅狼は快く承諾してくれ、10分もしない内に結構な木が運び出された。
僕とペンネは同調した姿で何本かを一気に運ぶ。凄いのはユラさんだ。
糸の魔術を駆使して、何本もの木を一気にくくりつけた後、軽々と引きずって運び出した。
僕とペンネでは出来ない魔術の使い方だ。
今は運び終えたので小休止を挟んでいる所だ。街道脇の木陰でそれぞれがのんびりと休憩をしている。ユラさんは近くにいたノームのほっぺをツンツンと突いている。ノームも満更ではない様で、ぴょんぴょんしていた。
「さて、あとはこれを柵にして囲うんだけど・・・」
「もう、これ要塞ですよね・・・」
「う~ん、壮観だなあ」
村の外で作業をしてもらったリーダーの指示の様で村の周りには堀が掘られている。此処までは指示した通りである。
しかし、堀の中には周囲の海と川から入れたであろう水が通っており、幅も小川に近いほど広く掘られている。覗いてみると、小魚が泳いでいた。
また、複雑に蛇行しており、これなら知能が低い魔物くらい村に入ることすら困難であろう。
確かにただ囲うよりも防御力が上がる。ノーム達に感謝である。
「ありがとう。まさか此処までやってもらえるとは思ってなかったよ」
リーダー格のノームにお礼を言うと、嬉しそうにぴょんぴょん跳ねた。褒められると嬉しいのは人間だけではない様でなんだが嬉しかった。
「さて、もう一踏ん張りしますか!」
僕等は再度気合を入れ、村の要塞化を始めた。直上では、太陽が其れを見ていた。
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