前世の記憶を継承したけど、平穏を望みたい【完結】

青緑 ネトロア

文字の大きさ
7 / 15

召喚

しおりを挟む
 輝明が魔族に襲われた数分後、別の場所で。

「中岡さん」

『はい?火野さん、何かありましたか?』

「今日、他家で受けた退治依頼ってありましたか?」

『えっとですね。中位魔族の退治依頼を受けたとこがあるようです。マップで見ると…あっ。』

「何かありましたか?ちょっと急用なんですけど」

『俺も向かいますが、火野さんも向かってください!輝明さんが通う高校の近くです。』

「やっぱり。直ぐに向かいましょう。」

『輝明さんに付けていた護符の反応に何かあったのですか?』

「はい、消えてしまいました。これは輝明さんの一大事です!」

『急行します。』

 電話を切った火野は人気の少ない路地に入り、契約している式神の不死鳥を召喚する。

 召喚された不死鳥だったが、敵が居ないことを知って契約者を見ると、強い眼差しに意を汲んで契約者である火野を背に乗せて現場に向かうのだった。



 ところ変わって、人気のない場所に着いたテトは主人を地面に置くことを嫌い、炎で焼け野原にした地面の上に寝かせ、大型犬くらいまで身体を縮めて温めることにした。

 「キュー」

 テトが何度も呼び掛けていると、輝明が瞼を開けた事に喜んだが、その拍子に無事だった草花を炎で枯らしてしまう。

 近くにいるテトに気付いた輝明はテトの羽根を撫でる度に、愛くるしい表情が見て取れた。

「テト。改めてまたよろしくな。」

「ピー!」

「ここなら他の奴も召喚できるだろう。テトばかり狡いと言われるかもしれないからな。」

「ピ?」

「『汝等と契約せし者。遥か昔、友として常に存在した者。汝は白狼』。来い、ハク。 『汝等と契約せし者。遥か昔、友として常に存在した者。汝は亜龍』。来い、リュウ。」

 輝明が召喚するための詠唱を唱えると、周囲は眩しい光に包まれた。

 詠唱をし終えるのと光が収まるのは同時で、光の中心から大人の身長ほどの身体をした白い狼が神々しい雰囲気を醸し出している。

『なぜ召喚された? 我は既に主人を持っているのだ。何人たりとも契約せんぞ! ん、お前か我を召喚したのは…』

 そして、その狼の隣にはとぐろを巻いている東洋風の竜が、人を丸呑み出来そうな体躯で宙に浮いていた。

『ん? ハクじゃあないか。ここは何処だ? あれ、光覇様ではありませんか。』

『だが光覇様は亡くなられた筈では。…』

『姿は変わっても、光覇様は光覇様だ。』

 緊迫したような雰囲気の中、間抜けな鳴き声が聴こえると今更気付いたかのように出所に向けて頭を振り返った。

「ピー!」

『『テトか!』』

 そしてテトがいるのは、そこが定位置であるとでもいうように輝明の肩に乗っているのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

処理中です...