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1.出会い
電話
しおりを挟む未蘭乃を学校に連れ戻して以来、連絡を取っていない。
俺も忙しいっていうのがあるけど…。
つーかそもそも向こうから連絡先聞いてきたのに連絡来ないし。
『また会いたい』
声のトーンもあのなんとも言えない表情も。
何日も前のことなのに鮮明に覚えてる。
…あの時のアイツ、可愛かったなぁ…。
「連絡してみる…?」
誰もいない部屋で俺はスマホをソファに投げて首を大きく横に振った。
別にどうとも思ってない!
未蘭乃とはただの友達で恋愛感情とかそういうんじゃない。
もしなにか騒ぎになったときに巻き込みたくない。
「風呂入って寝よう。」
ため息をついて風呂場に向かおうとしたその時…。
♪~
スマホに着信が入った。
「は…!?」
『もしもし?あたし。未蘭乃だよ。』
「あ、ああ。」
まさかこのタイミングでかかってくるなんて思ってなくて言葉に詰まってしまった。
『自分から連絡先聞いておいて全然連絡しなくてごめんね?
あと、学校のことも。ありがとう。』
未蘭乃ってエスパー?
全然連絡こねぇとか思ってたのバレてる?
「いや、俺も忙しいし気にしてないよ。
あれから学校ちゃんと行ってる?」
『うん、今更って感じかもだけど友達も出来たし。』
「ははっ、本当に今更って感じだな。」
前に比べて未蘭乃の話す声が明るくなった感じがする。
『ハルキは最近どう?頑張ってる?』
「まあぼちぼちって感じ。
来年こそトップチームでプレーしたいから頑張るしかないけど。」
『あたし楽しみだな。
ハルキがあのユニフォーム着てテレビに映るの。』
「つーか、来週末に試合あるから見に来ない?
未蘭乃も勉強とかあるだろうから無理強いはしない…。」
気分でなんとなく誘ってみたけど…。
『え?いいの?
ハルキのサッカーしてる姿みたいなって思ってた。』
思わずソファに顔から倒れ込んだ。
もうこれは勝つしかなくねーか。
もちろんいつもガチでやってるけど。
「あーまじ?
チケット取っとくから。」
『?うん。』
「なんでもない。もう寝る…。」
『うん、おやすみ。
メッセージ待ってる。』
メッセージ待ってんの!?
マジか!!!!!
なんか尊くて顔からソファに倒れ込んだままソファで悶えた。
…そこまでの記憶はある。
…起きたら朝だった。
「はい、寝落ち。
充電切れてる。」
まだ朝の9時。
練習は今日は昼からだけど完全に油断した。
とりあえずシャワーを浴びた。
シャワー浴びる前に洗濯機も回したし超優秀。
服干して、軽く飯食って。
食器洗いながらロードバイク乗るか、走りに行くかちょっと考えて迷ったけど、なんとなく未蘭乃のことが気になって学校まで走ってみた。
もちろんアイツの姿はないし、未蘭乃がただあの日すげぇだるそうな顔してたな~て思い出に浸るだけ。
ただ走るよりいいじゃん、無心よりは。
家に戻ったら11時。
コンビニで買ったサンドイッチたべて練習行く準備して…。
いくら男ばっかりとは言っても汗かいたからシャワーは浴びる。
チームの中でも俺は結構綺麗好きだと思う。
いつも通り余裕持って練習場20分前に到着。
「うっす。ハルキ。
なんか今日機嫌よさそうだな?」
「おはようジャン。
やっぱわかる?」
…でも待てよ。
ジャン、未蘭乃のことかわいいとか天使だとか言ってたよな…。
あんまり言わないほうが良くないか?
「さては女?
入団してから女作らなかったハルキがついに?」
「いや別に?
新作のサンドイッチが美味かっただけ。」
ホントかよ!とジャンに勢いよく背中を叩かれた。
…ごめん、嘘。
本当の事言ったら抜け駆けだって怒るだろ?
「でも女関係はぶっちゃけスキャンダルに繋がりかねないとこはあるよな。
トップチームの選手じゃ世間からしたらスクープなんだろうけど…。」
トップチームの選手は超セレブでスーパースター、子どもたちからするとヒーローだ。
彼女や奥さんはモデルや女優が当たり前。
新聞には堂々と肩を寄せあってカメラにむかって笑顔の2人。
お似合いの2人
いつまでもお幸せに
祝福の言葉がこれでもかと、くどーいくらいに綴られる。
それに比べると俺らセカンドチームは地元のちょっとした有名人ってところ。
深夜のサッカー番組で試合がちょっと映る程度だ。
他のチームだけど、過去に夜の街にあるクラブや風俗店に出入りしているところを撮られて以来、実力があるのにいつまでもトップチームに昇格できなくて退団した人もいるって聞いた。
「プレーに興味ないくせに俺らの黒いところを探るのが大好きだよな、マスコミは。」
「文句言わせねぇくらいにいいプレーするしかないよなぁ。」
ジャンが珍しくいいことを言った。
…ような気がする。
「美女が頑張って♡とか言ってくれたらもう俺はハットトリック達成できるよ。」
「ジャン、それはお前が空回りするパターンだから。」
やっぱり気のせいだったみたいだ。
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