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128話目 山下り

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私たちが今下っているこの雪山の標高がどのくらいなのかはよくわからないのだが、おそらく相当高いはずだ。

幸いにも造形をうまく使うことで下りやすくはなっているため、半日もかからないうちに下まで下ることができるだろう。

それに、できるだけ頑丈に地面が鳴るようにイメージしているために、崩落の心配もない。

この点は肉体的にも精神的にも非常に楽になる。

この山を下ってしまったらあとは森だ。

森の中は草木やこの山から転がり落ちてきた石など、身を隠すところがたくさん存在する。

それはメリットでもありデメリットでもある。

メリットは敵に見つかりにくいこと。

デメリットは逆に敵を見つけにくいことだ。

注意深く行動していかないといつの間にか囲まれていたなんて言うことになりかねない。

ただ、広い草原に立っているよりかは安全なため、できるだけ森の中で活動はしていきたいところだ。

「おっと!」

考え事をしていたところ、落ちていた小石に躓いてしまった。

いつの間にか地面は雪からごつごつした岩に変わっていた。

先ほどまでの地面である雪とは異なり、岩は造形で平らにした道の上に転がってくる。

これが結構足をかけてしまったりするのだ。

ふと山頂の方に目をやってみると、ここから山頂までと、ここから麓までの距離は大して変わらないように見える。

太陽はすでに顔をのぞかせ、森の中からは鳥のさえずりが聞こえてくる。

辺りをグルッと見回して、景色を堪能しながら下っていたところ、一番後方から声が聞こえてきた。

「よし、そろそろローブ取っていいわよ。」

灰色の中にある白は案外目立たないものだが、土の茶色や木々の緑色の中に入ると、白というのはとてつもなく目立つ色だ。

岩の隙間からは草が顔を出し、至る所に木が生えている。

もうここまで下って来たのだ。

「よし、あとちょっと頑張ろう!」

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