選ばれた天職は✳︎✳︎✳︎です!! 〜剣と魔術の世界で生き残れ!〜

Nishy

文字の大きさ
47 / 64
第1章 存在の意義

47話 計画始動

しおりを挟む


ー キロスカ村 柵外 同時刻 ー

「さて、始めようか」


 ルカさん経由で村長にはこの村の住人を集会所に集めてもらった。これから行うを見られたく無いからだ。


 早速取り掛かる。腰のポーチから紅狼から貰った笛を取り出す。材質は不明だがとても軽いこの笛。今回の作業の要である。


 一息深呼吸を挟んだ後、鋭く長く響く様にイメージをしつつ吹く。音は相変わらず出ない。しかし、能力を信じて暫し待つ。


 辺りを見渡すと、村の防柵の柱の影から地の妖精ノームが一人、此方を見ている。
 前回見たノームよりもやや大柄で手にしているのも鎚ではなく、ラッパだ。


「やぁ、こんにちは」


 アイルは屈むと同時に挨拶をする。失礼がない事。これは彼等妖精に対する礼儀であると紅狼に言われた通りにする。


 とんがり帽子を被った頭が同じ様に会釈を返す。


「いきなり呼び出して悪いんだけど、僕らに協力してくれないかな?人手が欲しいんだ」


「~~~~!!」


 ノームはその場でぴょんぴょん跳ねた後、此方に小走りで駆け寄る。くりくりとした瞳がキラキラと輝いている。まるで早く教えろと言わんばかりだ。


「今夜辺り、魔物の群体がこの村を襲うかもしれないんだ。僕はこの村が好きだ。僕らのために手を貸してくれないかな?」


 「!、!」


 屈んだ僕の身体をよじ登り、肩の位置にくると目が合った。肩によじ登るやつ此方に対し、ズビシッと敬礼を返す。
 協力してもらえる様だ。


「ありがとう。見た感じ君がノーム達のリーダーの様だけど、早速集めてもらってもいいかな?」


 了解と言わんばかりに再度敬礼をすると、手に持ったラッパを辺りに吹き回す様な動作をする。僕の笛の様に、音は鳴らなかった。


ざわざわ、ざわざわ。


 気が付けば先ほどの様に柵の影から何十人ものノームが此方を見ている。昨夜の3倍ほどはいるだろう。


「~!~~!」


 ノームのリーダーは僕の肩から飛び降りると、再度ラッパを吹く。
 其れを聞くと、影から見ていたノーム達は此方に駆け寄り、綺麗な6列ほどの横隊を作り、此方を伺う。


 ノームのリーダーは其れを頷きながら見ると、此方を振り返り敬礼をした。準備が整った様だ。


「ありがとう!」


「!」


 短いやり取りを終えた後、彼等に正対する。普段は活気のある彼等が今は指示を待つかの様に此方を見る。


「集まってくれてありがとう。今日来てもらったのは他でもない、この村の防柵をより強化するために手伝って欲しい。早速、作業に入ろうと思う」


「1列目と2列目、3列目はこの村の防柵から更に5メートル間隔で深い堀を作ってほしい。勿論、街道のある所は無視して構わない。先ずは負荷の高い作業をやって貰う。終わったらここら辺で休憩をしててもらって構わないからね」


 先頭の列のノームが敬礼をすると、一気に駆け出した。音もなく走り去る彼等を見届けた後、残りの列にも指示を出した。


「後の3列は僕と一緒に北の森へ行って少しだけ木を伐採しようと思う。僕らも運搬は手伝うからよろしくね」


 リーダー格のノームがぴょんぴょん跳ねた。


「それでは、作業開始!」


 僕らの計画が始まった。











「いや~、早かったねぇ」


「はい、これ程の力があるとは。やはり妖精は凄いですね」


「・・・・♪」


 僕等はあの後森へ入った後、紅狼を呼んで訳を話し、木を少し伐採させてもらった。紅狼は快く承諾してくれ、10分もしない内に結構な木が運び出された。


 僕とペンネは同調した姿で何本かを一気に運ぶ。凄いのはユラさんだ。
 糸の魔術を駆使して、何本もの木を一気にくくりつけた後、軽々と引きずって運び出した。
 僕とペンネでは出来ない魔術の使い方だ。


 今は運び終えたので小休止を挟んでいる所だ。街道脇の木陰でそれぞれがのんびりと休憩をしている。ユラさんは近くにいたノームのほっぺをツンツンと突いている。ノームも満更ではない様で、ぴょんぴょんしていた。


「さて、あとはこれを柵にして囲うんだけど・・・」


「もう、これ要塞ですよね・・・」


「う~ん、壮観だなあ」


 村の外で作業をしてもらったリーダーの指示の様で村の周りには堀が掘られている。此処までは指示した通りである。
 しかし、堀の中には周囲の海と川から入れたであろう水が通っており、幅も小川に近いほど広く掘られている。覗いてみると、小魚が泳いでいた。


 また、複雑に蛇行しており、これなら知能が低い魔物くらい村に入ることすら困難であろう。
 確かにただ囲うよりも防御力が上がる。ノーム達に感謝である。


「ありがとう。まさか此処までやってもらえるとは思ってなかったよ」


 リーダー格のノームにお礼を言うと、嬉しそうにぴょんぴょん跳ねた。褒められると嬉しいのは人間だけではない様でなんだが嬉しかった。


「さて、もう一踏ん張りしますか!」


 僕等は再度気合を入れ、村の要塞化を始めた。直上では、太陽が其れを見ていた。
 



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

処理中です...