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神器【遠雷】
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「くそ、車は使えないか」
春香はそう言うと、素早く助手席のスクリーンケースを手に取り、筒状に巻かれたカーペットのようなものを取り出した。
「な、何だそれ」
「魔法の絨毯よ。とりあえずはこれで移動するわ」
異世界オルティアスの魔具か。これは便利そうだが、織物の上に乗るのはなんか不安だな。
3人は車の外に出ると、地面に広げられた絨毯の上に乗った。見ると、絨毯には4つの取っ手が縫い付けられていた。これに掴まれというのだろうか。
「聖魔法【サンクチュアリ】」
春香がそう唱えると、またしてもあの翡翠色のバリアが絨毯の周りを囲んだ。
「このバリアがあるから、空中で振り落とされる心配はないわ。さぁ、安心して早く乗って」
そう急かされ、進は絨毯に乗る。そして、両手で取っ手に掴まった。
「ちょっと、取っ手が4つしかないんですけど」
「守護天使、あなたは自分で飛べるんだから勝手について来なさい。じゃ、行くわよ」
春香がそう言うと、エラールを乗せずに絨毯は急発進した。
実際飛んでみると、意外と安定感があった。吹き付ける風は強いが、姿勢を低くして2つの取っ手に掴まっていれば、何とか大丈夫だ。だが下は見ないようにしないとな。
絨毯に乗ってしばらく進むと、何やらプロペラの回転音のようなものが聞こえてきた。
振り向くと、なんと軍用ヘリの編隊がこちらへ向かってきていた。絨毯に乗ってから、そんなに高度は上げていない。ここまでヘリが高度を下げてくるとは……相当な執念だな。
「あなたは知らないでしょうけど、今は各国政府があなたの異世界召喚の能力を狙って動いているわ。たぶんあれはアメリカのよ。ここは米軍基地も近いしね」
そんな厄介なことになっていたのか。
「奴らは俺を抹殺するつもりなのか? それとも捕えて利用する気なのか?」
進はそう問う。
「どちらもあり得るわね。あなたを殺せば異世界召喚なんていう異例の大災害が収まると考えているか、あるいは異世界召喚なんて便利な能力は是非とも利用させてもらいたいと考えているか、そのどちらかね」
「どうやら前者のようだな」
進はそう呟く。
「どうして?」
「見ろ、機関銃だ」
すると次の瞬間、後ろのヘリからはミニガンによる掃射が始まった。
だが当然、春香の聖魔法【サンクチュアリ】によって防がれる。さすが、「あらゆる攻撃は意味をなさない」と言っていただけのことはある。これで当面は安心だな。
「本社ビルまでついてこられたら困る。敵はさっさと潰しておいた方がいいわね」
春香がそう言う。
「ならば私がやります! さぁドラゴンちゃん、あのヘリたちを撃ち落とすのです!」
エラールがそう命令する。ドラゴンは炎を吐くが、効いている様子はない。一応向こうも鋼鉄の塊だしな。
そうこうしているうちに、ヘリからはミサイルが発射され、ドラゴンの額に直撃した。
「グオァァァ」
ドラゴンは鈍い悲鳴を上げながら墜落していった。なんだか申し訳ないことをしたな。
「ド、ドラゴンちゃん……」
エラールはあからさまに落ち込んでいた。
一方の春香は背中のヴァイオリンケースを下ろす。すると中からは、水色の長銃が出てきた。奇妙な配色だな。そしてその見た目は、どう見てもアンチマテリアルライフルだ。
「異世界オルティアスの神器、【遠雷】よ。これでどうにかする」
そう言って春香は【遠雷】を構える。すると、鮮やかな青色のビームが発射された。あまりの熱量に、ビームの近くの景色が歪んで見える。そして何より、【遠雷】のビームは聖魔法【サンクチュアリ】すら貫通していた。なんて威力だ。
その光線はヘリのうち一機に直撃し、跡形もなく消し飛ばした。そして春香は【遠雷】をそのまま横へ薙ぎ払い、ヘリを全機破壊してみせた。
春香はそう言うと、素早く助手席のスクリーンケースを手に取り、筒状に巻かれたカーペットのようなものを取り出した。
「な、何だそれ」
「魔法の絨毯よ。とりあえずはこれで移動するわ」
異世界オルティアスの魔具か。これは便利そうだが、織物の上に乗るのはなんか不安だな。
3人は車の外に出ると、地面に広げられた絨毯の上に乗った。見ると、絨毯には4つの取っ手が縫い付けられていた。これに掴まれというのだろうか。
「聖魔法【サンクチュアリ】」
春香がそう唱えると、またしてもあの翡翠色のバリアが絨毯の周りを囲んだ。
「このバリアがあるから、空中で振り落とされる心配はないわ。さぁ、安心して早く乗って」
そう急かされ、進は絨毯に乗る。そして、両手で取っ手に掴まった。
「ちょっと、取っ手が4つしかないんですけど」
「守護天使、あなたは自分で飛べるんだから勝手について来なさい。じゃ、行くわよ」
春香がそう言うと、エラールを乗せずに絨毯は急発進した。
実際飛んでみると、意外と安定感があった。吹き付ける風は強いが、姿勢を低くして2つの取っ手に掴まっていれば、何とか大丈夫だ。だが下は見ないようにしないとな。
絨毯に乗ってしばらく進むと、何やらプロペラの回転音のようなものが聞こえてきた。
振り向くと、なんと軍用ヘリの編隊がこちらへ向かってきていた。絨毯に乗ってから、そんなに高度は上げていない。ここまでヘリが高度を下げてくるとは……相当な執念だな。
「あなたは知らないでしょうけど、今は各国政府があなたの異世界召喚の能力を狙って動いているわ。たぶんあれはアメリカのよ。ここは米軍基地も近いしね」
そんな厄介なことになっていたのか。
「奴らは俺を抹殺するつもりなのか? それとも捕えて利用する気なのか?」
進はそう問う。
「どちらもあり得るわね。あなたを殺せば異世界召喚なんていう異例の大災害が収まると考えているか、あるいは異世界召喚なんて便利な能力は是非とも利用させてもらいたいと考えているか、そのどちらかね」
「どうやら前者のようだな」
進はそう呟く。
「どうして?」
「見ろ、機関銃だ」
すると次の瞬間、後ろのヘリからはミニガンによる掃射が始まった。
だが当然、春香の聖魔法【サンクチュアリ】によって防がれる。さすが、「あらゆる攻撃は意味をなさない」と言っていただけのことはある。これで当面は安心だな。
「本社ビルまでついてこられたら困る。敵はさっさと潰しておいた方がいいわね」
春香がそう言う。
「ならば私がやります! さぁドラゴンちゃん、あのヘリたちを撃ち落とすのです!」
エラールがそう命令する。ドラゴンは炎を吐くが、効いている様子はない。一応向こうも鋼鉄の塊だしな。
そうこうしているうちに、ヘリからはミサイルが発射され、ドラゴンの額に直撃した。
「グオァァァ」
ドラゴンは鈍い悲鳴を上げながら墜落していった。なんだか申し訳ないことをしたな。
「ド、ドラゴンちゃん……」
エラールはあからさまに落ち込んでいた。
一方の春香は背中のヴァイオリンケースを下ろす。すると中からは、水色の長銃が出てきた。奇妙な配色だな。そしてその見た目は、どう見てもアンチマテリアルライフルだ。
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そう言って春香は【遠雷】を構える。すると、鮮やかな青色のビームが発射された。あまりの熱量に、ビームの近くの景色が歪んで見える。そして何より、【遠雷】のビームは聖魔法【サンクチュアリ】すら貫通していた。なんて威力だ。
その光線はヘリのうち一機に直撃し、跡形もなく消し飛ばした。そして春香は【遠雷】をそのまま横へ薙ぎ払い、ヘリを全機破壊してみせた。
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