少女、街を出る【完結】

青緑 ネトロア

文字の大きさ
18 / 23

フレアとアズ.

しおりを挟む
 フレアは門番に身分証を見せ、門番が開けた門を潜ってまずは研究所へ向かうことにした。

 研究所前は夜だというのに、魔法使いが大勢たむろっていた。

 フレアは疑問には思ったが、そのまま横を通り過ぎて研究所に入っていった。

 フレアはレティと過ごすまでは通い詰めていたため、アズのいる場所へ足を向けた。

 丁度ちょうど出払っていたのか、執務室の中では散らばった書類が先に目に入った。

 平常時であれば、整理で綺麗にされた決済書類が積まれた箱があって、この時間帯はテーブルで読書を嗜んでいたので、より目に入ることのなった。

 その奥では深刻そうな表情をしたアズが腕を組んで顔だけ外を睨んでいた。

「アズ。 何か、あったのか?」

「あぁ、フレア様。 実はレティが、森に入って行ったとの知らせを知ったのですが…」

「あぁ。 知っている、先程オリバーの店に行ってきた所だ。」

「え?」

「実はな、アズ。 お前に探って欲しいことがあって来たんだが、また明日来るかーー」

「待ってください!」

「ん?」

「オリバーって、商人ですよね。 フレア様の知り合いで、レティを預けてるって手。」

「それが?」

「どうしてオリバーさんの話が、レティの話に繋がるんですか!?」

「え!? あんたこそ、何を言っているんだい? レティが出て行くきっかけがオリバーの店での出来事なのに、何を言っているんだい?」

「はぁ。 ちょっと待ってください! まずフレア様の言いたいことはレティが出て行ったのはオリバーさんの店で起きたことだと言ったのですか?」

「さっきから言っているだろう? あんただって知ってるんじゃないのかい!?」

「知りませんよっ! いくらなんでも最近は忙しくてレティに会えていないのですからっ!」

「えっ!?」 「んん!?」

 そこまで話してから、やっとお互いのすれ違いに気付いたのだった。

 かれこれ言い合っていたが為に、こうして外は晴れ始め、夜が明けようとしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界からの手紙

F.conoe
ファンタジー
異世界から手紙が届いた。 それは数日前に行方不明になった姉からの手紙であった。 しんみりと家族で手紙をやりとりする話。 でもラストは。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

処理中です...