それがたとえ、死であっても。

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『只今、緊急ニュースが入りました。午後7時過ぎ、ベルガ=ランド・シーサイドモールで大規模なウイルステロが発生しました。多数の死傷者が出ているようですが、いまだ詳しい状況はつかめません』
 振り返ってみれば、ウィルフレドはまだ3歳であった。しかし、上空からヘリがベルガ=ランド・シーサイドモールを映し出している映像は今も記憶にある。黒い煙をもうもうと上げ、阿鼻叫喚の悲鳴が聞こえていた。
『周辺2km地域には避難命令が出されています。近隣の方は、至急退避してください。未だウイルスの感染力については、わかっていませんが警察によるとかなり強力であるという見方があります』
 あれから18年。ウイルステロはこの世界の日常になりつつあった──。


 ウィルフレドの所属するトリステル合衆国陸軍の合同射撃訓練は、初秋に行われる。
 今回合同演習の相手として選ばれたのは、例年とは異なり同盟国の陸軍ではない。この国でクリーチャーを相手に戦う対バイオテロリズム特殊作戦部隊、通称BSOC(Bioterrorism Special Operations Command:)であった。
 防弾ベストやヘルメットを身に着けナイトビジョンスコープを取り付けた訓練用の銃を持ち、バディと共に林間に放り出される超演習型の訓練である。
 実践と同じ経口の訓練弾を用い、生き残りをかけた全3日間の合同射撃訓練は、陸軍の訓練の中でもっとも過酷で実践に近い。
「合同訓練のバディ今日発表だったよな」
「うん。ウィルは誰とだと思う?」
「いや……想像もつかないな。未だにあの組み合わせがどんなロジックで決定されるのかわからないし」
 相部屋のヒューズと他愛もない話をしながら、ウィルは中央廊下を歩いていた。
 正直このタイミングで合同訓練とはついていない。士官学校では優秀な成績をおさめ、陸軍特殊部隊訓練生に選ばれたところまでは順調だったものの、最近になってウィルは戦う目的に疑問を抱きつつああった。
 今のような生半可な気持ちで取り組めば、落ちぶれた成績を取って自身のモチベーションを削ぐのは目に見えている。これまでは慢性的に訓練をこなしてきたし、厳しい訓練に打ち込むことでその疑問から目をそらしてきた。自身の家系は軍人として生きてきた者ばかりで、このようなことを相談する相手もいない。
 陸軍に入る際、入隊試験を受けようと思っていたトリステル合衆国を代表する組織になら憧れの人はいるけれど、陸軍で地位を得ることを家系に背負わされたウィルに迷いは許されなかった。その結果として、いま陸軍としての自分の命に疑問を抱いているのだから、落ちるのも時間の問題だとウィル自身薄々感じている。この年度末には特殊部隊隊員への昇格試験もあるというのに。

 バディ発表の掲示は、教官室の前で行われる。教官室は寮と教官棟を結ぶ中央廊下をまっすぐ行って、北の方角に曲がったところにある。
 もう発表の時間を過ぎているから、人だかりになっていることだろう。
「僕はシーズさんとがいいな。すごくよくしてくれてるし、射撃の腕もいいから」
 ヒューズのいうシーズさんとは、年上同期のことだ。射撃の腕前を高く評価されており、普段からヒューズもよく慕っている。
「シーズさんに守ってもらう前提か?」
「僕はそれでいいんだよ。キミみたいにデキる男じゃないからね」
 ヒューズが空笑いをしながら言う。ウィルは眉間に少しシワを寄せた。ヒューズは謙遜しすぎる節がある。近接格闘術の筋も悪くないし、小柄な体格を存分に生かした身のこなしにはウィルも感心することがある。
「本当にお前は勿体無いよ。もっと本気だせ」
「ウィルくらいだよ、そう言ってくれるのは」
 案の定、バディ発表の掲示板の前には大きな人だかりが出来ていて、様々な反応が上がっていた。
「あ~……、緊張するよ、神様……!」
「大袈裟だな、ヒューズは」
 神に祈るヒューズの隣でウィルはくすりと笑った。そしてヒューズと共に、掲示の前に立つ。

006隊 シーズ・マーキュリー 
ヒューズ・ブライアント

「ああ! シーズ先輩とバディだ! ウィル!!」
 ヒューズは自分の名前を探しているウィルの背中に飛びついた。
「うわっ」
「シーズ先輩とだよ、ウィル! ああ神様ありがとうございます、ありがとうございます!」
 ウィルは勢いでヒューズを背負ってしまった。ヒューズは、ウィルの背中でガッツポーズを取ったり神に祈りをささげたりと忙しそうだ。
「ヒューズ、ちょっと大人しくしてくれ。オレの名前が探せない……」
 ウィルは隊につけられた番号と名前を目で一つずつ追っていく。
「あった」

059隊 ウィルフレッド・ブラッドバーン
レイフ・ベックフォード

 自身の名前とともにあったのは、先輩の名前ではなかった。しかし、それは自分が軍人として焦がれるほどに憧れる人の名前。
「レイフ・ベックフォード……?」
「oh,God...」
「ヒューズ!」
「ああ、なんだいウィル」
 まだ神への祈りをやめないヒューズを背中から降ろして話を聞かせる。
「レイフ・ベックフォードと同姓同名の先輩はいるか?」
「えっ、レイフ・ベックフォードだって!? あのBSOCの精鋭の!?」
「わからない。彼に憧れた教官が、タイプミスをしたのかも」
的を得ないヒューズの反応はウィルの耳を右から左へ通過していった。ウィルの脳裏を様々な憶測が飛び交う。
「でも、夏にBSOCとの合同演習もあったし、もしかしたらそこで目をつけられたのかも」
「そんなわけない。あのときは特に何の功績も──」
「ああ、ウィルいたね。こちらへ来い」
 担当教官に呼び出され、ウィルは素直に従った。ヒューズは眉をあげてアイコンタクトに頷く。後で詳しく聞かせて、ということだろう。
(タイプミスについての説明か、あるいは……)
 先を歩く教官が応接室に入って行くのを見て心臓が飛び跳ねた。扉を開けた先にいたのは──。
「ああ、わざわざすまない」
 ソファに座っていた男が立ち上がる。身長は181cmの自分より幾分も高く感じる、おそらく180cm後半はあるだろう。かなり鍛えているようで、教官と比べてもいくらか頑丈そうに見えた。
 しかしその醸し出すオーラとは裏腹に人懐っこい笑みを頬に浮かべ、ウィルに握手を求めて手を差し出してくる。
「ウィルフレッド・ブラッドバーン、この度の合同射撃訓練、君のバディとして組ませてもらうレイフ・ベックフォードだ」
「……ウィルフレッド・ブラッドバーンです」
 自己紹介をしただけでも声が震えた。軍人家系で育ったウィルにとって、軍や政府要人警護のエージェントとして活躍する人の名前を覚えるのは、幼児が積み木で遊びを覚えるのに等しい行為であった。
 その人物の名前だけでなく、どのような功績を立てた人なのかも覚えていたから、余計に緊張の糸は張り詰めた。
「ウィル、君は以前BSOCと合同でやった訓練を覚えているか?」
「はい、忘れもしません」
 夏の合同訓練。先のヒューズの話にもあった日のこと。
 あのとき、憧れのレイフ・ベックフォードとの合同練習というだけで、訓練の発表されたその日からひどく舞い上がっていたのだ。
 その割には何の功績も残せず、ただ悔いが残る結果となったはずだが──。
「あのときに見た君のスナイパーの腕が見事だったんでな。もう少し一緒に訓練をしたいと思ったんだ。そしたら全日射撃訓練があるというんで、無理を言って君のバディとして組ませてもらった」
 ヒューズが神に祈った気持ちがいまのウィルには痛いほどわかった。神は迷いのある自分にも、こうして手を差し伸べてくれるのだ。
「お褒めに預かり、恐縮です」
「俺とバディを組んでくれるか?」
 レイフが片眉をあげて首を傾げる。ウィルは震える手と心臓を落ち着かせようと深呼吸をしてから、その右手を自身の両の手で握り返した。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
 強く握り過ぎたかと慌てて手を離そうとすると、レイフの力強く大きな手がさらに強い力で握り返してきた。
「ありがとう、マイバディ」
 その言葉の響きに目眩がした。憧れのレイフ・ベックフォードがここにいる。
 世界的英雄とまで言われたあの男が目の前にいて、しかも訓練をともにしてくれるというのだ。ウィルはレイフの力強い手のひらを強く握り返しながら、夏に行われた合同訓練を思い出していた。






 炎天下の下、全員微動だにしない体勢で陸軍中部支部長の話を聞く。
「本日このような合同訓練の機会を与えて下さったレイフ・ベックフォード隊長に感謝して、挨拶の締めとさせて頂こう」
 長い挨拶が終わり、合同訓練の時間が近づくにつれて一層訓練兵たちの熱気が上がっていく。ウィルはそれを肌で感じて、自身も言葉に出来ない高揚感に満たされていくのがわかった。
 開式を終え、その場で待つように訓練生たちに指示が飛ぶ。ここからはそれぞれのポジションによって分かれて訓練を行うため、ヒューズとはここでお別れのようだ。
「……フレディ・マックス、ウィルフレッド・ブラッドバーン。よし、これで全員だな」
 点呼をとったのは、BSOCのエリオットだった。紙に印をつけると、それをぐしゃぐしゃに丸めてポケットに突っ込んだ。それを見て、陸軍では許されないようなその態度に一瞬うろたえたのを、ウィルは今でも覚えている。
「俺はBSOCアルファチーム所属のエリオット・アッカーソンだ。チームでは君たちと同じように後方支援を行うポジションを担っている。これからの訓練の責任は俺が負うから、怪我はするなよ」
 エリオットは頼れる兄貴分といった風体で、豪快に笑った。7名のスナイパーたちはみな恐縮し切っている。
「じゃあまずは射撃場へ移動しよう。っと、地図は一応もらったんだが、それよりも詳しい奴らを先導して歩く趣味はない。誰かわかるやつ……ウィルだったか。このA-58の射撃場へ行きたい、案内してくれ」
「はい」
 案内したA-58の射撃場は遠方射撃専門の射撃場であるため、縦に長くほかの訓練場から少し離れたところにある。到着するとそれぞれ自分のライフルを取り出して、列をなすようにエリオットの前に並んだ。
「じゃあ、……とりあえずお手並み拝見ということで、見せてもらおうか」
 一同が声を揃えてハイと答えると、エリオットは訓練兵たちが真面目なのを面白がるように笑った。
「全く、陸軍ってのはみんな真面目なのかねえ。よし、じゃあまずはそれぞれ1セットやってもらおうか」
 そういうと訓練生たちはそれぞれのレーンにライフルとともに入った。動く的を遠距離から狙撃する。15分間で100の的が入れ替わり現れるので、それを何発当てられるかを競う訓練だ。
「みんな準備できたか?」
 エリオットの声に、全員が声を揃えて返事をした。エリオットはまたそれに少し笑いながら、レバーを引いた。
 レバーを引くと全員の的の表示にカウントダウンが表示され、0になると同時に射撃演習が始まる。
「よし、君たちの健闘を祈る!」
 その声と共に、一斉に射撃が始まった。

 そのあといくつかの訓練をこなし、午前はすべての行程を終えた。風のような速さで昼食をとり、13時になると、午後から行われるペイント弾を使用した実践演習のために、最初いたグラウンドに一同集合していた。ここからは異なる役割を持ったメンバーを揃え、実践と同じように隊を組んで演習を行う。
「これからうちの者が該当者を呼びにいくから、それまでその場で少し待機しておいてくれ。悪いな、不手際ばかりで」
 レイフがマイクでアナウンスをした。陸軍の訓練生たちは言われたとおり、じっとその場で待機している。そこへBSOCから派遣された隊員たちが、訓練生のフルネームを呼びに来て、呼ばれたものから各部隊に入る形だ。
「ウィルフレッド・ブラッドバーン」
 緊張の中、姿勢を崩さないように待っていると今日よく聞いた声が自分の名前を呼ぶのに気づいた。顔を上げて返事をすると、エリオットが人懐こく笑いながら近づいてくる。
「また俺で悪かったな。よろしく頼むぜ」
「いいえ、まさか! またご一緒できて嬉しいです。こちらこそお願いします」
 午前の訓練で見せてくれたエリオットの狙撃の腕は、スナイパーとして訓練を積む8人にとって憧れそのものになった。狙いを定める速さ、確実に急所を見定める知力、そして必ず仕留めるその腕は、さすがBSOCのメンバーと言わざるを得ない。
「じゃ、この名簿にあるメンバー集めて来てくんねえかな、ちょっと打ち合わせがあるもんで」
 そう手渡された紙には同じ陸軍の隊員たちの名前が並ぶ。そこにはヒューズ・ブライアントの名前もある。
「一緒のチームだって?」
「ウィル! やったね、楽しくなるよ」
「訓練だってのに? それより、エリオットさんからメンバー集めてこいって、この紙渡されたんだけど。手伝ってくれる?」
「もちろん」
 それからメンバーに声をかけ、もう一度ヒューズのもとへ戻ってくる。しかし、まとめ約であるエリオットの姿がない。
「エリオットさんは?」
「打ち合わせに……」
 訓練兵が全員集まったところで辺りを見回す。するとレイフと話をしているエリオットを見つけた。
「あ、まだ打ち合わせ中かもしれないな……」
 そう言ったところで、こちらをふと見たエリオットと目があう。エリオットも全員集まったのに気がついたのか、レイフに挨拶をしてこちらへ駆け寄って来た。
「悪いな、遅くなって。改めて自己紹介をしよう。俺はエリオット・アッカーソン、BSOCのスナイパーだ。これからの演習では稚拙ながら、この部隊の隊長を務めさせてもらうから、宜しくな」
「ハイ!」
 集められた訓練兵5名は皆揃えて返事をした。それを見てまた、エリオットが笑う。
「じゃあまずは、それぞれの自己紹介を頼む。この中で訓練生同士、知らない奴らはいるの?」
「いえ、全員顔見知りです」
 ウィルが率先して答える。
「そっか、なら俺に向けてになっちまうな……。悪いけど簡単に宜しく。合コンじゃないしキメる必要ないからな? ラフに、こう自然体に頼むよ。じゃ、君からいこうか」
「ハイ! ヒューズ・ブライアント、陸軍第一小隊所属──」
「ちょい待ち。さっき言ったこともう忘れたか? ほら、ヒューズ、もっと気楽に行こうぜ。背中任せるモン同士仲良くなくちゃ、信頼も出来ねえだろ? 名前と年齢、あと……なんか一言つけ足してくれ」
 エリオットに背中をポンと叩かれると、ヒューズは照れて笑った。そして大きく息を吸ってもう一度言い直す。
「ヒューズ・ブライアント、22歳です。えっと……22年間、恋人はいません!」
「よしよし。次、ネビック?」
 手元のリストを見ながら、エリオットが指名する。
「はい! ネビック・ゲイリー、同じく22歳で恋人は枕です!」
 エリオットは笑いながら楽しくそれぞれの自己紹介を聞いているようだ。エリオットには人に好かれる気の良さと後輩を惹きつける安心感がある。ウィルは、将来自分もこんな風にして後輩をもてなすことができるだろうかと考えた。鼓舞したり叱咤したりする以外の方法で、後輩と信頼関係を築く方法を見せてくれるエリオットが、酷く尊い存在のように感じる。
「ほら、最後。ウィル?」
「ハイ。ウィルフレッド・ブラッドバーン、22歳。恋人はライフルです」
「ハハ! お前らしいな! そうでなくちゃ」
 エリオットから特大の笑いを引き出すことに成功したようだ。エリオットがぐっと背伸びをして訓練生たちの顔を一通り見た。
「じゃ、行くか」
 ウィルはその場であたりを見回したが他のどの隊よりも足並みが揃ったように感じたBSOCのメンバーはレイフだけでなく、みなカリスマ性を持っているように見える。自分もそんな風になりたいと、さっきから羨望や憧憬、それに類似した感情が胸に押し寄せて耐えない。それは幸せでもあり苦しくもある。
「じゃあ、まずは戦略でも練っていきましょうかね」
 エリオットの声に一同が引き締まる。ウィルも真剣に告げられる動きに耳を傾けていた。


 演習開始から二時間ほど経っただろうか、エリオットチームの侵攻班近くで銃声が響いた。
「銃声だな……。ウィル、索敵班の動向もよくチェックしておけよ」
「ハイ」
 索敵班のネビックとヒューズ、スナイパーとスポッター(観測手)として後方支援のウィルとエリオット、侵攻班のダンとデリク。それぞれ二名ずつ一つの班になって戦場での役割を担う。
 索敵班は敵の位置を探り、仲間が負傷することのないようアシストするのが仕事だ。接近攻撃の要となる侵攻班はその情報を元に歩を進め、スナイパーは遠距離射撃を行い、スポッターはスナイパーが狙撃に集中できるよう突撃銃を持って近くで見張りを行う。後方支援とはいえ、専門として侵攻班とともに双璧をなす重要任務だ。
 索敵班は主に侵攻班のアシストを行うため、スナイパーは自ら安全な場所を確保しなくてはならない。そのため逆読みをして、索敵班の現在位置から敵の位置を割り出す能力も要される。
「そろそろ敵が来る頃合いだが」
 ウィルはスナイパーを構えながら、エリオットの気配を感じていた。一時たりとも警戒を解かない研ぎ澄まされた集中力である。
 多くの場合、スポッターはスナイパー経験のある者が行う。各チーム、作戦は異なるが、今回は隊長であるエリオットを中軸に、戦場から距離をおいたスナイパーメインの戦法が中心になっている。
 耳元の無線がザザ、と音を立てて通信を拾った。

”こちら索敵班ヒューズ、エリオット隊長、ウィル、敵の一部がそちらに気付いて狙いに行った模様です。ご注意願います”

「はいよ。ウィル、移動するぞ」
「わかりました」
 少し進んだところでエリオットがピタリと歩を進めるのをやめ、少し離れたところにいるウィルにハンドサインで敵在りと示した。そして手にしていた突撃銃を構える。ウィルも動揺に、ライフルを構えた。
 撃て、の合図を見てすぐさま引き金を引いた。いくらペイント弾とはいえ、ライフルの銃声は耳に痛いほどだ。
 遠くから見ても、蛍光ピンクのペイント弾の色は派手に見える。それが動いて、こちらの銃撃が相手を射ぬいたことを知らせてきた。
「幸先よし、だな」
 エリオットは満足げに口角を釣り上げた。
「おい、ウィル。向かいの山にイチョウの木が見えるか? 群生している一番手前の」
「はい、見えます」
 エリオットの指差す先には、たしかに周囲の濃緑よりも浮いた明るい緑の木が見えた。目算ではあるが、1,300m近い距離がある。
「残りの弾数は?」
「9発です。ストックはまだたくさんありますが」
「OK。じゃああの木の枝それぞれに、いくつそのペイント弾を当てられるか、見せてくれないか?」
 エリオットは、自分の持っているフィールドスコープをちらつかせた。これで判定してやる、ということらしい。
「……当てたら、なんかいいことでもあるんですか?」
「ああ~そうだな、BSOCから直々にオファーが来るってのはどうだ?」
「だったら頑張らないと」
 冗談めいたエリオットの言いように、ウィルもふざけながら応じる。しかし、次の瞬間目標を睨んだ瞳は、鋭く真剣だった。
「周囲は俺が警戒しておく。思うように撃て」
 その言葉にうなずいてから地面に伏せ、スコープを覗いてまずは一発。銃声とともにスコープを覗いたエリオットが嬉しそうに口角を上げた。
「大当たり、だな」
 嬉しそうにするエリオットを横目に、残りも一発一発撃ち込んでいく。
「なぁウィル。ちょっといいか?」
「はい」
 残り5発というところで、スコープを覗いていたエリオットが声をかけてきた。見上げると、立ってくれと手で指示される。
 ライフルを抱いて立ち上がると、エリオットはイチョウを指差した。
「そのまま、狙えるか?」
「あれをですか? 立ったまま?」
「そうだ」
 ウィルは内心、無茶を言うなと思った。ペイント弾とはいえ、立ったままの姿勢で撃てば弾道が乱れる。反動も大きいため、基本的には立ち姿勢での射撃は行わないのが普通だ。
「……やってみます」
 それでも、ウィルの中の矜持がNOと言うのを許さなかった。


 結局、9発のうち伏せで撃ったのは4発中3発、立ちで撃った5発のうち2発が狙い通りに命中した。
「なかなかだな。これならうちでもやっていける」
「まさか。それにしても、立って撃てなんて、BSOCではそう教えられるのですか?」
「んー、教えられる……っていうとちょっと語弊があるかも知れねーが。うちではみんな、そう扱うのに慣れていくんだ。相手が人間じゃねーからな」
「やはり、人間相手のときとクリーチャー相手のときは、かなり違いますか?」
「ああ。奴らの動きは予測できない。確かに狙いはブレるかもしれねえが、俺らの敵相手じゃ動きの素早い奴もいるし、どこが安全かなんてわかりゃしない。だからわざわざ接地して使うよりずっと効率性も安全性も高いと俺は個人的に思ってるんだけどな」
「……俺もあなたみたいになりたいです」
「BSOCに来てくれるなら、考えるんだけどなー」
 ニヤニヤと試すようにエリオットが笑う。そうしていてもあたりに神経を巡らせているのはウィルにもわかった。
「こんなこと言うのはいけないことだってわかってますが、……俺は国防、国益のために戦う陸軍より、世界の安全を守るために戦うBSOCへの尊敬の念の方が大きいです」
 躊躇いがちに口にしたのは本音だった。自分の実力ではほど遠い夢だが、最も尊敬するのはBSOCだった。
「言ってくれるねー。そんなBSOCも偉いモンじゃないが、でも人には恵まれてると思うよ」
 そう語るエリオットの表情は柔らかい。それは本音なのだろう。ウィルはさらにBSOCへの憧れを強めるのだった──。


 チームメイト発表の後、最初は妬みから陰口を言う者もあった。しかし毎日のようにレイフがウィルの部屋にやってきて自主練に誘ったり色んな話をしに来たりするので、それもそのうち減っていった。
「ウィル、今日もこのあと個人訓練か?」
「ああ」
「キミはこの合同訓練が終わったら、今よりずっと強くなるんだろうな」
「そう願いたいけどね」
 ロッカールームで着替えながらヒューズと会話を交わす。汗で重くなったTシャツを豪快に脱いだ。
「Tシャツが何枚あっても足りないな」
「もういっそ変える必要ないんじゃないの?」
「いや、ベックフォード隊長の拳を、こんな重身で避けられる気がしない」
「油断していい相手じゃないもんね」
 ヒューズがからからと笑う。人の良さそうなその笑顔に、ウィルも思わずつられて笑った。
 ヒューズはウィルが周りから妬みを買っても、なにも変わらずそばにいてくれた。ウィルのことを悪く言う者がいても、「僕は純粋に凄いなと思う」などと交わし、ぶれることなくウィルのそばにいてくれた。ウィルにとって、ヒューズとの縁は理不尽な妬みや嫉みの多いここで生きていくための糧となるほどだった。
「でも、自分より強い人と戦うことで、最近よけ方を学べてる。敵わないと思った相手には、素直に引くことが大事だって教えてくれたんだ」
「確かに、最近の立ち回りみてるとそんなところあるかも。足腰鍛えてるよね?」
「ああ。元々スナイパーだし、上半身より下半身の方が鍛えられていたからな。それをみて隊長が避けられたら次は下から攻撃してみろって。水平の攻撃だと上半身の筋肉量が響くけど、下からなら下半身の筋肉を使って攻撃出来るからね」
 ヒューズはなるほど、と頷いた。スナイパーはしゃがんだり地面に這ったりしながら狙撃をすることが多く、装備の殆どを下半身に纏めている。地面に胸をつけることが多いから上半身にはつけられないのだ。そのせいで下半身が重くなる。それに相応する筋肉もつくから、それを利用して攻撃するのが得策だとレイフは考えたのだろう。
 着替えが終わってもまだ話し足りないらしくヒューズはベンチに腰掛けた。
「すごいなぁ、レイフさんはそんなことも考えてくれてるんだ。キミにあった戦い方だね」
「ああ。じゃ、僕は先に寮戻ってるから、個人訓練頑張って」
 ヒューズはうんと背伸びをしてベンチから立ち上がった。
「ありがとう」
 ウィルの方をぽんぽん、と叩き、それから手を振ってロッカールームを出て行ってしまった。

 数時間後。今日のトレーニングを終え、口頭で夜間訓練の作戦会議を始める。
「お前は狙撃が強いからな。今回の夜間訓練では、近接格闘が不得手なのはハンデにはならないだろう」
 格闘練習の合間にとった休憩で、レイフは汗を拭きながらウィルに言った。
「今回はそうかもしれませんが、実戦ではそうもいきません。今は下半身だけでも戦える戦い方を教えていただきましたが、ゆくゆくはもっと幅を広げないと。体格が良くないと、敵にも見下されてしまいますし」
 ウィルはそういって自分の姿を壁の鏡に映した。奥に見えるレイフと比較すると、とても弱く見える。
「そうだな。クリーチャー相手でも格闘は必要になる」
「クリーチャー……ウイルス感染した生物兵器ですよね」
 ウィルはスポーツドリンクを飲み干した。身体のエンジンがかかりっぱなしになっている。とめどなく汗は流れ、床にも滴り落ちている。
「ああ、我々BSOCの相手だ。もちろん噛みつかれたら感染するから近接格闘は避けたいところだが、集団で居ることが多いから格闘になることも多いんだ」
「……怖くないんですか? 噛まれたら感染するなんて、かなりハイリスクなんじゃ……」
 ウィルは恐れず本当のことを聞きたいと思った。きっと感染した仲間も少なくはないだろう。それに恐怖を感じないなんてことが、あるのだろうか。
「……ああ、怖いときもあるさ。でも俺たちが戦うのをやめたときの世界を考えると、もっと怖いんだよ。愛する人や家族同然に接してきた仲間がやられるのは、俺が感染するよりも怖い」
 ウィルははっとした。今まで何日も一緒に訓練や練習をこなしてきたから、出会った日に手足が震えたあの感覚が薄れてしまっていた。けれど、いま目の前にいる人は確かに、幼い頃から自分が憧れていたレイフ・ベックフォードなのだ。
「……ベックフォード隊長、もっと俺の格闘術の練習相手になってください」
「ああ。嫌と言うくらい付き合ってやるさ」
 ウィルはタオルを傍らの椅子に投げ、グローブをはめる。レイフも立ち上がって、肩を鳴らした。


 そして、夜間訓練当日。
 夜間訓練のために専用のバスで移動し、訓練地についたのが18:00、それからすぐに朝礼台の前に全体が整列した。まだ空は薄明るいが、森から虫の鳴く声がする。
「第168回、夜間射撃訓練を開始する」
 朝礼台に立った総責任教官がマイクを使わず胸を反らせながら言い放つ。
 ウィルはレイフの隣でかすかに緊張していた。まだ全身の筋肉痛は取れないし、レイフにやられたときの背中の痛みや関節の痛みも残っていたが、そんなことは殆ど思考に上らなかった。レイフは肩を回すなどして準備万端といった様子だ。
「ここで、今回特別に参加してもらうことになったBSOCのレイフ・ベックフォード隊長から一言頂きたい。レイフ隊長、壇上にいらしてください」
 何も聞かされていないウィルは驚いてレイフを見たが、レイフは堂々とした態度で前に向かって行った。
「陸軍特殊部隊訓練生のみんな、合同訓練以来だな、レイフ・ベックフォードだ。俺がここに来たのは、みんなを鼓舞するためでも、一人一人に檄を飛ばすためでもない。今回の夜間射撃訓練は厳しいものだと聞いている。我々BSOCとフィールドは違えど、仲間と共に戦うという点では変わりはない。いいか、隣にいるバディは君たちの命綱であり心臓だ。互いに生還させる義務を負う。どんな戦場でも、君たちが生きて帰り、希望の襷を次へ受け渡すことが使命だ。俺はいつもそう思っている。俺が訓練をともにすることで、みんなの士気が高まり、より良いパフォーマンスが出来るようになればいいと思っている。健闘を祈る。以上」
 一人一人に語りかけるような口調で流暢に話し終えると一礼して、朝礼台から身軽に飛び降りた。そしてウィルの隣まで戻ってくる。
「すごかったです、ベックフォード隊長!」
「すごいものか。いつも戦場の若い奴らに言ってることそのままだ」
 レイフは笑って肩を竦めた。
「これより三十分間は、発砲禁止とし各チーム拠点への移動とする。三十分後、各自に無線で射撃開始の連絡を送る。それより先に発砲した者は即時リタイア扱いとするから気をつけなさい。では、始め!」

 朝礼台の前から散会し、しばらく歩き続けたのち。
「よし、この辺りを拠点としよう」
 レイフは近くの岩に腰を下ろすと、端末で時間を確認した。
「あと4分ですね」
 ウィルも隣に腰掛けライフルに弾を補填し始める。その手つきを眺めていたレイフが、ふいに真剣な表情に変わった。
「ウィル、俺は甘やかさない、特に見込みのある奴は。だから、ついて来い。いいな?」
 レイフの厳しく強い眼差し。ウィルはそれを受け止め、強い決意で見つめ返した。
「はい。お願いします」

”各位へ告ぐ。これより発砲を許可する。繰り返す、これより発砲を許可する”

「ウィル」
 名前を呼ばれ振り向くと拳をこちらに向けたレイフの姿。
「やるからにはナンバーワンを目指す。いいな」
「はい」
 拳をぶつけ、共闘を誓う。これから、長い三日間が始まろうとしていた。

「あまり銃声も聞こえませんね」
「まだ互いの様子を探っているんじゃないか?」
 ナイトビジョンを装着しながらウィルが囁く。ナイトビジョンであれば暗闇でも敵は白く浮き上がって見えるが、それもない。レイフも裸眼であたりを伺っているようだ。
「ウィル、攻めてもいいか?」
「……勿論。どこまでもついていきます」
 そういうとレイフはわざと上空に向けて発砲した。二発撃つと、そのままウィルにしゃがめと指でサインを示す。陸軍の所長がレイフの参加を快諾したのも、こういう刺激を催すためだろう。陸軍の訓練生は守りに入ることが多い。
「お前はここでライフルを構えていろ。俺は少し侵攻する」
「わかりました」
 ウィルはスコープの端にレイフを捉えながら辺りを見回した。遠くに一人、こちらを狙う同じくスナイパーの影を見つける。素早くレイフに無線を飛ばした。
「こちらウィル、狙撃許可をください。前方2時の方角です」
「わかった。そちらへ俺も侵攻する。背中は任せたぞ」
「任せてください」
「いい返事だ」
 ウィルは答えながら的確にナイトビジョン内にいた敵の頭を撃った。そしてその向こうに見えた影も正確に撃ち抜く。その音に気付いて寄ってきたのか、レイフの侵攻方向の先にもう一人いるのを見つけた。
「ベックフォード隊長、その奥にもう一人います!」
「ありがとう、そいつは任せろ。逆の方角にいないか確認を頼む」
「俺の位置から確認できるのは、あと隊長の眼前の敵だけです!」
「了解だ。こちらへ集合してくれ」
「Yes,sir」
 ウィルは急いでライフルを担ぐと崖を滑り降りた。


「残り人数は九名か……バディを失ったのが何人かいるというわけだな……」
「そうですね。ここから探し出せるでしょうか」
二人は大きな崖下で束の間の休息を取っていた。いいサイズの岩に向かい合って腰掛ける。広い土地の中から九人を探し出さなくてはならない。この夜間の視界で、どう探し出すというのだろう。
「だが、探し出すしかないだろう。じゃなきゃナンバーワンは獲れない」
「……ええ」
 ウィルは内心不安だった。この闇の中でどこから狙っているかもしれない敵に気を巡らせるのに疲れてきたのもある。ナイトビジョンがいっそ眼球にも付いていたらいいのにとさえ思う。
 神経を尖らせていると、隣からつつ、と肩をつつかれ振り向いた。
「実はその……、この間の合同演習のときエリオットに聞いたんだが、……陸軍に誇りを持てないんだって?」
「……ええ。俺は国益を守るために戦うんじゃないと、思っています。でもこの国は、俺たちを海外との交渉の手段にする」
 ウィルは躊躇いなく吐き出した。合同演習からつもりに積もったものがあったのだ。口にしてみると思いのほかその事実が重くのしかかり、現実味を帯びてくる。
 レイフは顎に手をつけながらうんうんと頷いている。そしてひと呼吸置いてからウィルに投げかけた。
「……そうだな。そうかもしれない。お前は、何がしたいんだ?」
「……俺は、ずっと軍人家系で育ってきたから、軍人になるのは当然だと思ってきました。……でも、それは当然ではなかったし、目的がないまま進むのは困難です。現に、いまの俺は成績も水平を保ったまま上がりも下がりもしない」
 誰にも相談できないまま、ここまでズルズルきた。ヒューズは弱音を吐かないウィルを褒めてくれたから、ヒューズには何も言えなかった。そしてたまに帰省しても、陸軍での活動を聞かれるだけでやはりなにも言えない。そんな自分が、本当にやりたいことは何なのだろう。いつか訓練のあと、一人でトレーニングをしている間に考えた。それは。
「……俺にとってはまだまだ大きすぎる夢ですが、……ちゃんと世界を守りたい」
 口にしてみると、とても呆気なく、馬鹿馬鹿しく思えた。ウィルはその響きが消えるのを黙って耐えた。レイフがなんと言うか、それを聞きたくない。だが、ウィルのそんな心中をよそに、レイフが大きく息を吸った。
「……ウィル」
「……はい」
「……俺と一緒に、BSOCに来ないか?」
 目があったと同時にウィルに投げかけられた言葉は、とても一度では理解しうるものではなかった。ウィルは目を逸らすことも、理解することもできず、しばらく無言で息を止めた。
「……急だったよな、すまない。ただ、お前ほどの人間をここに置いておくのは勿体無いと思って。……こんなことを言ったら、陸軍に失礼かもしれないが」
 そう言って首を振るレイフを、ウィルはいまだに黙って見つめている。さすがにおかしいと思ったのだろう、レイフがウィルの名を呼んだ。
「……あの、ベックフォード隊長」
「ん?」
「……すみません、もう一度言って頂けますか? オレ、うまく理解できなくて……」
 ウィルが戸惑った表情で言う。それをみてレイフは軽やかに笑った。そして、ウィルの頭を撫でながらその目をしっかりと見つめ。
「ウィルフレッド・ブラッドバーン、俺と一緒にBSOCに来い」
「……Yes,sir」
 ウィルの返事を聞くのを待たずにレイフからの熱烈なハグを受けた。ウィルもつられて熱い抱擁を交わす。
「良かったよ、お前からその言葉が聞けて。お前を引き抜くのは大変だったんだぞ? 何せ陸軍のエーススナイパーだからな。全く、何度ドミニク所長に掛け合ったことか」
 レイフが盛大に笑いながら教えてくれる。そう言われてみればウィルにも思い当たる節があった。
 この夜間訓練の前、一度所長に呼び出されたことがあったのだ。名目は成績優秀者との語らいだったがその際、ドミニクはウィルにこう問うたのだ。
「いまの陸軍のあり方と、本来あるべきあり方と、おまえがなりたい理想像はなんだ」
 それにウィルは迷うことなく、先ほどレイフに返したものと似た回答をした。陸軍にケチをつけることを快く思わないことは承知だった。だが、そのウィルの予想に反して所長は柔らかく微笑んだのだ。そして「自分の思うようにしなさい」と言ってくれた。そのことが、ここに繋がっていたのだ。
「……ベックフォード隊長、ありがとうございます。言葉が足りなくて……こういうときなんて言ったらいいか……」
「そんなものはいい。とにかくこの夜間訓練で首位を取らなきゃ、ドミニク所長に顔向け出来んからな。行くぞ」
「はい!」
 ウィルは目の前を走るレイフの背中を隠しきれない笑みのまま追った。

 翌日、生還者として二人の名前が挙げられたのは言うまでもない。
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