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130話目 厄介な敵
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森の中は木々のざわめきや鳥のさえずり、心地よく聞こえてくる動物たちの鳴き声に支配されていた。
木々の隙間からこぼれてくる陽の光は適度に暖かく、心地がいい。
「ユウヒ~、いま試合中だからね?」
「ううぇッ!?あ、分かってる分かってる!」
きょろきょろとあたりを見回しながら歩いていたのだが、メアリーに注意をされてしまった。
辺りを見回しながら歩いているのだから、索敵でもしているのかな?とか普通は思うはずなのだが、一緒に住んでいるというだけあってか、メアリーにはお見通しだったようだ。
今度は景色を見るためではなく敵を探すためにきょろきょろとあたりを見回しながら歩いていく。
この状態ではメアリーは注意してこないのだから、相当観察力が鋭いのだなと思う。
そう思っていると、ふと目の中に1筋の光が注ぎ込まれた。
なにかによって反射されたであろう太陽の光の出先はすぐにわかった。
「前方右側、敵影在り。」
「「「了解。」」」
その光の出先は敵の持っていた片手剣の刃が反射したものであった。
森の中ではそのような光の反射を防ぐためにも、私とメアリーの2人は剣を鞘に収納しながら動いている。
それは素早く攻撃魔法を発動できる音符猫がいるからだ。
通常攻撃魔法の発動には時間がかかるため、接近戦や奇襲には弱い。
ただそのデメリットを音符猫は完全に潰している。
音符猫のような高速で攻撃魔法を発動できるプレイヤーは、それこそ片手で数えられるほどしか存在しない。
そのような貴重な魔法使いを抱えていないパーティーは、奇襲に備えて森の中では剣を鞘に収納しない場合も多いのだ。
今回は例にもれず、そのパーティーの片手剣から放たれた光が私の目に飛び込んできた。
地面にいては落ち葉や枝の音などが響いてしまう。
そのため、私たちはできるだけ少ない動作で木の上へと登っていく。
メアリーはスキルがなくても自慢の脚力で何とかなるのだが、音符猫とアルミは何とかならない。
そこには私たちの造形を使って手助けする。
メアリーでもいいのだが、今回はスキルを使える私が偵察に行くことにする。
そして、やれそうなら攻撃をし、やれそうにないなら撤退する。
昨日必死にマッピングしたのだが、このパーティーは森の中の洞窟に隠れていたようで、私が発見することができなかったようだ。
もしこのようなパーティーがほかに存在しないのであれば、ここで大きな音を立てて戦闘をしてもあたりから漁夫の利を狙ってやってくるパーティーはないだろう。
跳躍を使いながら木の枝の上を飛び移り、できるだけ相手の近くまで近寄ってみる。
相手の構成は槍使いに片手剣と大楯使いに魔法使いであった。
(げ、あれはディオメーデースじゃないか……)
ディオメーデースとは第2回イベントの途中に対戦した4人中3人が私らのファンであるチームだ。
ここまで来れているくらいだから別に弱いわけではないのだけれど、私らにかかればまず負けることはないだろう。
ただ、3人のファンはずいぶんと厄介なファンなのだ。
試合中にもかかわらず握手を求め、リーダーを困惑させていた。
できることなら戦いたくはない。
『相手ディオメーデースなんだけど。』
『うわ。できるだけ戦いたくないわね。』
『何それ面白そう!!やろうやろう!!』
私とメアリーの2人はもちろん戦闘は反対するが、音符猫はその状況を見てみたいようだ。
すると、私の後方から土の攻撃魔法が飛んできて、ディオメーデースの片手剣使いに命中した。
「て、敵襲!!」
「どこだ!!」
何やってくれとん……。
この魔法は誰が放ったのか。
その答えは極めて簡単で、音符猫である。
「クソッ!」
こうなってしまったらもうやるしかないと、私はディオメーデースへと飛び込んでいった。
木々の隙間からこぼれてくる陽の光は適度に暖かく、心地がいい。
「ユウヒ~、いま試合中だからね?」
「ううぇッ!?あ、分かってる分かってる!」
きょろきょろとあたりを見回しながら歩いていたのだが、メアリーに注意をされてしまった。
辺りを見回しながら歩いているのだから、索敵でもしているのかな?とか普通は思うはずなのだが、一緒に住んでいるというだけあってか、メアリーにはお見通しだったようだ。
今度は景色を見るためではなく敵を探すためにきょろきょろとあたりを見回しながら歩いていく。
この状態ではメアリーは注意してこないのだから、相当観察力が鋭いのだなと思う。
そう思っていると、ふと目の中に1筋の光が注ぎ込まれた。
なにかによって反射されたであろう太陽の光の出先はすぐにわかった。
「前方右側、敵影在り。」
「「「了解。」」」
その光の出先は敵の持っていた片手剣の刃が反射したものであった。
森の中ではそのような光の反射を防ぐためにも、私とメアリーの2人は剣を鞘に収納しながら動いている。
それは素早く攻撃魔法を発動できる音符猫がいるからだ。
通常攻撃魔法の発動には時間がかかるため、接近戦や奇襲には弱い。
ただそのデメリットを音符猫は完全に潰している。
音符猫のような高速で攻撃魔法を発動できるプレイヤーは、それこそ片手で数えられるほどしか存在しない。
そのような貴重な魔法使いを抱えていないパーティーは、奇襲に備えて森の中では剣を鞘に収納しない場合も多いのだ。
今回は例にもれず、そのパーティーの片手剣から放たれた光が私の目に飛び込んできた。
地面にいては落ち葉や枝の音などが響いてしまう。
そのため、私たちはできるだけ少ない動作で木の上へと登っていく。
メアリーはスキルがなくても自慢の脚力で何とかなるのだが、音符猫とアルミは何とかならない。
そこには私たちの造形を使って手助けする。
メアリーでもいいのだが、今回はスキルを使える私が偵察に行くことにする。
そして、やれそうなら攻撃をし、やれそうにないなら撤退する。
昨日必死にマッピングしたのだが、このパーティーは森の中の洞窟に隠れていたようで、私が発見することができなかったようだ。
もしこのようなパーティーがほかに存在しないのであれば、ここで大きな音を立てて戦闘をしてもあたりから漁夫の利を狙ってやってくるパーティーはないだろう。
跳躍を使いながら木の枝の上を飛び移り、できるだけ相手の近くまで近寄ってみる。
相手の構成は槍使いに片手剣と大楯使いに魔法使いであった。
(げ、あれはディオメーデースじゃないか……)
ディオメーデースとは第2回イベントの途中に対戦した4人中3人が私らのファンであるチームだ。
ここまで来れているくらいだから別に弱いわけではないのだけれど、私らにかかればまず負けることはないだろう。
ただ、3人のファンはずいぶんと厄介なファンなのだ。
試合中にもかかわらず握手を求め、リーダーを困惑させていた。
できることなら戦いたくはない。
『相手ディオメーデースなんだけど。』
『うわ。できるだけ戦いたくないわね。』
『何それ面白そう!!やろうやろう!!』
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すると、私の後方から土の攻撃魔法が飛んできて、ディオメーデースの片手剣使いに命中した。
「て、敵襲!!」
「どこだ!!」
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「クソッ!」
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