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継承
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輝明は一瞬のうちに流れていく記憶を見終えると、自身の中に光覇としての記憶や経験があり、全てを受け継いだ事を悟った。
そして近付いてくる魔族と、その向こうで笑みを浮かべている陰陽師の男が目に入ると、怒りよりも自身の情けなさを呪った。
しかし、そうも言っていられない状況なのは変わらないと理解している輝明はこれまで一度も成功したことのない事を初めて行う。
いや初めてではなく、久しぶりに。
「さて、『汝と契約せし者。遥か昔、友として常に存在した者。汝は鉄鳥』。来い、テト!」
「ピー!」
詠唱による式神の召喚を行った瞬間、空中に小さな雀ほどの小鳥が現れる。
小鳥は周囲をキョロキョロ見渡し、契約者であり召喚した者を探そうとする。
「テト、久しいな。まさか主人を忘れたのか?」
「ピ? ピピ、ピー!」
「ぐへっ」
飛び立とうとしていた小鳥のテトに声を掛けた輝明だったが、テトは満身創痍な身体でも微かに感じる主人の力に驚いて体当たりする。
「ピ!?」
受け身を取れなかった輝明はテトの衝撃を受けて本日二度目の壁に身体を打ち付け、血反吐を吐いた。
始めは縋るために体当たりしたはずが、主人である輝明が血を吐いたことで離れた。
光覇であり輝明である主人にそっと近付こうと動いた瞬間、主人の血と同じ匂いがテトの背後から漂うことに気付いて小さな身体を振り返れば魔族が立っていた。
そしてその魔族の手には匂っていた血が付着しているのを見たテトは怒りに任せて、小鳥だった身体が肥大化していき、一軒家近くの大きさに変わる。
先程まで嘲笑っていた陰陽師の男も真っ青になるほど大きな鳥が現れたことに呆然としていた。
「ガー!」
大きく肥大化したテトが鳴くのと同時に浄化の炎によって魔族は消え去り、跡形もなく存在のみを消し去った。
魔族を滅したテトは急ぎ、主人の傷を浄化の炎で癒したが、目を覚さない主人を背に乗せたテトは人気のない場所に飛び去った。
その場に残ったのは崩壊寸前の壁と、アスファルトの地面に深く残したテトの爪痕と、真っ青になってただガタガタ震える男だけが残っていた。
そして近付いてくる魔族と、その向こうで笑みを浮かべている陰陽師の男が目に入ると、怒りよりも自身の情けなさを呪った。
しかし、そうも言っていられない状況なのは変わらないと理解している輝明はこれまで一度も成功したことのない事を初めて行う。
いや初めてではなく、久しぶりに。
「さて、『汝と契約せし者。遥か昔、友として常に存在した者。汝は鉄鳥』。来い、テト!」
「ピー!」
詠唱による式神の召喚を行った瞬間、空中に小さな雀ほどの小鳥が現れる。
小鳥は周囲をキョロキョロ見渡し、契約者であり召喚した者を探そうとする。
「テト、久しいな。まさか主人を忘れたのか?」
「ピ? ピピ、ピー!」
「ぐへっ」
飛び立とうとしていた小鳥のテトに声を掛けた輝明だったが、テトは満身創痍な身体でも微かに感じる主人の力に驚いて体当たりする。
「ピ!?」
受け身を取れなかった輝明はテトの衝撃を受けて本日二度目の壁に身体を打ち付け、血反吐を吐いた。
始めは縋るために体当たりしたはずが、主人である輝明が血を吐いたことで離れた。
光覇であり輝明である主人にそっと近付こうと動いた瞬間、主人の血と同じ匂いがテトの背後から漂うことに気付いて小さな身体を振り返れば魔族が立っていた。
そしてその魔族の手には匂っていた血が付着しているのを見たテトは怒りに任せて、小鳥だった身体が肥大化していき、一軒家近くの大きさに変わる。
先程まで嘲笑っていた陰陽師の男も真っ青になるほど大きな鳥が現れたことに呆然としていた。
「ガー!」
大きく肥大化したテトが鳴くのと同時に浄化の炎によって魔族は消え去り、跡形もなく存在のみを消し去った。
魔族を滅したテトは急ぎ、主人の傷を浄化の炎で癒したが、目を覚さない主人を背に乗せたテトは人気のない場所に飛び去った。
その場に残ったのは崩壊寸前の壁と、アスファルトの地面に深く残したテトの爪痕と、真っ青になってただガタガタ震える男だけが残っていた。
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