スキル【システム時刻改変】を手に入れた村人、史上最強のNPCと化す

川崎俊介

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オリジナル魔法

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「お前、俺のことをどこまで知ってるんだ?」

「詳しい話は後! もうすぐこのエリア全体が消去される。表向きは《魔王軍侵攻》ってイベントだけど、目的はあなたを消すこと。早く逃げるよ!」

「あ、あぁ」

 燐に手を引っ張られ、駆け出す。燐は驚異的な跳躍力で城壁を飛び越える。だが向こうは火の海。どうする気だ?

「【ヒュドール】」

 燐が詠唱すると、大質量の水が天から降り注ぎ、さらに地面からも水が噴き出した。こんな魔法、聞いたことがない。

 そもそも水魔法と言えば、【ウォーターカノン】とか、【アクアウォール】とかいったものがメジャーだ。こんな異質な響きを持つ呪文は初めて聞いた。

 自我が芽生えて以来、それなりにプレイヤーたちの会話には耳を傾けていたので分かる。

 水を放出する魔法や津波を起こす魔法はあっても、二つの現象を同時に起こすようなものはない。

 この少女もまた、自分と同じ。この世界のシステムから外れた存在なのだろう。

 行く手を阻む火は瞬く間に消し止められ、道が開ける。

「これは、オリジナル魔法?」

「!? よく分かったね。あなた、自我があるだけでなく、学習意欲まであるの?」

 何を驚いているのかは分からんが、俺がそんなことまで知っているのは凄いことらしい。

「さっき、《魔王軍侵攻》イベントとか言っていたな? ということはここを抜けても、魔王軍の群れを突破しなければ逃げられないんじゃないか?」

「私がどうにかするから、あなたは黙ってついてきて!」

 燐に強引に手を引かれ、ゴブリンやオークの隊列に向けて突っ込んでいく。

「おいおい待て待て!」

「そんな暇はない! 【プロクス】」

 燐の詠唱とともに、俺たちは蒼炎の結界に包まれた。突撃してくる敵は尽く身を焼かれ、灰と化した。

 数人の仲間たちの惨状を見ると、敵兵たちは恐れをなして道を開け、逃げ去っていった。

「おかしい。奴らまるで、意思を持っているようだな」

「一定レベル以下のモンスターは、戦況に応じて変動する《戦意》というパラメータを持っているの。だから、雑魚を何人か殺せば当分邪魔は入らないってわけ」

「当分……ね」

 この安全な状態も、長くは続かないということだろう。
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