43 / 118
ミツハナ脱退編
脱退
しおりを挟む
夢の合宿から六週間が経ったが、あけみっちからは特に何も言ってこない。
週明けの月曜日。今日も元気にあけみっちは教壇に立った。
「みんな、おはよう。二学期も二週目に入り中途半端と言えば中途半端なんだけど、来週、席替えをしまーす」
クラス中から、うおーという太い声が聞こえる。男子どもの歓声だ。
「帆乃花ちゃん、席替えのこと聞いてた?」
「ううん」
「サッチは?」
前に座るサッチに帆乃花ちゃんが確認する。
「聞いてないよ」
席替え委員である二人が聞いていないとは……、あけみっちの突然のひらめきか?
多分、近いうちに、二人に呼び出しがあるのだろう。
その日の帰り、玄関でサッチに呼び止められた。
「明日、あけみっちのマンションでミツハナだって。さっき、あけみっちに呼ばれたから席替えのことだと思ったけど、ミツハナでそのこと話すのかな?」
席替えの話をわざわざミツハナで?
もしかすると『おめでた』の話か……。
翌日、いつものように、ファストフード店で集合となった。帆乃花ちゃん、友巴ちゃんとともにコーヒーを飲んでサッチを待つ。
「コーヒー飲めば、本当にあの甘い香りに惑わされないのかな?」
そう言い友巴ちゃんがアイスコーヒーを見つめる。
「もしあけみっちのマンションに行ってあの香りが炊かれていて、さらにヒデキがいたら大変だから、効くと信じるしかないね」
ヒデキにそれとなく今日の予定を聞いたら、用事があるとしか言わなかった。その用事がミツハナという可能性もある。
「サッチにもカフェインのこと伝えたら、私は私の思うままに行動するって……」
うーん、それが一番楽しく生きられるけど、一定の倫理観は必要だと思うぞ。
そのサッチが来たのであけみっちのマンションに向かい、ロビーに入った。
あけみっちがオートロックを解除してくれたが、誰か来ている雰囲気はなかったし、周りを見てもヒデキや藤木さんの姿はない。
今日もコンシェルジュのシズカさんが出迎えてくれた。
彼女は俺に対してどこか冷たい視線を送ってくるが今回もそうである。男を毛嫌いしているというよりもミツハナに男がくることが嫌なのだろう。住民と思われる男性、宅配業者の男性には高級ホテル並みの丁寧な対応をしているのをさきほど見た。
部屋着ではなく学校にいた時の少しかっちりめの服装のまま、あけみっちが玄関扉を開けた。
「いらっしゃい。どうぞ」
少し警戒し、あけみっち宅のリビングに入ったが例のにおいはしない。
「適当に座って」
友巴ちゃんと帆乃花ちゃんが並んで座ったため、俺はサッチの左隣に座った。
「さて。今日は大事な話があって集まってもらったの」
ケーキとおそらく中身はアイスティーのグラスを出しながらあけみっちが言った。
大事な話って、あけみっちが休むこと? その原因が俺があけみっちのアソコに中出しだという告白?
「この秘蜜の花園クラブの新しいメンバーの件なんだけど……」
ふう。その話ね。良かった……。
って、良くない、良くない。
「新メンバー候補がみんなもよく知っている藤木さんなんだけど、ちょっと問題があってね」
「問題って?」
友巴ちゃんが聞いた。
「うん。藤木さん、あなたたち三人に憧れていてね、三人みたいになりたいからクラブに入りたいと言ってはくれているんだけど……」
あけみっちが言葉を濁す。
「基本的に男子がいるのは嫌なんだって。ただ、ある男子なら大丈夫だって……」
「それがシュウゴくん?」
帆乃花ちゃんが尋ねる。
「ううん。それが北川くんらしいの。だからみんながどうしたいのかの相談。選択肢はいくつかあるの」
「選択肢?」
サッチが尋ねる。
「そう。一つ目に、藤木さんはクラブに入れない。今までどおりね。二つ目は藤木さんに入ってもらうけど、藤木さんが活動するときは梅谷くんは休み。この場合、北川くんを梅谷くんの代わりに入れるか入れないか。つまり選択肢は三つね」
「藤木さんを説得して、シュウゴも北川くんもまとめて一緒にしようよ。人数多くて楽しそうじゃん」
「私はシュウゴくん以外の男子が入るのは絶対、絶対無理」
「私もホノカちゃんと同じ。シュウゴくん以外に、その……見られたくも触られたくもない」
俺も友巴ちゃんと帆乃花ちゃんの裸は誰にも見せたくないし、指一本触れさせたくない。
「そう。わかったわ。じゃあ、藤木さんに入ってもらうけど、藤木さんが参加する時は、梅谷くんはお休みということでいいかしら」
友巴ちゃんと帆乃花ちゃんが俺の顔を見てくる。
今があのことを言う良い機会だ。
「あけみっち。そのことだけど、俺たちクラブを抜けようかと……」
「何かあった?」
「うーん、何ということはないんだけど、このままだと受験にも影響ありそうだし……」
「そう。で、俺たちっていうのは?」
「俺と友巴ちゃんと帆乃花ちゃん」
あけみっちが二人の顔を見るが、二人とも目を伏せてしまった。
あけみっちは怒っているようでも、悲しんでいるようでもない。ただ腕を組んで考えこむ様子を見せた。
「ちょっとぉ。私だけ仲間はずれみたいじゃん」
サッチが立ち上がる。こちらは明らかに怒っている。
「サッチだってあけみっちとの話を私たちにしてくれないじゃん。それにシュウゴくんの代わりに北川くんが入ってくること承知したんでしょ」
「それは、あけみっちに内緒って言われてて……。ってホノカ、盗み聞きしてたの?」
「はいはい。二人ともそこまで。私がちゃんとこれからのこと言わなかったのがいけなかったわね」
あけみっちが割って入る。
「いい? クラブに入れる時は慎重に考える。けど、去るもの追わずだから止めないし、去ってももちろん険悪な関係ではなく、これまでどおりの関係でいること。特に須藤さんと佐原さんは昔からの親友でしょ」
「とにかく、私はもうミツハナはやめる。サッチは自分の好きなようにすればいいよ。任せる」
帆乃花ちゃんがサッチに言う。
「……。ミツハナが私の居場所だから私は残る」
「わかったわ。須藤さんは残り、梅谷くん、佐原さん、森崎さんはやめる。藤木さんが入り、北川くんは……」
ヒデキは?
「梅谷くんと同じね」
週明けの月曜日。今日も元気にあけみっちは教壇に立った。
「みんな、おはよう。二学期も二週目に入り中途半端と言えば中途半端なんだけど、来週、席替えをしまーす」
クラス中から、うおーという太い声が聞こえる。男子どもの歓声だ。
「帆乃花ちゃん、席替えのこと聞いてた?」
「ううん」
「サッチは?」
前に座るサッチに帆乃花ちゃんが確認する。
「聞いてないよ」
席替え委員である二人が聞いていないとは……、あけみっちの突然のひらめきか?
多分、近いうちに、二人に呼び出しがあるのだろう。
その日の帰り、玄関でサッチに呼び止められた。
「明日、あけみっちのマンションでミツハナだって。さっき、あけみっちに呼ばれたから席替えのことだと思ったけど、ミツハナでそのこと話すのかな?」
席替えの話をわざわざミツハナで?
もしかすると『おめでた』の話か……。
翌日、いつものように、ファストフード店で集合となった。帆乃花ちゃん、友巴ちゃんとともにコーヒーを飲んでサッチを待つ。
「コーヒー飲めば、本当にあの甘い香りに惑わされないのかな?」
そう言い友巴ちゃんがアイスコーヒーを見つめる。
「もしあけみっちのマンションに行ってあの香りが炊かれていて、さらにヒデキがいたら大変だから、効くと信じるしかないね」
ヒデキにそれとなく今日の予定を聞いたら、用事があるとしか言わなかった。その用事がミツハナという可能性もある。
「サッチにもカフェインのこと伝えたら、私は私の思うままに行動するって……」
うーん、それが一番楽しく生きられるけど、一定の倫理観は必要だと思うぞ。
そのサッチが来たのであけみっちのマンションに向かい、ロビーに入った。
あけみっちがオートロックを解除してくれたが、誰か来ている雰囲気はなかったし、周りを見てもヒデキや藤木さんの姿はない。
今日もコンシェルジュのシズカさんが出迎えてくれた。
彼女は俺に対してどこか冷たい視線を送ってくるが今回もそうである。男を毛嫌いしているというよりもミツハナに男がくることが嫌なのだろう。住民と思われる男性、宅配業者の男性には高級ホテル並みの丁寧な対応をしているのをさきほど見た。
部屋着ではなく学校にいた時の少しかっちりめの服装のまま、あけみっちが玄関扉を開けた。
「いらっしゃい。どうぞ」
少し警戒し、あけみっち宅のリビングに入ったが例のにおいはしない。
「適当に座って」
友巴ちゃんと帆乃花ちゃんが並んで座ったため、俺はサッチの左隣に座った。
「さて。今日は大事な話があって集まってもらったの」
ケーキとおそらく中身はアイスティーのグラスを出しながらあけみっちが言った。
大事な話って、あけみっちが休むこと? その原因が俺があけみっちのアソコに中出しだという告白?
「この秘蜜の花園クラブの新しいメンバーの件なんだけど……」
ふう。その話ね。良かった……。
って、良くない、良くない。
「新メンバー候補がみんなもよく知っている藤木さんなんだけど、ちょっと問題があってね」
「問題って?」
友巴ちゃんが聞いた。
「うん。藤木さん、あなたたち三人に憧れていてね、三人みたいになりたいからクラブに入りたいと言ってはくれているんだけど……」
あけみっちが言葉を濁す。
「基本的に男子がいるのは嫌なんだって。ただ、ある男子なら大丈夫だって……」
「それがシュウゴくん?」
帆乃花ちゃんが尋ねる。
「ううん。それが北川くんらしいの。だからみんながどうしたいのかの相談。選択肢はいくつかあるの」
「選択肢?」
サッチが尋ねる。
「そう。一つ目に、藤木さんはクラブに入れない。今までどおりね。二つ目は藤木さんに入ってもらうけど、藤木さんが活動するときは梅谷くんは休み。この場合、北川くんを梅谷くんの代わりに入れるか入れないか。つまり選択肢は三つね」
「藤木さんを説得して、シュウゴも北川くんもまとめて一緒にしようよ。人数多くて楽しそうじゃん」
「私はシュウゴくん以外の男子が入るのは絶対、絶対無理」
「私もホノカちゃんと同じ。シュウゴくん以外に、その……見られたくも触られたくもない」
俺も友巴ちゃんと帆乃花ちゃんの裸は誰にも見せたくないし、指一本触れさせたくない。
「そう。わかったわ。じゃあ、藤木さんに入ってもらうけど、藤木さんが参加する時は、梅谷くんはお休みということでいいかしら」
友巴ちゃんと帆乃花ちゃんが俺の顔を見てくる。
今があのことを言う良い機会だ。
「あけみっち。そのことだけど、俺たちクラブを抜けようかと……」
「何かあった?」
「うーん、何ということはないんだけど、このままだと受験にも影響ありそうだし……」
「そう。で、俺たちっていうのは?」
「俺と友巴ちゃんと帆乃花ちゃん」
あけみっちが二人の顔を見るが、二人とも目を伏せてしまった。
あけみっちは怒っているようでも、悲しんでいるようでもない。ただ腕を組んで考えこむ様子を見せた。
「ちょっとぉ。私だけ仲間はずれみたいじゃん」
サッチが立ち上がる。こちらは明らかに怒っている。
「サッチだってあけみっちとの話を私たちにしてくれないじゃん。それにシュウゴくんの代わりに北川くんが入ってくること承知したんでしょ」
「それは、あけみっちに内緒って言われてて……。ってホノカ、盗み聞きしてたの?」
「はいはい。二人ともそこまで。私がちゃんとこれからのこと言わなかったのがいけなかったわね」
あけみっちが割って入る。
「いい? クラブに入れる時は慎重に考える。けど、去るもの追わずだから止めないし、去ってももちろん険悪な関係ではなく、これまでどおりの関係でいること。特に須藤さんと佐原さんは昔からの親友でしょ」
「とにかく、私はもうミツハナはやめる。サッチは自分の好きなようにすればいいよ。任せる」
帆乃花ちゃんがサッチに言う。
「……。ミツハナが私の居場所だから私は残る」
「わかったわ。須藤さんは残り、梅谷くん、佐原さん、森崎さんはやめる。藤木さんが入り、北川くんは……」
ヒデキは?
「梅谷くんと同じね」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妹の仇 兄の復讐
MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。
僕、孝之は高校三年生、十七歳。妹の茜は十五歳、高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。
その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる