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兄弟

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 昨晩、ハクとリュウに心配されていると誤解されつつも寝床を拵えた輝明はハクとリュウを誘導してから眠りについた。

 本来、式神には睡眠を必要とせず、食事も不必要だが、前世だった光覇の頃に契約する上で必要な事としていたため、式神一同は輝明の寝顔を見ながら眠りについた。

 翌朝、式神一同が眠るなか、早朝から自身の食事に加えて式神たちの分も用意する。

 朝食を作り終えた頃に起きてきた式神たちに食事をさせ、その姿を懐かしく思いながら自身も食事を始めるのだった。



 輝明の一日の日課である式神の下地に文言を記す作業をしていると、テトたち式神一同が見守る中、玄関扉が激しく叩かれる。

 テトたちは臨戦態勢のように身構えるが、輝明のジェスチャーで姿を消す。

 激しく叩かれる玄関扉に向かった輝明が鍵を開けると、けたましい騒音が鳴りを潜める。

 お決まりとばかりに玄関扉を開けるとそこには、輝明の実弟である光輝が仁王立ちしているのだった。

「おい、愚兄。」

『(あれが輝明様の弟、だと!?)』

『(信じられんな…)』

『………』

 いきなりな言動に、輝明は内心呆れ、テトたち式神は三者三様に怒りを覚えていた。

「なんだ。こっちは仕事で忙しいんだよ。また的当てか?」

「仕事って、また雑用だろ?暇なんだから、僕の的当てになれよ。いや、訓練。そう訓練だよ!」

「いや言い直しても、前の言動は返せないからな?とりあえず今からか?」

「そうだ。母屋の訓練場に集合な?逃げんなよ、愚兄。」

「分かった分かった。」

 強引な会話の末、弟・光輝は母屋のある方向に向かって戻っていった。

 そして家内に戻ってみれば、テトは天井を見上げ、ハクは爪を研ぎ、リュウは何かを書いている。

「お前等は何しているんだ?」

『あっ、輝明様。』

『話しは終えられたので?』

「ああ。これから母屋に行くんだが、お前たちも来るか?面白い事はないと思うけど。」

『『行きます!』』

「そうか。」

 輝明は母屋に行くのが億劫だったが、その反面、ハクとリュウは嬉しいらしく喜んでいた。

 嫌な冷や汗をかいた輝明は母屋で何も起こらないように祈るばかりである。
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