還暦彼氏

ハル

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13.私の失敗

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 図書館から帰るとお爺ちゃんの車が無いのを確認した茜は唇を噛んだ。

「しまった。」

 午前中家にいたから何処にも出て行かないと思って油断したのだ。

 茜はお爺ちゃんが帰ってくるまでリビングでテレビを観ながら待った。

 ほどなく車の赤いストップランプの灯りがリビングの窓に映り、お爺ちゃんが帰って来たが、ママに食事は済ませたからとだけ言って自分の部屋に入って行った。

 茜はテレビを消してお爺ちゃんの部屋に行き、まずは何処に行ってたかを尋ねた。

「お爺ちゃん何処に出かけてたの?」

「何でだい?…ゴルフの練習だよ」

 言葉少なげに答えが返ってきた。

「一人で?」

「…いや…仕事関係の人とだけど、どうかしたのか?…今までお爺ちゃんが何処に行こうが聞いてこなかったのに?」

 茜も返事に困り

「うん、朝居たのに知らない間に居なかったから、ちょっと心配になって…ごめんね、疲れて返ってきたのに…」

 そう告げると茜も自分の部屋に入って行った。

 その頃美雪は、武田に買ってもらった服に着替えて鏡の前に立ってスイングのフィニッシュ姿を見ていた。

 武田さんにはミニスカートはちょっと刺激が強かったかなぁ?と一人ごち。

 私の事も好きだと言ってくれたし、この先私たちどうなるのと、妄想が広がったところに携帯の着信音が鳴った。

 見ると茜からだ。

「いま、大丈夫かなぁ?電話…」

「ちょうど食事を終えて今から勉強する所だったから大丈夫だよ」

「今日図書館にもいなかったから風邪でもひいたのかなって思って…」

「うん、今日はあの日で気分が重くって…」

「そっかぁ、じゃ辛い時に電話しちゃったね?でも声は何か嬉しい事があったように弾んでたよ…」

ドキッとした美雪は、

「そうかなぁ、さっき難しい問題が解けて、それでじゃないかな?」

 今から勉強ってさっき言ったばかりなのに、何か怪しいなぁ?でも今は探る言葉も思い付かないので、これ以上の会話は無駄と判断した茜は、電話を切った。

「ごめんね、電話切るね。また月曜日!」

 美雪も少し冷や汗が出たけど、上手く誤魔化せたと思い、ほっと胸を撫でおろす。

 それは武田からも今日練習に行った事は内緒だよって帰る時に言われたからだ。

 それに毎回会った後に茜から電話が来るのも原因しているのかなぁと思い、武田は茜にどんな言い訳してるのかなと想像すると面白くなって来た。

 そして次会える日を楽しみに、今日は早めにベッドに入った。
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