病弱な私はVRMMOの世界で生きていく。

べちてん

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154話目

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「まあ、姉はあんな感じだからさ、少し大変な時ない?」

「いや、別にそんなことはないよ。ほんとに。いつも明るく来てくれるからメンタル的にも助かってるんだよ、まじで。」

心配そうに聞く麗奈に対して、即答でそう答えると、うれしそうな顔をして目をそらしながら「そっか」と言った。

(本当に姉が好きなんだな……)







朝夕の食後に毎回飲んでいる薬が効いたのか、体調自体は1週間もかからずに完全回復した。

毎日のようにやってくる夏海にお使いを頼んだり、音符猫が妹のために持ってくるもののおすそ分けをもらったり……。

ただ、改めてこうやって病院での寝たきり生活をやると、思っていたより体は疲れていたのだなと感じる機会が多い。

とにかく首や腰が痛い。

少し体をひねるだけでぽきぽき音が鳴るし、体も重い。

無理して体を動かしすぎているという医者の言葉にもうなずける。

散歩とか頻繁にした方がいいのだろうか。

正直退院してからもずっと機械に寝っ転がってゲームしてたわけだから、そこまで以前との生活は変わっていないと思う。

せっかくやったリハビリもこのままでは意味のないものになってしまう。

自由を手にした私、ずっと家にこもるのはもったいない。

「そういえば……」

以前夏海が言っていた言葉を思い出した。

「大会が終わったら旅行に行こう。」という言葉。

どうせ暇だから今のうちに行先を調べておこうと思う。

私たちが住んでいるのは東京で、私にとっての初めての旅行だから、できれば近場がいい。

いきなり遠くに行くのはハードルが高いし、近いと何かあったときも安心だ。

検索バーに『関東 おすすめ 観光スポット』と入れると、様々な観光地が出てきた。

「都内の観光、日光?温泉地もいいねぇ……」

同じ部屋の中の廊下側に目をやると、隣から聞こえてくる謎の独り言に困惑している麗奈の姿があった。








「ユウヒさん、大丈夫ですかね……」

「あ、今日会って来たよ。」

「「ええッ!?!?」」

サンライズファンタジーの中、メアリー武具店2階にある居住エリアに机を囲んで座る3人の姿があった。

「ちょちょ、会って来たってどういうことよ!」

「いや、ユウヒが入院してるの私の妹と同室だったんだよね。」

「え?あの女の子音符ちゃんの妹!?」

「えっと、なんか私だけ話に入れないんですが……」

メアリーは様子を見に夕日に会いに行っている。

音符猫は妹の様子を見に行った時に夕日に会っている。

ではアルミはどうだろう。

会っていないのである。

「私も会いに行きたいです。」

「いいんじゃない?どうせしばらく暇だからあってきたら?」

「でも……」

アルミがすぐに会いに行くと言えない理由が存在する。

それは、いま夕日が入院しているのがついこの前まで自身が働いていた病院ということだ。

プロゲーマーになるからと無理言ってやめさせてもらった手前、なかなか訪れるのに勇気がいる。

いや、職員の人が気にしないというのはわかっているのだが、気持ち的な問題である。

楽しく話す2人、話に入れず頭を必死に動かすアルミ、今日もFoxAgainは元気です。
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