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136話目 小川に沿って
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その後は何事もなく私たちの見張りは終わった。
時々寝そうになっている音符猫を起こしたり、逆に起こされたり……
結構見張りとしては気の抜けた満点とは言えないようなものだったと思うけど、ほかのチームから攻撃を受けるといったことはなく、無難にこなせたとは思う。
「よし、今日は昨日話した通り、草原のほうまで行くことにするよ。まだ日は暗い。ほかのチームが動き出す前にさっさと森を抜けよう。」
「「「はい!」」」
マップを確認してみると、残りのチーム数は私たちを含めてたったの7チーム。
そして、明日のフィールドは一気に狭まり、草原とこの森から草原をはさんで反対側にある砂漠の一部が範囲となっていた。
ここは明日のフィールドの外のようだ。
どちらにせよ草原にはいかないといけない。
「今日を乗り越えられたとしても、今日の夜はろくに休めないと思ったほうがいい。できるだけ体力を温存しながらやっていこう。」
早朝、まだ日も上がっていない真っ暗な森の中を、草原の方向へと出発していった。
ここから草原まではそこそこの距離がある。
少し駆け足でも2時間かからない程度の距離だ。
幸いなことに、森は比較的平坦で、何か足を取られるようなものもない。
森の中には昨日降りてきた雪山から流れてきた雪解け水が小川となって流れている。
その幅1mにも満たない小さな沢の横を歩いていく。
すぐそばから聞こえてくる水のせせらぎの音は、森のざわめきと混じって心を癒してくれる。
水を飲みにやってくるリスやタヌキなんかの動物たちの姿も見ることができるし、よく目を凝らしてみると小さな魚が泳いでいるのが見える。
岩の陰からちょっこり顔を出しているカニや水面からこちらを覗いているカエルなど、まるでゲームの中だとは思えないような光景が広がっていた。
「ちょっと止まって」
本日の先頭は、昨日とは変わってメアリーが担当している。
自然を堪能しながら歩いていたところ、前方から急に止まれといった合図が凍えながらも聞こえてきた。
驚いて前の方に顔をのぞかせてみると、そこには焚火をした後のようなものがほんのり煙を上げながら佇んでいた。
メアリーが手招きをしていたので、一度この1列の体形を崩し、小声で話せる程度の近い距離まで身を寄せる。
「焚火の横、テントのようなものがあるでしょ?」
焚火にばかり気を取られて見えていなかったが、よく見ると確かに木の陰からテントのようなものが見える。
ベージュのテントと抹茶のような色をしたテントがそれぞれ1つずつ、焚火の前に並んでいた。
「多分だけど、あのテントの中で敵が寝ていると思うの。どうする?」
「いや、襲うでしょ」
考える間もなく口から出てしまったこの一言は、どうやら全員が思っていたことらしい。
ここで見逃して後々困るのは私たちだ。
相手がまだ万全の状態を整えていない状態で倒すのがいいだろう。
それにしても、見張りがいないなんて馬鹿だな~!
時々寝そうになっている音符猫を起こしたり、逆に起こされたり……
結構見張りとしては気の抜けた満点とは言えないようなものだったと思うけど、ほかのチームから攻撃を受けるといったことはなく、無難にこなせたとは思う。
「よし、今日は昨日話した通り、草原のほうまで行くことにするよ。まだ日は暗い。ほかのチームが動き出す前にさっさと森を抜けよう。」
「「「はい!」」」
マップを確認してみると、残りのチーム数は私たちを含めてたったの7チーム。
そして、明日のフィールドは一気に狭まり、草原とこの森から草原をはさんで反対側にある砂漠の一部が範囲となっていた。
ここは明日のフィールドの外のようだ。
どちらにせよ草原にはいかないといけない。
「今日を乗り越えられたとしても、今日の夜はろくに休めないと思ったほうがいい。できるだけ体力を温存しながらやっていこう。」
早朝、まだ日も上がっていない真っ暗な森の中を、草原の方向へと出発していった。
ここから草原まではそこそこの距離がある。
少し駆け足でも2時間かからない程度の距離だ。
幸いなことに、森は比較的平坦で、何か足を取られるようなものもない。
森の中には昨日降りてきた雪山から流れてきた雪解け水が小川となって流れている。
その幅1mにも満たない小さな沢の横を歩いていく。
すぐそばから聞こえてくる水のせせらぎの音は、森のざわめきと混じって心を癒してくれる。
水を飲みにやってくるリスやタヌキなんかの動物たちの姿も見ることができるし、よく目を凝らしてみると小さな魚が泳いでいるのが見える。
岩の陰からちょっこり顔を出しているカニや水面からこちらを覗いているカエルなど、まるでゲームの中だとは思えないような光景が広がっていた。
「ちょっと止まって」
本日の先頭は、昨日とは変わってメアリーが担当している。
自然を堪能しながら歩いていたところ、前方から急に止まれといった合図が凍えながらも聞こえてきた。
驚いて前の方に顔をのぞかせてみると、そこには焚火をした後のようなものがほんのり煙を上げながら佇んでいた。
メアリーが手招きをしていたので、一度この1列の体形を崩し、小声で話せる程度の近い距離まで身を寄せる。
「焚火の横、テントのようなものがあるでしょ?」
焚火にばかり気を取られて見えていなかったが、よく見ると確かに木の陰からテントのようなものが見える。
ベージュのテントと抹茶のような色をしたテントがそれぞれ1つずつ、焚火の前に並んでいた。
「多分だけど、あのテントの中で敵が寝ていると思うの。どうする?」
「いや、襲うでしょ」
考える間もなく口から出てしまったこの一言は、どうやら全員が思っていたことらしい。
ここで見逃して後々困るのは私たちだ。
相手がまだ万全の状態を整えていない状態で倒すのがいいだろう。
それにしても、見張りがいないなんて馬鹿だな~!
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