気が付いたらオンラインゲームの最強領主で…総受けだったorz

まぁまぁ

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災厄の魔王~戯れ~

奴隷オークション二日目

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赤茶の髪の男だった、前髪が長いせいか表情は読み取れないが彼は薄暗い檻の中で蹲りながら、何かぶつぶつと言っているようだった。そして何かを感じたように突然顔をあげると「ははっ」と声を出して嗤った。それが余りにも異様な光景だったので見咎めた奴隷商人が檻を蹴っ飛ばす。
「魔族ってぇのは気味が悪いっ!嗤うなっ」
男は檻を蹴っ飛ばされたことで、一瞬、ビクッと反応したが、直ぐに俯いて何事かを呟きはじめる。
あるいは耳がいい者だったならば聞こえたのかもしれない。
〝もうすぐ父様と兄様が此処に来る…そうしたら此処の奴ら皆殺しだ。″
そんな不穏な言葉を男が零していたことに。
やがて夕焼けが聖都を黄金色に染める頃…様々な思惑を渦巻きながら奴隷オークション二日目が開催される。



太陽が中天まであがった時になって、俺とレガンとフルレトはガウェイの紅玉の離宮から出ようと表玄関へ向かう。するとガウェイの副官であるレンソールが玄関に控えていて俺達に、どうぞご無事でと声をかけてきたので、どこまで知っているのかと目を向ければ彼は底の知れない笑みを浮かべて笑うばかりだった。
彼の真っ直ぐな髪を巻き込むように巻いている群青のターバンと褐色の肌はどこか異国情緒を感じさせる。近づくと麝香の薫りがした…思えば余り話したことが無かったなと視線を向けると彼はまた笑みを浮かべた。

「大丈夫…ガウェイがした約束は、我々の約束そのもの。」

俺達を励ますような、その言葉と表情に俺は笑う。
そしてレガンとフルレトも〝人″から向けられる励ましに驚きながらも受け入れてくれたようだった。
レンソールの見送りを背にレガンとフルレトと俺はフードを深くかぶり、奴隷オークションが開催される例の酒場へと向かう。時間は午後に入った頃合いだが、″人通りが多い時間帯″だからこそ奴隷を連れ出すには丁度いいのだろう…買った後のことまで考えられている。気分は良くないが。

俺達は人並みを縫うように進み、やがて外れにある酒場までたどり着く。周囲には低所得者向けの平屋が並んでいる。ここら辺の治安は低いがこういった界隈も領地を造るにあたっては必要かと思っていたが…考えを改めなければならないだろう。
レガンが先頭に立って、ギィッと重苦しい音をたてて木製の扉を開ければ昨日来た居酒屋が広がる。
お客は昼間なのに多い。きっと奴隷オークションに参加する者だろう中には明らかに貴族と思われる者もいた。
だが俺たちほど目立ってはいないだろう、何しろ昨日の一日目では奴隷を買い占めてしまったのだ。所々で刺さってくる視線と囁き交わされる言葉に不穏なものが混じっている。
「俺から離れるな」
レガンが俺の腰を引き寄せ、フルレトがさり気無く背後にも気を払うと、ますます不穏な空気の密度が増した。何故、腰抱き。
そして奥まったところにいた商人らしき風体の男が俺達の前に立ちふさがると…俺は目を丸くする。
「お前ら…昨日、買占めした奴らだな。」
茶髪に金が混じり、耳に金のピアスをして、やや釣り目がちだが鋭い美貌の少し八重歯が覗く青年は見覚えがあったからだ。
「ああいう事をされると困るんだ…いいか、これは忠告だ。」
レガンはその言葉には無言を徹していた。それに青年は気分を害した風もなく、背を向ける。彼が俺達に忠告してくれたおかげで周囲の空気は先程よりはよくなっている…彼はあの若さにあって聖都において最大規模のアギール商会の代表だ。
俺がまだこのオンラインゲーム内のLV.1の時から、行くとこに付いてくる幼馴染・アギールというキャラで、別に仲がいいわけでも仲間でも無い。このオンラインゲーム『聖痕のアヴァロン』で男女どちらを選択しても、このアギールは幼馴染という態で結構ところどころで手を貸してくれるのだ。
仲間にすると男選択ならツンデレ仕様で、女選択だと恋人仕様になるらしい。
前にチラッと板を覗いた時には女選択の人がアギール・好感度イベを晒してた。
俺と同じように領主をやっている女の人らしく領主として疲れ切っていると、
『もういいから少しぐらい休んでも誰もお前を責めたりしねぇし、させねぇからさ…お前をずっと見てきたのは俺だぞ?その俺が言うんだから間違いないだろ?』
これでギュギュッと抱きしめられたらしい。ナニソレ。俺に対してツンツンツンツンなんですけど男女選択で差が出過ぎだよね…でも今は男が男にそれしても痛いと考えを改めている。
俺はわりとアギールが好きなのだ。けど彼からは嫌われている…聖王なのに嫌われている。けど嫌っている筈のアギールは何故か俺の行くとこ行くとこに現れる。今回も別に図った訳じゃないのにかち合っているし。

そして何故かアギールは運がとても良くて死んだりしない、戦闘キャラじゃないっていうのもあるかもしれないけれど、それにしてはよく戦闘している俺の周りにチョロチョロしていて、邪竜討伐の時には色々と補給させて貰ったりもした…お前どうやってこうやって来たんだよという突っ込みをしたかったけど、「仕方ねェから来てやった」とか言って沢山回復を持って来てくれるから有難い…あっ、これはツンデレか。
…それは置いておいて。アギールは悪どい事は嫌いなサッパリとした性格をしているのに、この奴隷売買に一枚噛んでいるとはと少し驚く。俺はレガンの後ろから去りゆく幼馴染の金茶の髪を眺めながら、そんなことを考えていた。

だが…そんな俺たちの物思いを切り裂くようにギィッと宿の粗末な扉が鳴って新たな来客を告げる。

外の太陽の光がサァッと薄暗い酒場に差しこんで、入ってきた人物の見事な銀髪がキラキラと輝く。
扉から現れたのは、見事な銀髪とサファイアの埋め込まれた仮面をかぶる青年だった。その青年が現れた途端に場の視線が集まる。不思議と雰囲気の持つ青年の仮面から覗く瞳は見事なオッドアイ…息を飲むほどに顔が整っているのだと分かる。そして纏う服も剣も…全て一級品で、後ろに続く護衛10人は明らかな手練れと分かる佇まいだった。
青年は隙無く周囲に視線を走らせる…それだけでこの銀髪の青年も手練れと看破した者はいたかもしれない。
フッと彼の視線がフードをかぶった俺たちの姿も捉えたようだったが、注視はされずにそのまま彼等は奥へ進み、店の店員と何事か話す。彼等も奴隷オークションのための客の様だった。

時間になって、他の客や俺達も奥の地下に通じる階段からすり鉢状の闘技場の一部を改装したようなオークション会場に案内された。



昨日と同じようにランタンを持った男を先導に煉瓦作りの広い階段を下り、やがて巨大で鉄鋲が打ち付けられた扉と仮面を被った警備員がいる広間へ出る。先導の男が「客だ」と告げれば、ギギッと重い音をあげて扉が開かれ、大人が三人手を広げても足らない程の扉の向こうに豪奢な円形状の舞台があつらえられている。

先程の銀髪の男は護衛と共に高みから見下ろすように出入り口に近い場所の右側を陣取っている。
俺たちも何かあった時の為に、彼らとは反対側の左側の席らへんに座ることにすると、彼から視線が向けられているのが分かったので、自然な動作でそちらへ顔を向けると、青年の仮面の奥の瞳とかち合う。緑と蒼のオッドアイ…かつてのランスロット卿と同じ深い色だ。
だが彼の視線はすぐに外されたので、俺も前を向く…と、アギールは俺たちの数席前に座った。
「今日は買い占めるな」という言葉と共に。

買い占める気は満々ですけど。

しかしコロッセオの下に連れ出された奴隷たちは絶望し、疲れ切った顔をしている。
前日で仲間が売られてしまったのだ、それも当然だ。彼等は仲間がレガン達に助け出されたことを知らないのだから…早く、彼等を家族の元に返してあげたかった。
オークション開始の前に司会が今日は予定を変えて魔族の男もオークションにかけることを伝え、「奴隷オークションの二日目」は始まった。
*****

昨日と変わらない成金趣味の悪趣味な舞台上。
今日販売予定の奴隷たちは首輪をかけられ後方に立たされている。その中で異様なのは一人だけ檻に入ったままになっている男の存在だ…彼が今日に販売が変更になった魔族であろうことは、彼の両足につけられた魔力封じ鉄球によって容易に想像できた。檻の中で項垂れる様に男は座り込んでいる。だがら生憎と客席の奥まった俺の席からは、檻が薄暗い舞台奥にある事もあいまって彼の表情までは見れなかった。

・・・彼も助けた方が良いのだろうか。

そんなことを考えていると、カッと舞台にスポットがあたり、袖からマスカレードを被った男が一人現れる。

「紳士淑女の皆さま!これより奴隷オークション二日目を開催いたします!!
また本日は最終日の予定でおりました魔族のオークションがございます!どうぞ振るって落札してくださいませ!」
そう言った奴隷商人は二人の獣人を舞台中央へと引っ張り上げる。男女の獣人で女の方は下着姿で猿轡に両手両足を椅子にくくりつけられている状態で、奴隷商人の男が二人がかりで彼女が座っている椅子を前へと運んだ。
また男の方は両手を括られてボゥッと自失したように佇んでいる…嫌な予感しかしない。

隣のレガンとフルレトの二人は、男女とも勿論知っているのだろう目を見開いて怒りに体を震わせている。

「本日は、この獣人の女が初セリでございますが…
オークション二日目を祝しまして、獣人の男に奉仕をさせながら競売にかけたいと思います!!」

ザワリッと会場が揺れた気がした。司会の男はそして佇んだままの男に「女を嬲れ」と〝隷属の首輪″の主と命令する。
「なんてことをっ」ギリッと噛みしめるようなフルレトの声に視線を向ければフルレトは「二人は幼馴染なんです」と言った。きっと奴隷商人もそれを分かっているのだろう…女は猿轡をされて声は聞き取れないが、彼女は哀れなほどに泣きじゃくっていた。
信頼してきた男が命令で自分を無理やり嬲る行為が、どれほど辛く苦しいか想像を絶している。
昨日で既に分かっていた筈だったが…奴隷商人という生き物はどうしようもない屑だな。

「この女も良い声で啼きますので、どうぞ旦那様方の手で鳴かせてやって下さい」

舞台上の奴隷商人がにこやかに言う。その言葉に吐き気がした。
その間も男の獣人は女の足元に跪く、きっと足から彼女を愛撫しようというのだろう…もういいと思った、瞬間。

「その女は俺が貰う!その前に他の男になど触れさせるな!!」

俺の右側の席の方向から凛と響く声がした。声のした方を見やれば、あのオッドアイの男だった。
彼が立ち上がって舞台上の〝見世物″を制止している。さらりっと銀髪が揺れる。
俺は思わず、彼を見やる。銀髪とサファイアの埋め込まれた仮面をかぶる青年は前を見据えていた。周囲を切り裂き、他を圧倒する雰囲気で彼は場を飲み込み支配する。

「獣人が平均で5000リラ。その5倍でも10倍でもお前たちの好きな値段で女を買い取ってやる…この悪趣味な見世物を止めるならな。」
その法外な値段に奴隷商人の男が「ほっ」と賤しく声を上げる。すぐに獣人の男に「止めろ」と命じると奴隷商人はオッドアイの青年に向き直る。

「ハッはい、それはもう旦那様50000リラということで宜しいでございますか?」
「構わん」
ここで俺は気付いた…不味い。このまま青年に獣人の子が買われちゃうと不味いんだ。俺は手をあげた。

「その女は俺も気に入ったんだ、俺はその男の倍を出そう」

悠然と足を組み替えて言えば…場はザワリッと騒いで、俺の数席前に座っていたアギールが買い占めるなって言ってんだろと呟いてくる。
いや仕方ないでしょ、レガン達の家族を取り戻すための戦いなんだから
しかし奴隷商人はアギールと俺とオッドアイの青年を見ると困ったように追従の笑みを浮かべた。
そして吐き気がする媚びた視線を舞台上から観客席にいる俺達に向ける。

「申し訳ありません、昨日沢山ご購入いただいたお客様ではございますが、奴隷を欲されている他のお客様もございますので、今回は50000リラにて女は落札という形をさせて頂きとうございます。」

「っなんだと!」
その奴隷商人の声に反応したのは俺ではなく、レガンだった。それでは全員落札して救えない。
そういきり立つレガンを隣のフルレトが押しとどめる。
俺はフゥッと息をついた。

「…俺たちは聞いていないのだが?」
気持を押しとどめて短く問いただせば、奴隷商人は「今回はお譲り下さいませ次からは構いませんので」とご機嫌を取ろうとしてくる。

それにそれは笑った。沸々と湧くのは怒りだ。
それを力に変えて俺は立ち上がり、朗々と響く声でコロッセオの人々に言ったのだ。

「5000000リラでどうだ?」
息を飲む気配。相場よりも1000倍高い提示価格にざわりっとコロッセオが揺れた。

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