眠りたい悪役な令嬢と殿下の恋愛攻防のあらまし。

1章 全てはここから始まった？ 日常編

変装とお出かけ！

✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎


よく晴れたある日の朝、私はいつもの服装を改め、町娘風の薄い桃色のワンピースを着て、栗色に金髪を染め鏡の前に立っていた。
「これ、町娘にみえるのかなぁ…？」
なぜこんなことをしているのか…


✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎


数日前、3人の公爵令嬢達。

「「「息抜きに街へ行くと楽しいわよ！！！」」」
お茶会中、とんでもないことを提案してくれやがりました！！

「私は後で、町娘風のワンピースを贈りますわ！」
「なら私は、町娘風のメイクセットを染め粉付きで！！」
「それなら、町娘風の帽子を！！」

あれやこれやと言う間に、町娘に変装することが決定。
わ～、ぱちぱちぱち。
嬉しくなぁぁい！


✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎


かくしてミヤナチョイスのワンピース、ソリュカオススメのメイクセットプラス髪の毛の染め粉、カルナシアに贈られた帽子を身につけた私。

「「お似合いですよ～」」
メイドのニーナとシェルプは褒めてくれる、2人とも伯爵令嬢なんだからお世辞使わなくても…

「「花嫁修業も兼ねているので将来の練習として、お世辞も言いますよ～事実お似合いですが」」
やっぱお世辞含まれるのか、
「本当に町娘にみえる？」
「まぁお忍び感は出てますが」
「出てるんかぃ！！」

それはあまりよろしくない！でもしっかり教えてくれてありがとうニーナ！
「まさか公爵令嬢だとは思われませんよ～」

シェルプ、その発言の意味聞いていい？気品がないって言いたいの？
「いえ、コーデが似合いすぎて、違和感なくて～。」
そうかな？鏡の前で一回転。分からん…
まだいいか、令嬢としてはフクザツだけれど、バレなけば！

部屋を出たところでお兄様とお母様と遭遇。
「ニーナ、その格好どうしたんだい？」
「この前送られてきた箱の中身はそれなのかしら？」
同時に言わないで！聞き取れない！
「もう一回お願い！順番に！」
「ニーナ、その格好どうしたんだい？」
「この前送られてきた箱の中身はそれなのかしら？」
だから同時に言わないでえぇぇ！

「これから街に出かける予定～。
ミヤナ、ソリュカ、カルナシアからの贈り物だよ」
順番に言い直してもらい、なんとか返事。あれから3回同時に言われて繰り返し聞く羽目に…

「出かける前から疲れた…。」
「「なんかゴメン…」」
気を取り直して、
「行ってきます！」
玄関への扉を開く私の背に、
「いつ帰ってくるの～？」
「気をつけるんだよ！」
同時に言われても聞こえません！


✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎


「おじさま、これ１つください！」
「おぅ、可愛い嬢ちゃんだね。はい、これ釣りだよ」
「ありがとうございます！」
屋台で、美味しそうなクレープを購入。

ふっふっふ…この日のために、
「通貨の価値も支払い方法も全て学んだのだ！」
思わず叫ぶ。周囲からの視線を感じるが、どうでもいい！
いやいやながらの モグモグ 、街へのお出かけ モグモグ だが、やるからには徹底的 モグモグ に！それが私 モグモグ のモットー。
お小遣いを小銭 モグモグ に変えて貯めておいた。しかし、
「このクレープ美味しい！！」
さっきから食べているこのチョコクレープ最高！

濃厚なクリームといい、みずみずしいフルーツといい、星型のチョコレートのツヤと香り！
「イッツパーフェクト！！ね。」
あぁ、こんなものがこの世に存在していたとは？！
親友に勧められなければ、とてつもない損をしていた。 

食べ歩きつつ、本屋を探す。
「すみません、本屋はどこにありますか？」
ズバリ、聞き込みで！！！
↑土地勘ないんだもん…
今日は警護などもつけてないので、自力で見つけるぞ！

「ねぇお嬢さん、いいところに連れて行ってあげるから一緒に来ない？」
本屋への道すがら、細い路地裏を歩く私、数人の男に囲まれております。
あれ？もしかして、いやしなくてもピンチっすか？