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第6話
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そうこうしている間に、大分草原を進んだ。
そして私はいま、12匹のオオカミの群れに囲まれている。そして、先ほどのものとは違ってそのすべてがレベル4だ。
ガルガルとうねりながらこちらをにらみつけている。足下を見れば、じりじりとこちらにすり足で寄ってきており、一気に襲いかかるタイミングを伺っているみたいだ。
あくまで階層に出没するモンスターのレベルは平均でしか情報が上げられていない。全体でポップするモンスターの平均が2なのであって、すべてのモンスターのレベルが2というわけではないのだ。
私の今のレベルは7なので、倒せないほどのレベル差ではない。ただ、12匹も固まっているとなると話は別だ。合計48レベル。
私の現在の詳細な情報がわからないので、できるだけ死にたくない。死んだらリアルでも死とか可能性はあるわけで、本気で戦うしかなさそうだ。
今まで走りながらクナイや手裏剣を投げてモンスターを倒していたが、ここからはこの忍者刀の出番だ。
腰に据えてあった忍者刀を引き抜き、一気にオオカミへと駆け寄る。
一斉にこちらへ襲いかかってくるオオカミは、さながらドクターフィッシュだ。残念ながら私のつるつるすべすべなお肌には古い角質など存在しない。
囲まれたときはどうしたものかと思ったが、別に戦ってみればたいしたことはなかった。
囲まれたところで、機動力の高い女忍者であればジャンプで抜けられる。突然その場で高く飛び上がれば、そいつら同士勝手にぶつかって勝手にひるんでいる。
あとは首元にくさっと忍者刀。それでおしまいだ。
高く飛んでいる間に投げ物でも当ててしまえばなお良い。効率化効率化。
たいした戦闘シーンもなく、気がついた頃には全員が私のアイテムボックスの中であった。
「あ、レベル上がった」
今の戦闘で私のレベルが8に。お金ももらえてウハウハだ。
しかもスキルも獲得。
「えっとなになに……?」
スキルの詳細をのぞいてみる。
『影移動
半径10メートル圏内の影にテレポートができる。1度使用すると使用制限30分』
「最強だ」
思わずガッツボーズをしてしまった。
「では、早速実演してみましょう」
あれから何ら面白いこともなく、あっという間にボス部屋に到着。
ボス部屋の入り口は洞窟になっていて、広い草原の中にそこだけ古墳のような小さな丘、入り口周辺は丘の上に立つ大木の太い根っこで囲まれていた。
あれほどまでにからっとしていた草原の空気も、その付近は少しじめっとしている。
妙なオーラというか、明らかに他の場所と違うような雰囲気が漂っている。
その洞窟を突き進むと、少し下がったところに大きめの広場。その広場の中央に白い小さな机のようなものがあり、その上にジェル状のものが乗っかっている。
レベル8になった私は女忍者特有の暗視のスキルが多少上がっており、ライト無しでもある程度の視界が確保出来ている。暗視のスキルがないような場合は、たいまつなどの照明を用意していく必要があるのだろう。
「……あれに触れば良いのか」
ジェル状のものに触れればボスモンスターが登場するのだろう。そう思いゆっくりとその机に近づく。一応どこからモンスターが来ても良いように刀の柄に手を当てておく。
そのジェルは若干潰れた球体になっていて、湿ったような見た目でつやつやと、洞窟の入り口から僅かに注ぐ光を反射している。カップゼリーをお皿の上でひっくり返し、チュポンとすればこのような感じになるだろう。
今目の前にあるジェルは食欲をそそらないが。
そうしてジェルに近づき、触れようとした瞬間にそのジェル状のものが軽く飛び跳ねた。
「ギョッ~~~!!」
思わず奇声を発してしまった私は、その勢いで影移動を発動してしまった。
視界が途端に真っ黒になり、気がつけば柄に当てていた右手は忍者刀を握り、前へ突き出している。
おそらく焦って忍者刀を引き抜いたみたいだ。視界が真っ黒になった理由は現在検討中。
画面の中央には何やら丸いものが表示されていて、その外周はゆっくりと色が変わっている。
身動きは自由に取れるみたいだが、音がない。視界もない。本当に何もなく、ただっぴろいこの暗闇の空間にただただ放り投げ出されている。この状況に困惑していて、脳がその処理に支配されていなければ恐怖でお漏らしのひとつやふたつしていただろう。
私の理解力のなさが功を奏したみたいだ。
と、ここで気がついた。結論。おそらく私は今、影の中にいます。
画面中央でくるくるしている奴は、おそらく影の中に滞在出来る時間。
このくるくるが一周したら強制的に外にはじき出されてしまうのだろう。感覚的には20秒ほどと言ったところだろうか。大分長いな。
この機能を使えば不意を突けるというわけか。やはりチート級のスキルだ。30分の時間制限では強すぎる。
……というか、なかなか出る時間に困るな。案外短そうに見える20秒という時間も、実際に体験してみれば妙に長く感じる。
外に出ればそこでボスが待ち伏せしている可能性も十分にあるわけで、外の状態が見られないのはこのスキルの欠点だ。
そう思って出るのを躊躇っていると、軽快な音と共に私の画面に文字が表示された。
『2層攻略! デントスライムを討伐しました!』
「えぇ?」
なぜかボスを倒したことになっており、困惑した私はそのまま影から脱出した。
地面からせり上がってくるかのようにゆっくりと出てきた私。己の感覚でその速度は変えられそうだ。
出た場所は先ほどの机から2メートルほど後退した地点。とっさに発動したために距離は最大値より短いみたいだ。
どうしてボスが攻略されたことになっているのか。どうやら先ほど影に入る際にビックリして引き抜いた刀が、ボスモンスターにクリーンヒットしたらしい。
あのジェル状のものがデントスライムというボスモンスターだったらしく、デントスライムの粘液というドロップアイテムを入手した。スライムは初めて見たというのに非常に残念だ。
何はともあれ、クリア……したね。
レベルも9になったみたいだし……。
こんなにあっさりとした攻略で良いのだろうか。
そして私はいま、12匹のオオカミの群れに囲まれている。そして、先ほどのものとは違ってそのすべてがレベル4だ。
ガルガルとうねりながらこちらをにらみつけている。足下を見れば、じりじりとこちらにすり足で寄ってきており、一気に襲いかかるタイミングを伺っているみたいだ。
あくまで階層に出没するモンスターのレベルは平均でしか情報が上げられていない。全体でポップするモンスターの平均が2なのであって、すべてのモンスターのレベルが2というわけではないのだ。
私の今のレベルは7なので、倒せないほどのレベル差ではない。ただ、12匹も固まっているとなると話は別だ。合計48レベル。
私の現在の詳細な情報がわからないので、できるだけ死にたくない。死んだらリアルでも死とか可能性はあるわけで、本気で戦うしかなさそうだ。
今まで走りながらクナイや手裏剣を投げてモンスターを倒していたが、ここからはこの忍者刀の出番だ。
腰に据えてあった忍者刀を引き抜き、一気にオオカミへと駆け寄る。
一斉にこちらへ襲いかかってくるオオカミは、さながらドクターフィッシュだ。残念ながら私のつるつるすべすべなお肌には古い角質など存在しない。
囲まれたときはどうしたものかと思ったが、別に戦ってみればたいしたことはなかった。
囲まれたところで、機動力の高い女忍者であればジャンプで抜けられる。突然その場で高く飛び上がれば、そいつら同士勝手にぶつかって勝手にひるんでいる。
あとは首元にくさっと忍者刀。それでおしまいだ。
高く飛んでいる間に投げ物でも当ててしまえばなお良い。効率化効率化。
たいした戦闘シーンもなく、気がついた頃には全員が私のアイテムボックスの中であった。
「あ、レベル上がった」
今の戦闘で私のレベルが8に。お金ももらえてウハウハだ。
しかもスキルも獲得。
「えっとなになに……?」
スキルの詳細をのぞいてみる。
『影移動
半径10メートル圏内の影にテレポートができる。1度使用すると使用制限30分』
「最強だ」
思わずガッツボーズをしてしまった。
「では、早速実演してみましょう」
あれから何ら面白いこともなく、あっという間にボス部屋に到着。
ボス部屋の入り口は洞窟になっていて、広い草原の中にそこだけ古墳のような小さな丘、入り口周辺は丘の上に立つ大木の太い根っこで囲まれていた。
あれほどまでにからっとしていた草原の空気も、その付近は少しじめっとしている。
妙なオーラというか、明らかに他の場所と違うような雰囲気が漂っている。
その洞窟を突き進むと、少し下がったところに大きめの広場。その広場の中央に白い小さな机のようなものがあり、その上にジェル状のものが乗っかっている。
レベル8になった私は女忍者特有の暗視のスキルが多少上がっており、ライト無しでもある程度の視界が確保出来ている。暗視のスキルがないような場合は、たいまつなどの照明を用意していく必要があるのだろう。
「……あれに触れば良いのか」
ジェル状のものに触れればボスモンスターが登場するのだろう。そう思いゆっくりとその机に近づく。一応どこからモンスターが来ても良いように刀の柄に手を当てておく。
そのジェルは若干潰れた球体になっていて、湿ったような見た目でつやつやと、洞窟の入り口から僅かに注ぐ光を反射している。カップゼリーをお皿の上でひっくり返し、チュポンとすればこのような感じになるだろう。
今目の前にあるジェルは食欲をそそらないが。
そうしてジェルに近づき、触れようとした瞬間にそのジェル状のものが軽く飛び跳ねた。
「ギョッ~~~!!」
思わず奇声を発してしまった私は、その勢いで影移動を発動してしまった。
視界が途端に真っ黒になり、気がつけば柄に当てていた右手は忍者刀を握り、前へ突き出している。
おそらく焦って忍者刀を引き抜いたみたいだ。視界が真っ黒になった理由は現在検討中。
画面の中央には何やら丸いものが表示されていて、その外周はゆっくりと色が変わっている。
身動きは自由に取れるみたいだが、音がない。視界もない。本当に何もなく、ただっぴろいこの暗闇の空間にただただ放り投げ出されている。この状況に困惑していて、脳がその処理に支配されていなければ恐怖でお漏らしのひとつやふたつしていただろう。
私の理解力のなさが功を奏したみたいだ。
と、ここで気がついた。結論。おそらく私は今、影の中にいます。
画面中央でくるくるしている奴は、おそらく影の中に滞在出来る時間。
このくるくるが一周したら強制的に外にはじき出されてしまうのだろう。感覚的には20秒ほどと言ったところだろうか。大分長いな。
この機能を使えば不意を突けるというわけか。やはりチート級のスキルだ。30分の時間制限では強すぎる。
……というか、なかなか出る時間に困るな。案外短そうに見える20秒という時間も、実際に体験してみれば妙に長く感じる。
外に出ればそこでボスが待ち伏せしている可能性も十分にあるわけで、外の状態が見られないのはこのスキルの欠点だ。
そう思って出るのを躊躇っていると、軽快な音と共に私の画面に文字が表示された。
『2層攻略! デントスライムを討伐しました!』
「えぇ?」
なぜかボスを倒したことになっており、困惑した私はそのまま影から脱出した。
地面からせり上がってくるかのようにゆっくりと出てきた私。己の感覚でその速度は変えられそうだ。
出た場所は先ほどの机から2メートルほど後退した地点。とっさに発動したために距離は最大値より短いみたいだ。
どうしてボスが攻略されたことになっているのか。どうやら先ほど影に入る際にビックリして引き抜いた刀が、ボスモンスターにクリーンヒットしたらしい。
あのジェル状のものがデントスライムというボスモンスターだったらしく、デントスライムの粘液というドロップアイテムを入手した。スライムは初めて見たというのに非常に残念だ。
何はともあれ、クリア……したね。
レベルも9になったみたいだし……。
こんなにあっさりとした攻略で良いのだろうか。
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