だんまりスーの往復書簡

『スーへ』（ママとクレアとトムより）

『スーへ』
　おはよう、スー。
　スーがお話をしなくなって１週間がたちました。
　ママだけが話すことにつかれたので、そういうときはお手紙を書くことにしました。
　スーもママにお手紙を書いてくれるとうれしいです。
　朝ごはんを食べて、朝のしたくをして、ちこくしないように学校へ行ってください。
　きをつけてね。
　ママより。


『ママへ』
　ただいま、ママ。
　手紙のお返事を学校で書きました。
　今日は音楽の時間にみんなとがっしょうの練習をしました。
　スーはリコーダーを吹きました。楽しかったです。
　スーがママへのお返事を書いていると、「みんなもスーに手紙を書きましょう」って先生が言いました。
　みんなはスーにだけお手紙を書けばいいけど、スーはみんなにお返事を書かないといけないのでたいへんです。
　スーより。


『スーへ』
　スー、おとといの奉仕活動に参加してくれてありがとう。
　クラスから2人出さないといけないから、本当にこまってたんだ。
　どうしてみんな、スーみたいにちゃんとしてくれないんだろう。
　急にしゃべらなくなっちゃってビックリしてたけど、スーが親切なのは変わらないね。
　みんなに注意しても聞いてくれないし、わたしもおしゃべりをやめてみようか。なーんてね。
　クレアより。


『クレアへ』
　お手紙ありがとう。こまったことがあれば、いつでも力になるよ。
　みんなで決めた当番だから、守ってくれたらいいのにね。
　しゃべらないのもたいへんなんだよ。言いたくてもがまんしないといけないから。
　それに、心配もかけちゃうし、思ってることがうまく伝わらなくてこまることだってある。
　でも、クレアたちが親切だからスーも学校でも楽しく過ごせるんだ。
　いつもありがとう。
　スーより。


『スーへ』
　さいきんオレのことじーっと見てきてなんなんだよ。
　言いたいことがあるなら口で言えよ。
　ずっとだんまりかよ、ひきょうもの！
　

『トムへ』
　お返事がおそくなってごめんね。
　名前が書いてなかったから、だれからの手紙かわからなかったんだ。
　今日、帰るときになって「返事はまだか」と言ってくれたので、ようやくわかりました。
　トムのことを見ている理由は、奉仕活動の当番を守らなかったことを先生から注意されたのに、注意されたことを忘れたふりをしているからです。
　トムはだんまりじゃないのに「当番をさぼってごめんなさい」も「かわりに行ってくれてありがとう」も言えないんだね。ひきょうもの！
　スーより。


『スーへ』
　ごめん。
　ありがとう。
　トム


『トムへ』
　いいよ。
　クレアにもちゃんと言ってね。
　スー