転生悪役王女(♂)はハッピーエンドがお好みです

橋本衣兎

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王子との関係、弟との関係 ①





アシェルとの婚約が無事成立して3週間程が経った頃、俺は死にそうになっていた。

「俺、悪くないと思うんだよね」

優衣ゆい、それ悪い人が言う言葉だと思うけど〉

〈神様、今の優衣に何言っても無駄ですよ。私も気持ちはちょっとは理解出来るし〉

部屋の一室で綺麗でふかふかで大きなベッドの上で体育座りをして闇落ちしそうな俺を宥めようとする神様とユイリア。
何故、俺がこうなったか、、、、それは、アシェルとの婚約が成立したからだ。
と言っても、本来成立させるのは普通の事だから全然良いの、だが、成立した事で病んでるんじゃなくて、成立後のせいで病んでいるのだ。

「なんか、体調悪くなりそう」

〈優衣って意外と打たれ弱かったんだね、初めて知った〉

「!、ユイリアだってされたら、病むでしょ!?」

〈まぁ、殆ど毎日されたら病む、かもしれないけど〉

〈ユイリア、それは肯定しちゃダメだって〉

〈、、まぁでも、私の時よりアシェルの執着が強まっているのは、優衣の魅力って事ね〉

「好きでそんな魅力出してないんだって、ただでさえめんどくさい事嫌いなのに」

〈〈闇落ち化が進んでる、、、、〉〉

何が殆ど毎日、なのかはあんまり口にもしたくない。と言うか、めんどくさい。
俺はハァァ、と大きなため息をしながら、ボーッと窓の外を眺めていると、コンコンッと部屋の扉が叩かれる音がした。
それに返事をすると、俺の専属メイドで、アシェルが訪問したとの事だった。それに、ため息が出そうになったが、その後に出たアシェルが持って来た物を聞いて目の色を変えた俺。

「ローズウェル王国の王都で人気のお菓子屋のケーキ、だそうですよ。確かチョコレートケーキ、だとか」

「!!、すぐ行く!いつもの所で待ってて貰って!あと、紅茶はアッサムのミルクティーね!」

俺はそう言って勢い良くベッドから降りてメイドに伝え、アシェルに会う為にドレスをクローゼットから取り出す。
その様子を見てユイリアと神様はなんとも言えない顔をして、俺の背後で会話を始めやがった。
それに気にせず、急いで着替える俺。7歳児が1人でドレス着替えるのは結構難しい。まぁ、魔法で何とかなるけど。

〈優衣って甘い物好きだったんだねぇ、ユイリア~〉

〈そうみたいですね。そう言えば、病室に甘い系の飴やチョコ系のお菓子のゴミがありましたし、、、、アシェル、優衣の好みを短期間で把握したみたい〉

〈ユイリアは甘い物も好きだけど、ジンジャーとかレモン系が好きだもんねぇ〉

〈!、神様、良く分かりましたね〉

〈そりゃあ、ずっとユイリアを見てたんだもん、分かるに決まってるじゃん〉

〈、、、、(顔を赤くなる)、嬉しいです〉

「(イチャつくなら、天界でやってろよ。このバカップル共)」

俺はそう頭の中で吐き捨てて部屋を出る。人が居るのにイチャつくなよな、子供の教育に悪い、、、、まぁ俺子供じゃないけど、立派な元男子大学生だったんだけども。
そう思いながら相変わらず俺の後を着いてくるユイリアと神様を無視して、俺のメイドとあと複数人の騎士さん達と王宮内にある庭園の噴水の近くにある東屋に向かう。

「!、ユイ」

アシェルは俺の姿を目視するとにこやかな表情で立ち上がった。初対面の時とは違って、なんか色々晴れた?感じで明るい雰囲気を纏っている。
そして、アシェルの騎士さん達もいつも通りの人達で全員の顔と名前を覚えちゃった。
なんて事を頭の片隅で考えながら、王女らしい挨拶をする。

「アシェル、ようそこいらっしゃいました。十分なおもてなしは出来ないと思いますが、ご容赦下さい」

「こちらこそ急に来てごめんね。それと、十分なもてなしは必要ないって前にも言ったでしょ?それに、敬語は無しで、、って呼ぶって前に約束したよね?」

「ぅ、そうでした。じゃなくて、そうだった、、、、アッシュ」

「うん、それでよし」

〈私でもアッシュ呼びしなかったな〉

〈距離の詰め方が早いって事だねぇ〉

慣れないアッシュ呼びをすると、嬉しそうって言うか愛おしそうな顔をして軽く頷くアシェル。アッシュはアシェルの愛称で、ユイ呼びもそんな感じだ。
婚約したからって特別感を出す為にって、アシェルが提案したのだ。
対面する様に東屋の椅子に座って、メイドに紅茶を淹れて貰う。
アシェルは、騎士さんの1人からケーキの入ったケースを受け取って中身を取り出す。俺はその動作にワクワクする。

「ユイが前に僕が持って来たチョコのプリン美味しそうに食べていたから、今日はチョコレートケーキにしてみたんだ」

「ありがとう、アッシュ。そんな小さい事、覚えられてるのはちょっと恥ずかしいけど」

「小さい事じゃないよ。仮に小さい事でも、僕にとっては好きな人の好きな物が知れる機会が大事なんだよ」

「!(顔が真っ赤になり顔を逸らす)、、、、そ、そっか」

アシェルのイケメン発言に俺は思わず顔を赤くしてしまって顔を逸らしてもしまった。アレはズルい、同性でもやられたら堕ちる。流石作中トップクラスの天然女たらしと呼ばれるほどの実力だ。
、、、、でも、そのアシェルに好意を向けられてるのは俺で、だからちゃんと気持ちは受け取って大切に向き合わないと、だよな!恋するかどうかは俺次第!!
そう意気込みながら、メイドに切って貰ったチョコレートケーキを女性らしい所作で口に頬張る。

口に入れると、チョコレートの甘さが口いっぱいに広がって、ほっぺがとろけそうになった。やっぱり、甘味が最強だな。
そんな美味しく食べている俺の様子を見て、幸せそうな顔をしながらアッサムのミルクティーを飲むアシェル。

「、、、、なんか、わたしだけいつもアッシュから沢山貰ってて、申し訳いない、な」

「そんな事ないよ。僕も沢山ユイから貰ってるから」

「え?、わたし何かアッシュに渡した?」

「うん」

俺何かあげたか??お互いに贈り物をあげようってなってハンカチを上げたぐらいしか。ここ3週間殆ど移動魔法でわざわざ大陸挟んだこの国に来て、俺に尋ねてお菓子とかを持って来るアシェルからしか一方的に貰ってる気がしかない。
寧ろ、俺は何も渡してなさ過ぎて、気まずいし申し訳なくなって来てたのに。
何をあげた?と不思議に思いながら、一旦ミルクティーを飲む。

〈優衣って結構流れに身を任せたりするタイプって私気付いた〉

〈どう言う気づき方かは分かんないけど、俺も分かる。それは〉

「(放っておいてよ)、、何を渡したのか分かんないだけど」

「ふふっ、それはね、、、、愛しさとか大切だ、とか、思い出だよ」

「、、、、、、、、ごめん、ちょっと説明お願い出来る?7歳児には難しかった」

アシェルのにこやかに言った言葉を聞いて俺は、理解出来なくて困惑しながら説明をお願いした。声のトーンからして本気で言ったし、冗談じゃねー。一瞬周りの雰囲気が凍った気がするのは気のせいではないな。
俺のお願いにニコニコしながら紅茶を飲んでから説明をしてくれるアシェル。

「前まではこんなにも愛おしいって感情は芽生えなかった。でも、ユイと過ごす中で優衣の事が愛おしい、とか大切だなぁ、とかユイと過ごす思い出が大事だなって思えたのは、ユイが初めてなんだ。ユイに恋をして、ユイを愛して、ユイが大切で、大事だって感情を教えて、んだよ」
「僕は」

「、、、、(全身顔真っ赤で顔をテーブルにぶつける)そ、そうなんだ。説明ありがとう」

「ユイ、、大丈夫?怪我してないかい?」

「大丈夫、大丈夫。怪我なんてしないしない、アハハハッ」

実際怪我はしてない。だけど、身体中が熱い。
アシェルの言葉のイケメン過ぎる発言を聞いたせいだ。なんだろう、ユイリアの体になってからかな、心臓の動悸が激しくなりやすいし、感情の起伏が激しくなりやすい気がするするんだけど。ユイリアのせい?

〈私のせいにしないでよ。確かに、表情筋以外は豊かだけども〉

〈そこ認めたらお終いだよ、ユイリア〉

それに、嬉しいって感情で今頭がいっぱいだ。俺と過ごしている中でそんな事を思ってくれているって、思うだけで嬉しいし、、、、これからもそう思って貰える様に俺も頑張りたいって考えた。
素直に嬉しいかって感情に支配されている俺の脳内は、無意識に足をパタパタさせるのであった。

「わたしも、、、、アッシュと過ごす時間は、大切だと思ってるよ」

「、、、、そっか、同じ気持ちで嬉しいな」

「、うん」

同じ、同じかぁ、ただそれだけでまた嬉しくなる俺は多分チョロい。
そして何故か周りから生暖かい視線が向けられているのは気のせいだろうか?気のせいじゃないから気のせいであって欲しい。

それから、俺とアシェルは色んな国の話をしたり、チョコレートケーキを堪能したりした。その中で俺は気になった事を紅茶を飲んでいるアシェルに尋ねてみた。

「あのさ、アッシュはわたしが男の子だって事、知ってるんだよね?」

「?、あぁ、うん。知っているよ、婚約するって聞かされた時に、その事も父さんから教えて貰ったからね。それがどうかしたのかい?」

「いや、その、、、、嫌じゃない、のかなって」

「え?、嫌?」

「だ、だってわたし、大きくなったらお父様みたいに身長が高くなったり、筋肉が付いたりするし、その可愛くなくなるかもしれない。アッシュはお母様みたいな綺麗な人の方が好きになるかも、しれない、し。女の子が良かったってなるかも、しれない、し」

俺は下を向いてモジモジしながら言った。
因みにこれは演技だ。何でって?一応、聞いておきたいじゃん?アシェルの真意を。
アシェルが俺を好きなのは分かってるし嘘じゃないなんて魔法で1発だ。それでも、アシェルの口から聞きたいんだよなぁ、俺は今。
すると、アシェルから異様な圧と言うか怒ってる雰囲気を感じる。
俺は思わずピシッと体が硬直する。周りの騎士さんやメイド達も少し強張った表情をしているのが分かる。

「それ、誰かに言われた?」

「言わ、れてない」

「そう、それなら良かった(表情が和らぐ)」
「、、、、僕はユイだから好きになって、女の子とか男の子とか関係ない。ユイって言う1人の人間を好きになったんだ。それ以上でもそれ以下でもない。ユイが女の子だったとしてもユイを好きになってたし、、僕はどんな姿になってもユイを愛し続けるって誓うよ」

「!(耳まで真っ赤)、、、、嬉しいけど、人が沢山居る所で言わない、でよ、アッシュゥ」

「、、、、顔真っ赤なユイも可愛いね」

「話聞いてる!!?」

話が噛み合っているのか分かんないけど、けど、、、、アシェルの気持ちを考えを想いを聞けて嬉しいよりも先にあぁ、俺は、俺をちゃんと愛してくれてる人が目の前に居る。
そう実感して、心が温かくなった。
なんだかんだ俺も、アシェルに絆されているんだな、と理解した日になってしまった。
俺とアシェルはそのまま笑い合いながら、ケーキのおかわりをした。

〈でも、優衣も優衣で人たらしみたいな成分を感じるわね、私は〉

〈ユイリアの声のトーン的にマジだね。俺もちょっと分かるし、、、、でも、幸せになるね、これは〉

〈ですね、神様。幸せになるのが、優衣の役目でもありますし〉
















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