薮一蔵の体験教室

riktan

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山内 雪矢

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 古民家とまではいかなくても昔っぽい見た目の割に、中はすごかった。トイレとお風呂は工房用と家庭用と別にあるし、キッチンのコンロは三ツ口だし。

 おばさんたちは掃き出し窓近くのソファセットに座った。そこからダイニングテーブルを挟んで俺と雷打らいだのいるシンクだから何て言ってるかまでは分からない。

 つまり俺と雷打らいだの会話も向こうには分からないってこと。お米を洗っている雷打らいだに訊いてみる。
「こんな山奥で暮らしてて自炊できないって大丈夫なの?
 魚をさばくまではしないってだけ?」
「元々そんなに食べないし、レトルトとお祖父さんの畑で獲れる物を蒸かすか焼くかで生活してるんだって。
 だから泊りに来たんだ。やぶさんの食生活改善になるし、うちも俺がいない分広く使えるし。
 お米も年末には炊いたパックしか無かったんだから」

 しょうがない人だって顔だったのが淋しそうに変わる。
「でも下宿として使うなら俺は帰った方がいいかな……。俺だけタダで部屋を使うわけにもいかないし」

 あんな奴のところにいさせたくないのに、落ち込んでる雷打らいだを見ると自動で慰めてしまう。
「下宿を始めるってことになったら俺もここに入居しようかな。ウチじゃ受験勉強できないなって思ってたし。
 そしたら雷打らいだも俺と相部屋ってことにすればいいじゃん」
 勢いというか流れで勝手に動いた自分の口を心の中で思いっきり褒めた。

 雷打らいだも目を輝かせて俺を見る。
 兄弟が欲しかったのは雷打らいだだけじゃない。我ながら良いお兄ちゃんだと思いながら微笑み返した。
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