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夜通し走り続けて領地に辿り着いた頃にはララは復帰していたが、顔は涙で荒れていた。
何とかララを落ち着かせながら領地の入り口に入ろうとすると、普段は何もない筈にも関わらず、松明を焚いた一団が門を占拠していた。
「旦那様が帰還されました。お開けください。」
執事の命令通り、門を開くが占拠していた一団は穴が開くように睨んでいて恐ろしい形相だった。
「彼らは何者だ?」
「? 領民ではありませんか。まさか、それさえもお忘れに?」
「いや覚えておるわ!だがまさか領民だったとはな。」
そう会話しているうちに屋敷前まで来ていた。
屋敷前は先程の門同様、松明を持った者が集まって厳戒態勢だった。
だが今度は鎧を着た騎士が行っていたことに、流石のクリフも小さく悲鳴を上げた。
「旦那様が帰られた。道を開けなさい。」
『はっ。おかえりなさいませ!』
容姿は騎士団だが、夜が明けていないため近場でもクリフに山賊のように見えてしまうのは仕方がなかった。
「お嬢様のお部屋に案内します。どうか御二方は声を殺して入られるように願います。お嬢様はお休みになられております故。」
「ああ、わかった。お前はハンカチを口に押さえておけ。」
「はい、あなた。」
2階に上がるための階段には布が引かれて側には蝋燭を付けた燭台が置かれており、暗くても足元が見えるように配置されていた。
静かに登り切ると、そこには全身鎧を着た騎士が帯剣して並んでいた。
「お嬢様に何かあってはいけないので、警備を厳重にしております。さあ、行きましょう。」
「ああ。」
「………」
案内されるがまま向かっていくと、ティリアの寝室前に到着する。
寝室前にも騎士が付いていたが、執事を確認すると横に移動する。
「こちらです。」
執事の後ろについていくと、カーテンを閉められた暗い室内には侍女が複数集まって部屋の中央を見守っている。
部屋の中央にはベッドカーテンが掛けられていたが、控えていた侍女の一人がベッドカーテンの一部を捲ると、そこには以前まで微笑んでいたティリアが目も当てられない状態に絶句した。
震えて顔色が悪くなるララ夫人を抱き寄せながらも、クリフは己の行動を嫌でも思い起こされていった。
頻繁に屋敷にいた頃は、ティリアに会う度に笑顔を向けられていたクリフは現在の状況から、なぜ一度でも帰らなかったのかと呪った。
執事が区切りを付けて寝室を後にして、一階の隅にある部屋に入ると、ララはその場で倒れてしまったため侍女が休ませる。
「いつからだ。変わったのはいつから…」
クリフは執事を正面に見据えると、執事に聞こうと問いてみる。
何とかララを落ち着かせながら領地の入り口に入ろうとすると、普段は何もない筈にも関わらず、松明を焚いた一団が門を占拠していた。
「旦那様が帰還されました。お開けください。」
執事の命令通り、門を開くが占拠していた一団は穴が開くように睨んでいて恐ろしい形相だった。
「彼らは何者だ?」
「? 領民ではありませんか。まさか、それさえもお忘れに?」
「いや覚えておるわ!だがまさか領民だったとはな。」
そう会話しているうちに屋敷前まで来ていた。
屋敷前は先程の門同様、松明を持った者が集まって厳戒態勢だった。
だが今度は鎧を着た騎士が行っていたことに、流石のクリフも小さく悲鳴を上げた。
「旦那様が帰られた。道を開けなさい。」
『はっ。おかえりなさいませ!』
容姿は騎士団だが、夜が明けていないため近場でもクリフに山賊のように見えてしまうのは仕方がなかった。
「お嬢様のお部屋に案内します。どうか御二方は声を殺して入られるように願います。お嬢様はお休みになられております故。」
「ああ、わかった。お前はハンカチを口に押さえておけ。」
「はい、あなた。」
2階に上がるための階段には布が引かれて側には蝋燭を付けた燭台が置かれており、暗くても足元が見えるように配置されていた。
静かに登り切ると、そこには全身鎧を着た騎士が帯剣して並んでいた。
「お嬢様に何かあってはいけないので、警備を厳重にしております。さあ、行きましょう。」
「ああ。」
「………」
案内されるがまま向かっていくと、ティリアの寝室前に到着する。
寝室前にも騎士が付いていたが、執事を確認すると横に移動する。
「こちらです。」
執事の後ろについていくと、カーテンを閉められた暗い室内には侍女が複数集まって部屋の中央を見守っている。
部屋の中央にはベッドカーテンが掛けられていたが、控えていた侍女の一人がベッドカーテンの一部を捲ると、そこには以前まで微笑んでいたティリアが目も当てられない状態に絶句した。
震えて顔色が悪くなるララ夫人を抱き寄せながらも、クリフは己の行動を嫌でも思い起こされていった。
頻繁に屋敷にいた頃は、ティリアに会う度に笑顔を向けられていたクリフは現在の状況から、なぜ一度でも帰らなかったのかと呪った。
執事が区切りを付けて寝室を後にして、一階の隅にある部屋に入ると、ララはその場で倒れてしまったため侍女が休ませる。
「いつからだ。変わったのはいつから…」
クリフは執事を正面に見据えると、執事に聞こうと問いてみる。
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