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第一部
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しおりを挟む盗賊の排除を終え、先発隊の誘導に沿って橋を渡り終えた一団。
鬱蒼と茂る森林に敷かれた街道を走り、その光景を車窓から眺めるメリシャとルー。
「ルー。一時はどうなるかと思ったけれど、なんとか解決して良かったね。」
『ええ、メリシャ様。この先も御護りいたします。』
何気ない、メリシャに抱かれて照れたルーとの会話。
それとは別に、反対側に座る枢機卿は馬車の揺れに比例するように背を預けて仮眠を取っている。
頭目の邂逅と、事後処理に追われ、睡眠不足に陥っていた。
数刻は安全だという、ネリの言葉に甘えて枢機卿は眠りに就いた。
当のネリは邪魔をしないために、空を飛び回って周囲一帯を警戒している。
馬車は順調に進み、次第に森林を抜ける。
その先には、高い塀の築かれた領都が見えていた。
そして塀の外には魔物が多く徘徊しており、本来であれば活気のある街並みも、所々から黒煙が上がっている。
先頭を駆ける隊が中心となって敵を引きつけ、聖騎士と神官が役目を分担して対処していく。
その中で、メリシャを乗せた馬車はルーの強固な結界で覆われ、衝撃も音も伝わらない。
安全地帯の確保ができると、数度馬車の扉がノックされた。
馬車を降りると、メリシャは真っ先に向かうところがあった。
見やすい場所で簡易的な天幕が作られ、怪我人が集められている。
分かりやすく軽傷者から重傷者までを班に分ける手法で、仕切られるよう組まれている。
今回は切り傷や打撲といった軽傷のみだったため、天幕内の中央に集められていた。
メリシャは瞼を瞑り、祈るように腕を掲げた。
すると、目に見えるような奇跡が彼らを包み込む。
光が収まると、そこには完治した聖騎士や騎士たちが座り込んでいた。
「皆さん、ご無事で何よりです。ゆっくりお休みください。」
そう告げて天幕を離れると、メリシャはルーを伴って枢機卿のもとへと歩み寄るのだった。
枢機卿のもとには、後方の指揮官と数名の先発隊メンバーが集まっていた。
後方の部隊は物資を運ぶ荷車を囲んで、周囲を警戒して佇んでいる。
時折り現れる小さな魔物を倒すと、一部の博識な者たちが挙って素材へ解体し、物資の一部として保管していく。
ウィリスタ辺境伯領の領都まで、もう目と鼻の先だった。
この先に、何が待ち構えているのか。
ーーと、それぞれの者たちの想いが一致した。
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※お知らせ※
次回更新日程:2025年7月3日 17:00・予定
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