心の破壊者ーCordis Destruction

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:001/Archangel

:009 願いと破約

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****

──人の気配。

 三人はすぐに、気を締め直した。

「見ない顔だな」

 それは低く太い、聞き慣れない声。
 見上げると、二階に人影。

 銀髪の男が一人、立っていた。
 見るに30過ぎの筋肉質の男だった。薄汚れた作業着で、眼光鋭くスキア達を見下ろしていた。
 スキアはその男を見て、背筋に凍えるものを感じた。戦う覚悟を決めていなければ、逃げ出してしまいそうな程の冷たさ。それを感じさせる。

「部外者か?」

 言いながら、銀髪の男は飛び降りた。
 近くで見て分かった事だが、男の右目には白目が無く、黒く染まっていた。

「シリウスだぜ」

「……シリウス? 予想外だな……しかし」

 その黒い右目から暗黒物質の粒子が静かに溢れ出ると同時に、その背後からペイシェントが二体、姿を表した。
 二体とも人並の体長だが、猛獣の様に体格太く、気性の粗さからか両腕を広げて威嚇の態勢でいる。

「シリウスならば、死んでもらうしかない」

「おい待て、俺達は別に喧嘩しにきた訳じゃ……」

 などというヴィルの言葉など聞く筈もなく、ペイシェントの黒い猛獣達が襲いかかる。
 スキアは相変わらず臆する事なく戦闘態勢、キイチはその単純さを咎めようとも思ったが、それよりもまずは状況を片付けなければならない。

「ヴィルさん、まずはあの男を捕まえて話を聞きましょう、取り敢えずこの場を乗り切らないと」

「もっと楽な任務だと思ってたんだけどな」

 スキアを援護しようとヴィルはその背後に回ったが、二階フロアを見て

(おいおい)

 と、思った。
 そこには先程の男とは別に、武装した7~8人の男達がこちらに銃を向けて立っていた。

「キイチ、上にも敵が!」

「知っています! ヴィルさん、退路を確保して!」

 一瞬目を合わせる事で意図を伝えると、キイチは右手側の雑貨店のテナントへと逃げ込んだ。

「わかってるぜ!」

 スキアは、向かって左の黒の獣の動きを止めている。ヴィルが見る限りスキアはあの敵に後れを取らない。烏との戦闘がそれを裏付けている。
 銀髪の男がどう動くか。ヴィルは先手を取って、鉄糸を銀髪の男に伸ばした。それは容易く叩き落されたが、鉄糸はそのまま銀髪の男の足元に残る。
 危険を感じ銀髪の男は飛び退いた。電源一瞬弾け、その隙に、ヴィルは後方へと走り出していた。

「……逃がさぬ」

 銀髪の男が右目をもう一体の黒の獣に向けると、それは跳躍しヴィルを飛び越え入り口を塞いだ。
 が、

「マヌケさん」

 ヴィルのその言葉と共に、その黒の獣の頭上に照明が落下、直撃の衝撃で地面に突っ伏した。
 すかさずヴィルが照明に鉄糸を伸ばし、黒の獣は感電し動きを止めた。

「!チッ……」

 銀髪の男は二階フロアに向けて右手を広げた。
 それを合図に、銃が構えられる。

「撃て! 蜂の巣にしろ!」

 銃を構えた男達──の、手元。
 人型の白い紙──式神が姿を表したかと思うと、持っていた銃は解体され床に落ちた。

 銀髪の男はスキアと戦う黒の獣を見た。しかしそれも、斬り裂かれ消えていくところだった。

「さて……」

 気がつけば。

「話を聞かせてもらいますか」

 スキア達三人に、囲まれていた。

(予想外だ)

 銀髪の男はスキアを見た。この少年の存在は“聞いていない”。
 戦力的に最も厄介な存在であったにも関わらず。

 銀髪の男は、胸ポケットから押しボタンスイッチを取り出した。
 言わずとも、それが何かは伝わる。

「俺は何も喋らない」

 スイッチを持つ手に、力を入れる。

「お、おい、馬鹿は止めろ。お前等勘違いしてるぞ、俺達は何も危害を加えようと思ってる訳じゃない。壁の向こうの奴らだって……」

「あいつらは“諦めた奴等”だ」

「……は?」

 男の言葉に、ヴィルは疑問符を浮かべた。
 どうも何か、噛み合わない。ここだけではない。第七区に入ってからというもの、シリウスの認識と何処か違っている。

「このままいじらしく細々と、それでも生きていられればいいと思うだけの、惨めな人間だ。俺達は違う。暗黒物質を受け入れ、新たな世界を創る」

 キイチは、気が付いていた。

「違います、貴方は騙されて……」

「この崩壊した世界は……」

 式神の制止も間に合わない。
 スイッチが、押された。

「選ばれし人間だけで、更なる高みへと行くべきなんだ!!」

 四方から爆発音。
 ショッピングモールの建物を辛うじて支えていた柱は尽く爆破され、建物が崩壊を始めた。



***

 壁の上で双眼鏡を眺めながら、ハクジはその音を聞いた。
 どちらの陣営の、誰かが死んだのかは知らない。しかしハクジは笑みを浮かべた。



***

 崩れた建物に巻き込まれはしなかったスキアだが、今、自分の事など二の次に考えていた。
 まずはヴィルとキイチを探した。幸いにも、二人共崩落を避け無事だった。爆発を察し、広いエントランス側へと逃れたのが功を奏したのだろう。手や足を少し痛めてはいるが、問題は無い。
 それからスキアは、瓦礫の下に埋もれているであろう敵の人間達を探した。対立していたとはいえ、あれは命を持った人間だった。無為に失われていいものではない。

 足場の悪い中を何歩か走り、足元に焼けた腕を見つけた。急いで瓦礫を掘り返したが、それは肩口から千切れた腕であり、その持ち主は顔が半分潰れて死んでいた。

「……ッ!」

 泣き出しそうになるのを堪えた。
 それは自分自身だけの悲哀に留まらず、ここに埋もれた多くの人間の悲鳴が心の中を抉っているように感じ、スキアは踏み出す足さえ折れそうになってしまう。“心”で強くなれるのなら、“心”で弱くもなる。

 そこに。

「……うぅ……」

 と、微かだが呻き声が聞こえた。
 スキアはすぐにその場へ駆け寄り、瓦礫を退かした。
 そこから助け出したその男は、全身怪我だらけで衣服もボロボロになっていたが、意識はあり、掴み上げた身体も動いていた。まだ生きている。命は助かる。
 と、その破れた袖から肩を見て、スキアはそこに虎のタトゥーを見つけた。

「あ、貴方もしかして!」

「……?」

「リタのお父さん!そうですよね!?」

「…………リ……タ?」

 助け出された男はまだ状況を理解しきれていないのか、目も虚ろ。
 しかしリタの名前を聞いて、少しずつ意識がはっきりしていくようであり、今なら言葉が届くとスキアは信じた。

「家でずっと待ってるんです! 僕は貴方を見つけたら連れ帰るように言われて」

「知って……いるのか……私の家族を……」

 男は、俯いた。反応から見るに、確かにリタの父親なのだろう。
 彼がどれくらい家を空けていたのかはわからないが、合わせる顔がないのだと思っているのかも知れない。
 しかしあの母と娘に、短い時間でも会って話をしたスキアが思うに、それは些末な問題だった。家族なのだから、会えばまた上手くやれる筈。

「帰りましょう!命が助かったのは奇跡です、ささやかでも家族で暮らす方が……」

「……あ……ああ……そうだな」

 その目に、微かに光が戻った。

「あいつらを守れる力を手に入れる筈が……このザマだ、もう俺は」



──それは突然だった。

 リタの父親が白目を剥いたかと思うと、その目は見る間に黒く染まり、身体に黒い模様が這い回った。

(! 侵食!!)

 スキアは、経験は無くとも見て分かった。それは、暗黒物質の侵食だった。
 リタの父親の足元から伸びる黒い粒子の筋。それはそこから離れた後方にいた、銀髪の男へまで繋がっている。

「や……」

 人為的な侵食。それは適性を持たない──そしてそれは殆ど全ての──人間にとっては、ペイシェント化しか齎さない。

「やめろっ!!」

「いいややめない……シリウスは、逃がすなと言われている」

 銀髪の男は、変わらず低く、冷酷な声でそう言った。まるで人間の命など、なんでもないもののように。

 スキアには為す術も無く、リタの父親の身体中が黒く染まった。そして変化が始まる。



 ――ギィアアアアアアアアア!!



 耳を劈く、悲鳴にも似た咆哮。
 黒く染まった身体中が、燃えて焦げるようにして変異していく。その中で、のたうち回っていた。

「そんな……!」

 その動きは、誰が見ても疑わぬ程に。
 体中を掻き毟り短い悲鳴を繰り返し、全身を打ち付けても尚消えない苦しみ。即ち救いすら求められない程の、苦痛の中にいる。

 スキアは、救う術を持たない自分の無力を呪った。
 否、ペイシェントを苦痛から解放する唯一の手段は知っている。しかし。

(この人は……リタのお父さんなんだ……!)

 殺せない。
 殺す訳にはいかない。

(助ける方法は、必ずある筈なんだ!!)

「スキア!」

 ヴィルが叫んでいた。
 気が付けば、目の前のペイシェントは、黒い痩せ細った骸の様な姿で頭上には一輪の銀の輪が煌めいていた。そして、前足を振り上げていた。

「くっ……」

 スキアは右腕で自分の身を守ろうとした。が、

「……!?」

 黒く異形の爪となっている筈のその右腕は、頼りない程に小さくなっていた。
 そしてそれ以上に、身体が動かない。躊躇わず敵に立ち向かっていたつい先刻が嘘の様に。

「スキア! 戦え! スキア!!」

 ペイシェントの攻撃を辛うじて躱したスキアだが、状況は変わらない。黒い天使の様なペイシェントはスキアに狙いを定めている。

 ――戦わなくちゃ、だけど……。

 戦えない。
 このペイシェントを、倒したくない。

「スキア!!!」

 ヴィルが走ってきている。しかしきっと、何も出来ないだろう。彼の鉄糸は今の状況を変えられない。それはキイチの式神とても同じ。
 ならば“心”はどうだろうか。心の力は、きっと何かを変えられる。スキアはそう信じている。

「お、思い出して下さい! 貴方の、妻と娘の事を!!」

 スキアは真っ直ぐ見据えそう言うが、

「思い出して下さい!!」

 黒い天使の振り抜いた前足が、スキアの右頬をかすった。

「それはもう助かりません! スキアさん!!」

 キイチの声も聞こえている。それでも身体が戦おうとしない。そして必死で叫んだ声も、届いていない。

 スキアは、膝を着いてかつては人間だった其れを見上げた。
 次の攻撃を、躱せそうにない。

(僕はどうしたら……)

 迷いの為に動かない身体。
 目前に迫る敵。振り上げたその前足。死をも覚悟した。

(思い出して……)

 きっと、温かかった家族だった筈。
 その時を少しでも思い出せば。
 人間としての魂が、僅かでも残っているのなら。



 ──その時。

 ペイシェントの顔に、無機的な機械の塊――それが落ちてきたバイクだとスキアが認識した時、目の前に降り立ったのは白髪の少年、ロネリーだった。

 バイクはペイシェントの動きを止めるが致命傷は与えていない。
 ヴィルはすかさず宙を舞うバイクへと鉄糸を伸ばし、燃料に引火させ爆発を起こさせた。

 爆炎に怯んだペイシェントの額をロネリーの剣が貫き、



 ――アァアアアアアアアアアア!!!



 咆哮が上がった。
 黒い天使はその場に突っ伏して動きを止めた。頭部の傷口から、核が見える。
 ロネリーは、再び剣を振りかざしていた。

「だ、駄目だロネリー!」

 スキアの言葉など聞こえていないかのように。
 何一つ躊躇いなく。
 一切の慈悲も見せず。ロネリーは、核を真っ二つに斬り捨てた。

「一度侵食されペイシェントになった者は」

 ペイシェントは、もう咆哮も悲鳴も上げない。
 スキアの目の前でただ、黒い塵となり消えていくだけだった。

「もう、助からない」

 振り返るロネリーの左目が、碧く光っていた。

「さ、さっきまで人間だったんだ……きっとある筈なんだ、助ける方法が……」

「人間じゃない」

 ロネリーの声は。

「ペイシェントにはもう、人間だった時の記憶はない。魂はない。……心もない」

 冷たく、それでいて何処か、哀しく聞こえた。

 ロネリーは、まだ立ち上がれないでいるスキアの喉元に剣を向けた。

「お前だって、同じだろう」

「ぼ、僕は違ッ……」

 言いかけて。
 それを言ってしまったら、あのペイシェントが人間だった時まで否定してしまう気がして──目を伏せて、言葉を止めた。

「……いや……確かに同じかもしれない、けれど……」

 ローダンセが、髑髏に戻った。
 ロネリーは俯くスキアを置いて、前へと歩み出していた。
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