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朔羅のトラウマ
しおりを挟む俺はαが苦手、と言っても全部のαが苦手と言う訳じゃない。Ωだから、って言って来たり、Ωと言うだけで襲ってくる奴らが嫌いだ。
昔から、俺は
『なぁ、4年の橋本ってΩらしいぜ』
『ぇ、マジ?って事は、ヒート来たら合法的に抱けるって事?』
『合法ってお前良く知ってるな、でもそうだよな!』
小学校の上級生からは言われ、
『Ωなのに何で、運動出来るんだよ、Ωだったら出来ねーのが普通だろ』
『Ωだから出来ない、それで許されるのが普通なのに、』
『Ω贔屓とかもされてる羨ましいよなぁ、』
と言って来た同級生達。
一番酷かったのは、中2の時かな、、、、
『お前さ、枕営業とかしてんの?Ωだから』
『そうそう、それで仕事ゲットしてんじゃないの?』
『この前の主演ドラマとかもそうでしょ?』
『違うわ、監督さんがキャスティングしてくれたんだ、いちいちΩってだけで決めつけるな』
Ωだからやってる、とかΩだから、周りから言われ続けた。だからと言って俺はバース性を公表した事に後悔はしてない。Ωだから恋愛系の彼氏役は無理とか、Ωだから頭を使った番組は無理とか、思われたくない。
だけど、1番辛かった事がある、、、、
中学1年の冬のこと、、、、
『朔~、ゴミ袋捨てて来て~』
『糸、分かった。、捨ててくる』
俺はゴミ袋を学校のゴミ捨て場に持って行く。すると、そこから少し近く、校舎裏から微かに香みたいな匂いがした。
『スンスンッ、、?何だろ?』
俺は好奇心でつい、校舎裏に足を向けた。歩くごとに匂いの強さが大きくなって鼻腔をくすぐる感じ、何故か腹が熱くなってくる感覚に襲われる。そして少し歩いて角を曲がったところで見た光景は、、、、
『辞めッ、離してッ』
『うるせーな、Ωなら、黙って襲われとけよ、α様に』
『うわッ、コイツヒート起こしそうだぜ』
『ヒート起こせば俺らはお咎めなしだな、手ー出しても』
3人の上級生でαらしき先輩達に襲われてる多分2年の先輩が倒れ込んでいた。俺はすぐに周りを見ると、小さい箱?みたいな物から煙が出ていて、匂いの原因がこれだと気付いた。
俺はすぐにこれが発情期誘発香だと気づく。事務所の社長に教えて貰ったから知っていたのだ。
俺は匂いのせいでお腹の中が熱く、疼く感覚とボッーとしてしまうが、目の前で襲われて居る光景を黙って見る事なんて出来る訳もなく、大きな声を出して力強く突進をする。
『何やってんだ!お前ら!』
ドンッ‼︎
『痛ッ、何すんだよ、!?』
『先輩、大丈夫ですか?立てますか?』
『ぇ?ぁ、うん、立てる』
『なら、すぐにこの事先生に報告お願いします』
『ゎ、分かった』
先輩は少しふらつきながらも何とかその場から走り去った。俺はその姿を見て少し安心する。
『おい!、俺らも追いかけるぞ』
『『おう!』』
その後を追い掛けようとする3人の前に立ち、行かせない様にする。段々と腹が物足りない、欲しいッと言う感覚が襲ってくる。
『行かせねーよ!』
『お前1年のΩか、なら、お前で良いや』 グイッ
多分、リーダー格の男が俺の腕を掴んで壁際に追いやった。その力は強く抵抗しようにも出来なかった。男達は俺のシャツの下に手を入れて、ワサワサと触り始めた。
『ゃ、辞めッ』
『ぁ?お前が良いところで止めたのが悪いんだろ』
『お前もΩなら分かるだろ?Ωは黙って抱かれるのが常識なんだよ?』
『ヤダッ、』
嫌なはずなのに気持ち悪いはずなのに、なのに何故か体は反応するし、香のせいか気持ち良いって思ってしまうし、お腹が物足りなくてなんかキュンキュン言ってるし、怖いし分からない事だらけで、視界がぼやけてくる。
『そろそろ入れるか、ヒートじゃねーけど、抱けるからな』
『!ヤダッ、離してッ』
ズボンに手をかけて、ヤられる、と本能が、Ωとしての本能が叫んでいた。嫌だと言う恐怖の感情の中に、期待感が入ってる事に気付いた時は自分自身に嫌悪感を抱いた。本当に怖くて2歳しか年が変わらないのに力の差を感じて、更に怖くなった。
『何だよ、気持ち良いんだろ?気持ちい事好きなんだろ?Ωは?』
『そうだよ、お前らΩはセッ○スする生き物なんだから』
そう言った男達の目は欲望と興奮が入り混じった理性のかけらもない表情をしていた。俺は怖かったのに、αだと分かってるから、αに媚びてしまうかもしれない自分が居て上手く言葉に出来なかった。助けてって、言えなかった。
だけど、救いがあった。
『先生!あそこです!』
『お前ら!何をしてる!』
『ヤベッ、センコウだ、逃げるぞ!』
『?、ぁ、助かッ、t、、、、』
俺は助かったと分かった安心感からか、その場に倒れ込んでしまった。
その後、聞いた話だが、俺と2年の先輩を襲った3年の先輩達は即刻少年院入りを果たした。違法である発情期誘発香で襲った事が問題視された。お金を積んだ示談にすると、相手の家に言われた時は俺と先輩はびっくりした。
だけど、俺の所属する事務所とその社長の親が大激怒して、示談はせずに少年院入させた。因みに慰謝料は貰った。
それでも俺の事をした1番の上の兄さんの計らいで、転校した。転校先に玲央と糸も付いて来てくれた時は泣いた。
て、事があったので、俺は一定のαが苦手になった訳だ。別にフユさんの事が苦手になった訳でもない。同じメンバーにαも居るし、良い人も居るって事は分かっている。
なのに、何でフユさんに言われる事が嫌だったんだろ、、、、同じ境遇にあったから、なのかな、、、、
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朔羅と暮らし始めて1ヶ月になろうとする、12月の下旬。
朔羅と暮らしてから、俺の生活は結構変わったと思う。3食朔羅の自炊で家事全般をこなしてくれて部屋は清潔を保っていて、栄養管理も行き届いていた。
何より、、、、
『兄さん秘蔵写真、見ます?』
『、、、、見る』
雅之の過去の写真を見れることが何よりの楽しみになっていた。朔羅の事は最初は印象は少し悪かったと俺は思っている。だが、俺の為に怒ってくれたり泣いてくれた姿を見て少なからずは心を開いても、良いと思える相手にはなった。
それにだ、俺の事をαとして見た事なんてなかった。雅之の親友兼同居人としてでしか俺を見てない。本当に俺に対する反応が新鮮だらけで、少し面白いと思った。
勉強も教えた分頑張り、着々と吸収していて、仕事も頑張っていると俺の目から見たら思えた。
『ぁ、朔羅のグループか、新曲披露か、、、、まだまだいける、朔羅なら』
朔羅の踊って歌う姿を見て、俺はそう思った。何故思ったか、分からなかったが、頭の中で思ってしまったのだから、しょうがない。
俺は多分、少しずつだが、朔羅に心を開いているのかもしれない。
『ねぇ、フユさん、、、、何でポケットにティッシュ入れたまま、洗濯機に入れたの?』
『、、、、わざとでは無い』
『反省してんの?してないの?どっちなんだ!』
たまに俺の小さな言動で怒ったりするが、最後は必ず、
『はぁ、しょうがないなぁ』
と、言う姿は雅之に似ていた。
俺のトラウマを聞かれた時から、俺の事を変に意識する事なく、寧ろ普通に接してくれた。普通は、少なからず気まずくするのが人間だと思っていたのに、
俺は多分だが、朔羅の事を意識してΩとして見た事はないと思う。
そんな中で、俺は、俺が経営するゲーム会社とそれより有名なゲーム会社の合同ゲームの考案を考えていた。昔書いた小説を元にしたゲームという事で、色々時間をかけて考え込んだ。睡眠時間をいつもより削ってストレスを抱え込みながら、作業を進めていた。
だから、今回の失態を、今回の事件を起こしたんだと思う。
『はぁ、、、、ほんと、これだからΩは、中途半端に続けてるじゃないか』
俺は無意識にそう言ってしまった。少しの間を空けて、自分が何を言ってしまったかをすぐに理解した。
目の前に立っている朔羅は悲しそうな表情をしながら、怒って、去り際には、
『それでも、フユさんに、フユさんだけには、“これだからΩは!“って、言われたくなかった!(泣)』
そう言って部屋から出て行った。俺は涙を流した朔羅を見て足が動かなかった。それと同時にお見合いが終わって2人っきりの時に雅之に言われた言葉を思い出した。
『フユヒト、あの、朔の前で必ず、絶対にΩだから、とかだからΩは、とか、Ωって単語を使って卑下させる様な言葉言わないであげて、』
『言うつもりはないが、どうした?何か問題でもあるのか?』
『これは俺の口からは言えないんだけど、朔もフユヒトと同じぐらいの辛い境遇にあってる、それだけは言っとく。あの子を傷付けないであげてもう2度と辛い気持ちで泣かせたくない』
そう真剣でいつもの優しい顔の雅之じゃなかった事を良く覚えていた
俺、最低な事を言った。自分が言われたくもない言葉を自分で言ってしまった。少なからず、無意識下ではΩと意識してたって事だ。そんな考えないと思ってたはずなのに、
俺はそれを理解したと同時に足を動かして、朔羅の元に向かった。
俺のせいで泣かしてしまった。俺の言葉で、泣かしてはいけないのに、
コンコンッ
「朔羅、俺だ。鍵開けてくれ」
「、、、、」
ガチャガチャ
いくらドアノブを下にしても開かない。俺はそれを理解して、すぐに見えはしないが頭を深々と下げる。
「すまなかった、」
「、、、、ぇ?」
小さく朔羅の声が聞こえた。俺はそのまま言葉を続ける。
「無意識だったとは言え、言われたくもない言葉を俺が言ってしまった。俺もαだから、αなのに、って言葉が不愉快だった」
「それなのに、俺自身が言ってしまった。本当に申し訳ないと思っている。いくらイライラしていたとは言え、すまなかった」
「、、、、」
俺の言葉に何の反応もなく、ダメだと思いその場から離れようとした瞬間、部屋の鍵が開く音がした。
ガチャッ
そして扉が開いた。そこから顔を出した朔羅の顔は目元が赤くなっていて明らかに本当に泣いた事が分かる。
「、、、、俺も、低い点とったから、お互い、様」
「、、、、泣いただろ?」
「泣いたけど、別に、、、、ねぇ、フユさん、」
「?、何だ?」
「俺の、俺のほんの昔のお話、聞いてくれる?」
震えた声で下から俺の顔を覗き込んで聞いてくる朔羅。俺は断る事もなく、朔羅の頭を撫でで、頷く。
「じゃあ、引かないでね、、これは俺が、一部のαが苦手になるまでのお話、、、、
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、、、、って事があって、俺は一部のαが嫌いで、Ωだから、とかの言葉が嫌いになったんです」
俺が言い終わると、フユさんは何故か俺の事を抱きしめていた。俺のこの出来事に意味が分からず?マークを頭の中で沢山浮かび上がる。
「な、何してんの!?アンタ!?」
「本当にすまなかった。俺と似た様な境遇で辛かった、それも俺より傷が深いままなのに、すまなかった」
「、、、、なんか、アンタに謝られるの、変な気分。まぁ、良いよ。俺はアンタが良い奴だって事は知ってるし、全部のαが悪い奴だって事じゃない事だって分かってるし」
俺がそう言うと、少しその場の空気が和らいだ気がする。すると、フユさんが小さな声で俺の耳元で呟いた。
「俺も、」
「?」
「朔羅のおかげで、全部のΩが悪いって分かった。朔羅の存在が俺の心を変えた」
俺の抱きしめたまま、優しい声のトーンで言ってきたフユさん。俺は、その言葉だけで嬉しかった。
「何だよそれ、まぁ、俺のおかげって事だな!今日の夕飯はアンタの好きな料理作ってやる!気分良いから!」
「あぁ、俺も今は気分が良い」
「何でも作ってやるぜ、!」
少しの喧嘩もあったけど、何故かいや、この人とはやっていける自信があります。もうこれ以上の問題は起きないで欲しいな、、、、何て、
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