顔だけじゃあ駄目ですか?〜バックヤードの恋

ハル

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第六話

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咲ちゃんは今日は日勤の日、同期で仲の良い、お酒コーナーの三木亮太みきりょうたに先日の話をした。

「前に仕事中倒れたって言ったじゃん…」

「それで復帰の連絡したら、山Pがさぁ… 山Pって、私の上司の山田さんね… 皆んなに心配かけたから、菓子折り持ってこいって言うのよ…どう思う?」

「そりゃ面倒いね…」

「そうでしょ…、それで私、買って来るの忘れましたぁ…って言ったら、そうって言って専門店の方でぇ、菓子折り買って来るのよ…」

「もう私、びっくりしちゃって…そのまま帰りたかったよぅ」

「大変だったなぁ、そんな面倒なところ異動出しちゃえよ」

「でもねぇ、昼間はお客さんの目があるからチンタラ出来ないし、夜だったら人もいないし、私の事好きみたいなバイトリーダーが手伝ってくれるのよ…」

「なんだよそれ…アルバイトの分際で社員にちょっかい出すなって…ぶん殴ろうか?そのおっさん…」

「おっさんっても、亮太よりいっこ下だよ…」

そんな話で、酒コーナーで油をうってると、レジ応援のアナウンス。

「じゃぁね、また続き聞いて」と言って咲ちゃんはレジの方へ行った。

~~~ *** ~~~

一方で道夫のほうは、本来なら昼まで寝ている明け休みの筈が、今日は朝から掃除をしている。

ベッドのシーツも洗って干し、料理に使う流し、トイレ、風呂場、最後に部屋の床に掃除機をかけた。

掃除している途中から道夫は、トイレはわかるけど、なんで風呂場やベッドのシーツまで洗濯してるのって?

それに、料理するって言ってたっけ?

"ブツ、ブツ"と呪文のように独り言。

まぁ、部屋が綺麗になるのはいい事だと、楽感的に捉え、これでいつ咲ちゃんが来ても大丈夫と最後は納得した。

"ピンポン♪"

約束通り、山Pがきた。
今日は膝上のワンピースを着ているので、一瞬ドキっとした。道夫も男である。

「お邪魔しまーす」って言って、部屋に上がって来た。
両手に買い物袋を下げてたので、早くテーブルに置きたかったようだ。そんな事、道夫は気が付かない。

山Pは、荷物を置いて腰を下ろすと

「サンドの家、スーパーから遠いねぇ
ビールと惣菜持って歩いて来るの大変だったんだから…」

「す すいません」と何故か謝る道夫。

「ちょ、ちょっと先に、ビール開けていい?」と確認しながら、もうプルトップを折っている。

"ゴクゴク"と喉を鳴らして飲む姿は、ビールのCMを観ているように爽やかだった。

道夫は今日、酔う前に咲ちゃんの事を聞こうと決めている。

山Pが買ってきた、焼き鳥や唐揚げなどを温め直していざ出陣。

「か ん ぱ ぁ い」の合図でまず一口。
と、いっても山Pは2本目である。

先に山Pから、直球が飛んできた。

「あなた、青木さんが好きなの?」

「……」

「どっちなの?」

「嫌いではないですしぃ、どちらかと言えば好きなほうです…」

「そっ…。」と言って2本目を飲み干した。

話題は少し変わって

「あなた、青木は咲ちゃんって呼ぶのに、なんで私は山Pって呼んでるの?」って絡み酒になってきた。

「や、山田さんは、年上ですし、皆んなが山Pって呼んでるので…」

道夫も間が持たず、ビールを口に運んだ。

「今度から、私の事は、"琴ちゃん"とか"おとちゃん"って呼びなよぅ…」

「や、山田さん、今日はペースが早いから、もう酔ってません?」

「呼びなよぅ…」と目がうつろ。

道夫も自分のペースに持って来ようと

「青木さんって彼氏いるんですか?」と聞きたかった事をやっと聞けた。

「そんなもん知るかぁ、本人に聞け、ばかやろう…」と、逆に叱られる。

3本目、4本目と進むと、テーブルに伏せたような格好で

「あの子は止めといた方がいいよ。」って言って寝てしまった。



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