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「僭越ながら申し上げますと、既に八日が経とうとしております。お嬢様はがお帰りになられた際、いつもなら何か言ってくれていた言葉を聞けませんでした。使用人一同、疲れてしまったのではと思い、その晩は近付きませんでした。」
「………」
執事の言葉を聞いながら、情報を整理してみるが捗らない。
「早朝を過ぎても起きて来られないお嬢様を心配になった侍女が寝室を訪ねますと、お嬢様は入り口の側で倒れていたとのことです。介抱しようとしたようですが、その頃には既に酷く衰弱しておりました。」
「………」
急なことに考えていたこと全てが止まってしまったクリフだったが、執事は話を続けた。
「使用人一同の献身的な介抱によって、落ち着きを取り戻しましたが、日に日に目が覚める時間が少なくなっておりました。起きる度に何かを思い出すのか、食事をすると寝込んでしまいました。」
「………」
「そこで昔の伝手でお嬢様の参列した会場での出来事を調べ上げました。結果驚くべき事が発覚しました。招待とは名ばかりで、お嬢様に悪戯をする事が目的で集まったものだと判明しました。」
「…なんだと」
自身らが味方を見つけるために参列していた時期に起きたであろうことを聞き、クリフは自分の情けなさが嫌になった。
「あの頃はお嬢様に会う度に我々使用人にも旦那様にも笑顔を向けられておられましたが、調べたところでは同じ頃だった事が分かりました。あの笑顔は諦めからだったのか、我々に心配をかけないようにしたかったのか、今となっては分かりません。」
「ティリア…」
その頃は初めの茶会を終えても参列し続けていた頃だった。
確かに笑顔を向けていたが、思い返せば自然な笑みからは掛け離れていたことを痛感した。
「旦那様に報告した書類はその一部となります。実際はかなり悪質な物だったらしいです。先程、領民が荒れていたのは報告しに来てくれた方が酒場で漏らしてしまった事が原因で、あのように変わってしまわれました。」
「お前の前職、だったか。まさか戻るつもりではなかろうな?お前が居なくなると、ティリアが寂しがるぞ。」
「分かっております。私は、いえ私達はティリアお嬢様に救われた身ですから。裏切るようなこともありませんし、あのような劣悪な前職に戻るつもりは毛頭ありません。」
執事はなんでもないようにいう。
実際、彼はティリアによって人生を救われたようなもので、また変わらないと思っていた人生を変えてもらった返し切れない恩があったからだった。
「………」
執事の言葉を聞いながら、情報を整理してみるが捗らない。
「早朝を過ぎても起きて来られないお嬢様を心配になった侍女が寝室を訪ねますと、お嬢様は入り口の側で倒れていたとのことです。介抱しようとしたようですが、その頃には既に酷く衰弱しておりました。」
「………」
急なことに考えていたこと全てが止まってしまったクリフだったが、執事は話を続けた。
「使用人一同の献身的な介抱によって、落ち着きを取り戻しましたが、日に日に目が覚める時間が少なくなっておりました。起きる度に何かを思い出すのか、食事をすると寝込んでしまいました。」
「………」
「そこで昔の伝手でお嬢様の参列した会場での出来事を調べ上げました。結果驚くべき事が発覚しました。招待とは名ばかりで、お嬢様に悪戯をする事が目的で集まったものだと判明しました。」
「…なんだと」
自身らが味方を見つけるために参列していた時期に起きたであろうことを聞き、クリフは自分の情けなさが嫌になった。
「あの頃はお嬢様に会う度に我々使用人にも旦那様にも笑顔を向けられておられましたが、調べたところでは同じ頃だった事が分かりました。あの笑顔は諦めからだったのか、我々に心配をかけないようにしたかったのか、今となっては分かりません。」
「ティリア…」
その頃は初めの茶会を終えても参列し続けていた頃だった。
確かに笑顔を向けていたが、思い返せば自然な笑みからは掛け離れていたことを痛感した。
「旦那様に報告した書類はその一部となります。実際はかなり悪質な物だったらしいです。先程、領民が荒れていたのは報告しに来てくれた方が酒場で漏らしてしまった事が原因で、あのように変わってしまわれました。」
「お前の前職、だったか。まさか戻るつもりではなかろうな?お前が居なくなると、ティリアが寂しがるぞ。」
「分かっております。私は、いえ私達はティリアお嬢様に救われた身ですから。裏切るようなこともありませんし、あのような劣悪な前職に戻るつもりは毛頭ありません。」
執事はなんでもないようにいう。
実際、彼はティリアによって人生を救われたようなもので、また変わらないと思っていた人生を変えてもらった返し切れない恩があったからだった。
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