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第2章 南方戦記編
第2話 逃亡劇
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☆
「エド、すまない。この子に未来を見せてやってくれ・・・」
「嫌ァァァ!あなたぁぁ!!!」
また、仲間が死んだ・・・。あれから3日。北部方面に逃亡を始めてからちょくちょく難民と合流することがあった。
彼等も村や集落を襲われ、大陸中部のシャンデア聖国へ向けて難民生活を送っていたらしい。皆ボロボロのローブを纏い、顔色も悪い。
どうやら魔物の襲撃事件はドライアドだけでなく南部地方全体で起こっているらしい。
村を失ったことに加えて、親しい人を亡くしたのだろう。難民の顔色は優れない。食料も現地調達に頼りつつある現状で、体力の限界も近づいていた。
冬の太陽は灰色の雲で覆われて、辺りには雪が舞い始めていた。
たった今息を引き取った難民の遺体を連れて行くこともできない。彼の体が雪でうっすらと覆われ始めていた。
・
・
・
あれから2刻(2時間)程北上をしたところで、一行は足を止めた。始めは粉雪だったものも今では強風と相まって横殴りの吹雪になっていた。
街道は拓けており、遮蔽物も少ない。このままでは体力が底をつくと判断したシャーネと師匠は一度足を止め、宿営できる箇所を探し出した。
休憩と今日も1日生き残ることができた安心感が難民から漂う。
彼等に近づく多数の足音は吹雪に掻き消された。死の足音が一歩一歩、近づいて行く。
一組の魔術師が腰を下ろす。連日の戦闘、加えてこの吹雪の中視界が不良にも関わらず、ずっと警戒をしていたのだ。
一瞬の油断が死に繋がってしまった。
紅い華が地面に広がる。片方の魔術師は何が起きたのか分からなかった様で、ポカンと口を開けたまま固まっていた。腰を下ろしていた方の魔術師が前のめりに倒れていく。背中には深い裂傷ができており、骨や内臓も見える。
魔術師は絶命していた。
「て、敵襲ゥゥゥゥッ!!」
そう叫んだ瞬間、生き残った魔術師も顔が斜めに両断された。魔力による刃と判断したが視界が暗くなってしまった。
惨殺の瞬間を見ていた難民達が我先にと先頭の方へ向かって駆け出した。
宿営地を探していたシャーネの耳には届かなかった。
「うぐぅぅぅッッッ!!」
難民がまた1人、腰の辺りを切断される。切断された難民は意識のある中、そいつの足に潰された。鮮血と脳漿が飛び散る。
「誰かあいつを止めろっっ!」
「お前だけでもいい、シャーネと隊長に伝達するんだ!」
「女子供は先へ行け!男衆は魔術で時間稼ぎをしろ!これ以上犠牲者を出すな!!」
一体の大型魔物との死闘が始まった。
・
・
・
「何やら後方が騒がしいですね」
「いかぬ!シャーネ、ついて参れ!」
そういうや否やお師匠様は歳を感じさせない俊敏な走りで難民たちの方へ向かっていった。
吹雪の勢いが強く、視界が悪い。音と声のする方へと駆け出した。あの体のどこに筋肉があるのか、不思議になるくらいだがお師匠様の背中を見失わない様について行く。
進行方向から難民たちがお師匠様を取り囲んでは口々に
「魔物が、魔物が!」
「早くあの人を助けてください。お願いします!!」
などと訴えている。それを聞いて私は、魔物の襲撃が起きていることを察した。
「お師匠様、この方達の警護をお願いします。私は後方の応援へと向かいます。悪しからず!」
「これ、シャーネ!待ちなさい!!」
お師匠様の言葉に耳も傾けずに駆け出す。逃亡を計画したのは私だ。これは私の戦いなのだ。
いつもよりも気合を入れた私は、愛用の杖を固く握り直した。
「エド、すまない。この子に未来を見せてやってくれ・・・」
「嫌ァァァ!あなたぁぁ!!!」
また、仲間が死んだ・・・。あれから3日。北部方面に逃亡を始めてからちょくちょく難民と合流することがあった。
彼等も村や集落を襲われ、大陸中部のシャンデア聖国へ向けて難民生活を送っていたらしい。皆ボロボロのローブを纏い、顔色も悪い。
どうやら魔物の襲撃事件はドライアドだけでなく南部地方全体で起こっているらしい。
村を失ったことに加えて、親しい人を亡くしたのだろう。難民の顔色は優れない。食料も現地調達に頼りつつある現状で、体力の限界も近づいていた。
冬の太陽は灰色の雲で覆われて、辺りには雪が舞い始めていた。
たった今息を引き取った難民の遺体を連れて行くこともできない。彼の体が雪でうっすらと覆われ始めていた。
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あれから2刻(2時間)程北上をしたところで、一行は足を止めた。始めは粉雪だったものも今では強風と相まって横殴りの吹雪になっていた。
街道は拓けており、遮蔽物も少ない。このままでは体力が底をつくと判断したシャーネと師匠は一度足を止め、宿営できる箇所を探し出した。
休憩と今日も1日生き残ることができた安心感が難民から漂う。
彼等に近づく多数の足音は吹雪に掻き消された。死の足音が一歩一歩、近づいて行く。
一組の魔術師が腰を下ろす。連日の戦闘、加えてこの吹雪の中視界が不良にも関わらず、ずっと警戒をしていたのだ。
一瞬の油断が死に繋がってしまった。
紅い華が地面に広がる。片方の魔術師は何が起きたのか分からなかった様で、ポカンと口を開けたまま固まっていた。腰を下ろしていた方の魔術師が前のめりに倒れていく。背中には深い裂傷ができており、骨や内臓も見える。
魔術師は絶命していた。
「て、敵襲ゥゥゥゥッ!!」
そう叫んだ瞬間、生き残った魔術師も顔が斜めに両断された。魔力による刃と判断したが視界が暗くなってしまった。
惨殺の瞬間を見ていた難民達が我先にと先頭の方へ向かって駆け出した。
宿営地を探していたシャーネの耳には届かなかった。
「うぐぅぅぅッッッ!!」
難民がまた1人、腰の辺りを切断される。切断された難民は意識のある中、そいつの足に潰された。鮮血と脳漿が飛び散る。
「誰かあいつを止めろっっ!」
「お前だけでもいい、シャーネと隊長に伝達するんだ!」
「女子供は先へ行け!男衆は魔術で時間稼ぎをしろ!これ以上犠牲者を出すな!!」
一体の大型魔物との死闘が始まった。
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「何やら後方が騒がしいですね」
「いかぬ!シャーネ、ついて参れ!」
そういうや否やお師匠様は歳を感じさせない俊敏な走りで難民たちの方へ向かっていった。
吹雪の勢いが強く、視界が悪い。音と声のする方へと駆け出した。あの体のどこに筋肉があるのか、不思議になるくらいだがお師匠様の背中を見失わない様について行く。
進行方向から難民たちがお師匠様を取り囲んでは口々に
「魔物が、魔物が!」
「早くあの人を助けてください。お願いします!!」
などと訴えている。それを聞いて私は、魔物の襲撃が起きていることを察した。
「お師匠様、この方達の警護をお願いします。私は後方の応援へと向かいます。悪しからず!」
「これ、シャーネ!待ちなさい!!」
お師匠様の言葉に耳も傾けずに駆け出す。逃亡を計画したのは私だ。これは私の戦いなのだ。
いつもよりも気合を入れた私は、愛用の杖を固く握り直した。
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