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プロローグ
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マズい…マズい…!と頭の中で緊急サイレンの様な警鐘がガンガンと叩き付けられる様に鈍痛が鳴り響く──
どうしてこんな事になっって…ってあああぁ…分かりきってる。全部。
これは、自分で起こしてしまったアクシデントの様なモノだし。コレは自業自得だと思う。うん。多分。
「ッ…!ぅぐン」
必死に倒れた身体を起こそうと全身に力を巡らせ、脚を奮い立たせるが強く衝撃を与えられた右脚は痛みで上手く力が入らない。
「あのね。シノさん?私だってこんな手荒な事はしたく無いんですよ」
丸めた新聞紙で叩き潰され、死にかけのゴキブリの如く全身をピクピクと痙攣させながらうつ伏せに横たわるシノの目の前にゆっくりとした動作で、まるで落としたペンを拾う軽々しさで大柄な男はしゃがみ込んだ。
そして、いつもの見知った吸い込まれそうな真っ黒い目と微笑を浮かべ──
「ずっと、ずうっと一緒ですよ」
■□■□■□■□■
事のあらすじを書くと。シノが弱かった、弱い人間所謂、弱男な所為なんですよ。はい。
シノは東雲 㫖舒と言います。“㫖”は美味しい“舒”は伸びるみたいな意味で、詰まりは美味しい物を食べてスクスク育って欲しいって意味らしいです。
バカみたいでしょ?アホかと。実際、シノは小さい頃から物凄く偏食家で離乳してから何も食べない勢いでそれはもう拒食が酷かったらしいです。あれ?ってココで思った人、居ると思うんですけど、何でシノの名前が命名された理由がこんな後になって具体的なのかと。何かシノがンギャーっと産まれる4年前ぐらいに仮名として乳幼児期まで使える、幼名みたいなものが使えますよーって制度が出来て小学校上がる5~6歳までにコレから正式に名乗る名前を作って役所に申請しに行かないと、そのまま仮名が正式名として戸籍に登録されるって制度で、シノはこの名前になったんです。
この制度が出来た背景に何かDQNネームって言いますか、キラキラネームを名付けてしまう親がいたり色々な要因で出来たらしいです。
シノは勿論、シノになる前の名前を持っていて昔はその名前で呼ばれていたんですけど、どうも物覚えが始まる前だったのでシノはその名前をすっかり忘れてしまいました。
と、まぁグネグネと話が脱線してしまったので舵を取り直しまして、話を戻すとシノは不登校だったんです。風呂キャンセル界隈ならぬ、学校キャンセル界隈出身ですな。
「アンタ!起きちょるか??!!」
母の怒号とも聞こえる声と共に、ゴンゴンと扉をノックする音が聴こえた。時刻は14時過ぎ。いつもの母であればフルタイムのパートで家を出たきりで帰宅するのは18時過ぎ、買い出し序でに遅くても19時には家に帰って来る筈。が、今、母が家に居る。居る。物凄く嫌な予感を覚えた。
「何ー!起きとるし!」
普段、外で有れば絶対に出ない様な声量で扉の向こう側に立つ母へ聞こえる様に返事をした。
「アンタ!今から支度しなんね!外行きよるさかいに」
何事かと、母に問い掛けたい絶妙なタイミングで母がドカドカと足踏みを鳴らしながら、一階へと降りて行く音がした。
拒否権は無いらしい。そんな物はシノが不登校になった日から失ったモノでもある。扶養されている身であるシノは、家庭限定で人権が半分無くなっていた。当然の結果ではあるが。
「はぁ、嫌だなぁー」
支度すると言っても、何処に行くかなんて知らないし迷う程、他所行きの服は持っていない。有るとすれば、アニメのプリントされたパーカーとか。いかにもヲタクですと言わんばかりのチェク柄の服とかかな。取り敢えず、無難にアイロンが掛かって無いヨレヨレのノーブランドの長袖とダウンジャケットを羽織って、家を出た。
「あ゛~~~ざぶひ~~」
玄関を出て、車に乗車するものの数秒で鼻水がずるると出た。季節は秋であるが、最近の春夏秋冬はバグっているので最早、秋は季語から消えつつ有る。恐ろしや。とは言え立冬間近の今日、15の秋に何が起こるのか分からないまま、否応も無く大人しく母の運転する車に乗せられドナドナされている事実の方が怖い。
「…着いたわ」
気不味い無言の車内をやり過ごす為、音ゲーを起動し運転する母を邪魔をしない様にヘッドホンを装着して暫くの間、ゲームに熱中していると、ギッとサイドブレーキのレバーを上げる音と共に顔をあげてみれば、お外には◯×△精神科患者用駐車場と言う文字がデカデカと看板に載ってあった。
遂にここまで来てしまいましたかと。それから記憶は朧げで、母が受付で手続きを済ましている間、精神科の院内に設置されてる自販機で何か買って来な、と渡された小銭握り締め、あったかいレモン蜂蜜のドリンクを購入。そこから腰の耐久試験をさせられてるのかってぐらい、数時間待合所で待たされ診察室に入ってから記憶無い。
唯一、記憶が確かなのは鬱だから暫く学校行かなくて良いと神医師に言われたと云う事実。帰路にて母にもう次の予約取ったからコレから通院しろと言われて、行かないなら施設に連れて行くと云う残酷な二択を突き付けられ、その日が終わった。
どうしてこんな事になっって…ってあああぁ…分かりきってる。全部。
これは、自分で起こしてしまったアクシデントの様なモノだし。コレは自業自得だと思う。うん。多分。
「ッ…!ぅぐン」
必死に倒れた身体を起こそうと全身に力を巡らせ、脚を奮い立たせるが強く衝撃を与えられた右脚は痛みで上手く力が入らない。
「あのね。シノさん?私だってこんな手荒な事はしたく無いんですよ」
丸めた新聞紙で叩き潰され、死にかけのゴキブリの如く全身をピクピクと痙攣させながらうつ伏せに横たわるシノの目の前にゆっくりとした動作で、まるで落としたペンを拾う軽々しさで大柄な男はしゃがみ込んだ。
そして、いつもの見知った吸い込まれそうな真っ黒い目と微笑を浮かべ──
「ずっと、ずうっと一緒ですよ」
■□■□■□■□■
事のあらすじを書くと。シノが弱かった、弱い人間所謂、弱男な所為なんですよ。はい。
シノは東雲 㫖舒と言います。“㫖”は美味しい“舒”は伸びるみたいな意味で、詰まりは美味しい物を食べてスクスク育って欲しいって意味らしいです。
バカみたいでしょ?アホかと。実際、シノは小さい頃から物凄く偏食家で離乳してから何も食べない勢いでそれはもう拒食が酷かったらしいです。あれ?ってココで思った人、居ると思うんですけど、何でシノの名前が命名された理由がこんな後になって具体的なのかと。何かシノがンギャーっと産まれる4年前ぐらいに仮名として乳幼児期まで使える、幼名みたいなものが使えますよーって制度が出来て小学校上がる5~6歳までにコレから正式に名乗る名前を作って役所に申請しに行かないと、そのまま仮名が正式名として戸籍に登録されるって制度で、シノはこの名前になったんです。
この制度が出来た背景に何かDQNネームって言いますか、キラキラネームを名付けてしまう親がいたり色々な要因で出来たらしいです。
シノは勿論、シノになる前の名前を持っていて昔はその名前で呼ばれていたんですけど、どうも物覚えが始まる前だったのでシノはその名前をすっかり忘れてしまいました。
と、まぁグネグネと話が脱線してしまったので舵を取り直しまして、話を戻すとシノは不登校だったんです。風呂キャンセル界隈ならぬ、学校キャンセル界隈出身ですな。
「アンタ!起きちょるか??!!」
母の怒号とも聞こえる声と共に、ゴンゴンと扉をノックする音が聴こえた。時刻は14時過ぎ。いつもの母であればフルタイムのパートで家を出たきりで帰宅するのは18時過ぎ、買い出し序でに遅くても19時には家に帰って来る筈。が、今、母が家に居る。居る。物凄く嫌な予感を覚えた。
「何ー!起きとるし!」
普段、外で有れば絶対に出ない様な声量で扉の向こう側に立つ母へ聞こえる様に返事をした。
「アンタ!今から支度しなんね!外行きよるさかいに」
何事かと、母に問い掛けたい絶妙なタイミングで母がドカドカと足踏みを鳴らしながら、一階へと降りて行く音がした。
拒否権は無いらしい。そんな物はシノが不登校になった日から失ったモノでもある。扶養されている身であるシノは、家庭限定で人権が半分無くなっていた。当然の結果ではあるが。
「はぁ、嫌だなぁー」
支度すると言っても、何処に行くかなんて知らないし迷う程、他所行きの服は持っていない。有るとすれば、アニメのプリントされたパーカーとか。いかにもヲタクですと言わんばかりのチェク柄の服とかかな。取り敢えず、無難にアイロンが掛かって無いヨレヨレのノーブランドの長袖とダウンジャケットを羽織って、家を出た。
「あ゛~~~ざぶひ~~」
玄関を出て、車に乗車するものの数秒で鼻水がずるると出た。季節は秋であるが、最近の春夏秋冬はバグっているので最早、秋は季語から消えつつ有る。恐ろしや。とは言え立冬間近の今日、15の秋に何が起こるのか分からないまま、否応も無く大人しく母の運転する車に乗せられドナドナされている事実の方が怖い。
「…着いたわ」
気不味い無言の車内をやり過ごす為、音ゲーを起動し運転する母を邪魔をしない様にヘッドホンを装着して暫くの間、ゲームに熱中していると、ギッとサイドブレーキのレバーを上げる音と共に顔をあげてみれば、お外には◯×△精神科患者用駐車場と言う文字がデカデカと看板に載ってあった。
遂にここまで来てしまいましたかと。それから記憶は朧げで、母が受付で手続きを済ましている間、精神科の院内に設置されてる自販機で何か買って来な、と渡された小銭握り締め、あったかいレモン蜂蜜のドリンクを購入。そこから腰の耐久試験をさせられてるのかってぐらい、数時間待合所で待たされ診察室に入ってから記憶無い。
唯一、記憶が確かなのは鬱だから暫く学校行かなくて良いと神医師に言われたと云う事実。帰路にて母にもう次の予約取ったからコレから通院しろと言われて、行かないなら施設に連れて行くと云う残酷な二択を突き付けられ、その日が終わった。
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