病弱な私はVRMMOの世界で生きていく。

べちてん

文字の大きさ
183 / 193

182話目 顔合わせ

しおりを挟む
「……いい加減入ります」

あれから数分ごねてごねまくった結果、何となく罪悪感が芽生えてきてしまったのでそろそろ入ることにする。

「あー、聞こえますか?」

「あー!やっと来たよ!!」

「ユウヒさん初めまして~」

「お初っす!」

あれだけ待たせて入ったのに、3人は何も攻めずに私のことを迎えてくれる。

「よし、これで顔合わせ始められるな」

どうやら3人は面識があったらしく、私が来るまで雑談をしながら待っていたらしい。

いや、申し訳ない。

「はーい、じゃあまず私からします!
 私はVTuberの桜宮ねるです!サンライズファンタジーは最近やり始めました!よろしくお願いします!」

この元気そうな女の子が桜宮ねるという子らしい。

VTuberって勝手に怖いイメージを抱いていたのだけれど、実際はそうではないみたい?

「じゃあ次は俺っすね。
 俺は神谷蓮で、ねると同じ事務所に所属するVTuberっす、よろしく!」

どうやらこちらも元気いっぱいで優しそうである。

サンライズファンタジーは第1回大会後に始めたらしく、きっかけが私のプレイ集を見たからだとか……。

ちょっと恥ずかしい。

「俺ファンなんすよ!ぜひサインください!」

「えっと、え、あの、分かりました」

突然話題をこっちに向けられ、テンパってしまった。

サインくださいって言ったって、これどうやって上げればいいんだろうか。

事務所に郵送?でも住所とかわからないし。

まあそれは後で考えることにする。

「俺はLesserで、すこし前までCSプロだったのでVRMMOに関してはほとんど初心者ですが、足を引っ張らないよう頑張るのでよろしく」

「よろしくお願いします」

元CSプロということは、おそらくメアリーとも戦ったことがあるのだろう。

メアリーはCSからきてあれだけ実力を持っているのだから、この人も期待して大丈夫そうだ。

:Lesserは結構上手だよ
:一般の部優勝者

「え、一般の部優勝者なんですか?」

「はい。おかげさまで」

「あの、それはすみませんでした。できれば戦いたかったのですけど……」

「いやいや、体調第一なんで全然大丈夫ですよ!」

こちらも優しそうな人で良かった。

1度一般の部の優勝者の人たちに謝罪くらいはしたいと思っていたのだけど、まさかこういう形でできるとは驚きだ。

「じゃあ最後!ユウヒちゃんおねがい!」

ぺこぺことあいさつをする私とLesserの間に、桜宮さんが入り込んでくれて何とか話は進行する。

「はい。私はFoxAgain所属のユウヒです。一応このゲームのプロです」

「まさかユウヒ選手と一緒に大会出れるなんて思ってなかったすよ!」

「確かに。なんというか、本人に言うのもあれなんだけど、ちょっと一匹狼のような感じでオーラがあるから……」

「まあ、あのプレイ集見せられたら声かけれないよね~」

「えっと、そんなすごい者じゃないですよ。ぜひ、私あの、ダメなので。コミュニケーション。ぜひ話しかけてください……」

やはり少し私はオーラが出ているらしい。

「じゃあ、ここからはユウヒさん主導でお願いします」

「私ですか?わかりました」

確かに個々はプロである私が引っ張っていった方がいいのだろう。

ひとまずは実力把握で現在のレベルを聞いてみたが、上から順に神谷君が58、Lesserさんが42、桜宮さんが36とのことだ。

別に全員低くはない数値だし、これくらいのレベルなら優勝は狙っていけるだろう。

一般の部の優勝者がいるというのは心強いし、神谷君も初期の方からやっているみたいで強いだろう。

「ちなみにユウヒちゃんはレベルいくつ?」

「私は先日150になりました」

「「「150!?」」」

:高すぎるww
:150wwww
:さすがすぎる
:マジで化け物すぎるだろw
:勝ったな
:ヤバすぎww
:マジかよwww

「えっと、どうしたらそんなに上がるんすか?」

「まあひたすらに狩り続けてますから、自然とレベルも上がっていくんです」

「はぁ、そういうものなんすね」

おそらく効率化のスキルのおかげがだいぶデカいだろう。

正直ほかのプロに比べてレベル上げをしている時間は少ないと思う。

レベル上げっていうよりフィールドを回って景色を見に行ったりとか、適当に町の中を散策したりとか、そういうことばっかりしてるから。

さすがにプロではない人たちよりかはレベル上げやってると思うけど。

「あれ?フィールドとかの情報って出てましたっけ」

「いや、出てないと思う。専用マップが用意されると思うよ」

「じゃあ詳しい動き方に関しては、マップに降りてから伝えます」

ひとまずは連携の質を上げることを最優先させていった方がいいだろう。

確かに個人のフィジカルも大事だけれど、連携というのは何よりも大事だ。

互いに1対1をやるより、複数人対1をやった方が勝率というのはぐんと上がる。

それでいて連携もとれていれば負けはない。

互いのスキル状況や、プレイの癖などを把握しておく。

事前に一緒に戦闘をしてこういう場合に味方がどのように動くのかを把握するのが勝ちへの近道。

まだ私は3人が何の役職なのかすらも知らないから、そこら辺をしっかり理解したうえで戦略を考えていきたい。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
 ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。  これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...